幸せな日々に近づく魔の手
「宿題多すぎる。」
「もうできない。」
机に崩れ落ちる舞と純は夏休みが進み、1週間後には学校を控えているが宿題が終わっていないようで四人で舞の家で勉強会を開いた。
「わかりません。天先生。」
「ここは、おっと。」
「大丈夫?」
立ちあがろうとして転びそうになった天を僕が支える。
「ありがとう。ちょっと目眩が。」
「もういいよ。柚希。2人でデートしてこい。」
「冷やかしはいいです。ぶつぶつ言ってないで宿題しろ。」
2人はバスケ部。夏休み中は忙しかったらしい。
「なんでこんなやつと同レベルに!」
「こっちのセリフよバカのっぽ!」
「なんだと!」
みんなで笑い合い、純が舞をからかい、舞が怒る、いつも通りの光景に笑い合った。
帰り道、天と並んで歩いている時、異変は起きた。
「ねえ、柚希。次の数学のテスト範囲、多いよね」
天が話しかけてきた。
「ああ、今回は難しそうだ」
俺は少し咳き込み、次の瞬間、激しい立ち眩みに襲われ、思わず電柱に手をついた。
「大丈夫?」
天が慌てて駆け寄ってきた。その時、彼女の手に触れた。ひどく冷たかった。
「ごめん、大丈夫だ。最近ちょっと寝不足で…」
と俺は誤魔化したが、天の表情は曇ったままだった。最近、休むことが増えてきた。悪魔の足音は近づいてきているように感じる。僕に残された時間はもうあまりない。