ひどく冷える初詣
年が明けてすぐ、僕たち四人は近所の大きな神社へ初詣に行った。
賑やかな参道で、純は舞と喧嘩しながらおみくじを引き、舞は「大吉よ!」と騒いでいた。僕は天と並んで石段を登った。人混みと冷たい空気が、最近弱っている僕の体に堪える。少し息切れがし始めた時、天がそっと僕の手を握り、自分のマフラーを少し緩めて、僕の口元にそっと当ててくれた。
「柚希、人混みで寒いから、これ使って。」
天は囁いた。
「大丈夫だよ。」
「ダメ。あなたの体は、私のだから。」
天は優しく、だが強い意志を持った目で言った。
天の無言の看病と配慮に、僕は胸が熱くなった。
長い石段を登り終え、本殿の前で四人並んで参拝した。純と舞は
「今年もバスケで優勝できますように!」
「素敵な彼氏ができますように!」
と騒いでいる。
天は目を閉じ、静かに手を合わせていた。
「天は、何をお願いしたんだ?」
僕は小声で尋ねた。天は微笑み、僕の耳元にそっと唇を寄せた。
「私の命を少し削ってでも、あなたの病気が治りますように、って」
僕は息を呑んだ。それは冗談ではない。彼女の真剣な願いは、僕の心臓を強く締め付けた。
純と舞が騒ぎながら戻ってきた。
「おい、柚希!おみくじ引いたか?」
純が言った。
「まだだ。」
僕と天が並んで引くと、僕は『凶』を引いた。「病:重く長引く」と書かれていた。天は、僕の隣で『吉』を引いたが、その顔は青ざめていた。
「柚希、気にすんな!俺が代わりに結んでやるよ!」
純が僕のおみくじを奪い取り、力強く結びつけた。
しかし、僕の胸には天の願いと、おみくじの不吉な言葉が重く残った。この幸せな時間が、長く続かないことを、僕たちはこの冬の始まりに、すでに知っていた。