彩られる街並み、明らかになる秘密
秋も終わり、冬を感じる。なんせ、今日はクリスマスなのだから。小学校の頃からバスケをしていたので、この日は純と練習をしていたから、恋人と過ごすなんて、少しこそばゆい気分だ。怪我をしてからはずっと1人だったからこそ、天は僕の光のように感じる。
「お待たせ!」
前からダウンを着た天が走ってくる。付き合うと言うのは人をバカにするらしい。もう僕はその魅力にやられている1人だ。
「全然。似合ってるね。」
「ありがと!じゃあ行こ!」
今日は2人でイルミネーションを見る。ベタなデートだが、それがいい。
「先に渡しとくね。プレゼント。」
「ありがと!あ、マフラー!早速つけるね!」
赤色のチェック柄なマフラーは思った通り、君の髪色と綺麗な顔に照り映える。
「似合ってる。」
「こっちもプレゼントあげるね!はい!」
くれたプレゼントは緑色の手袋だった。
「いつも手が冷たそうだから。手、大きいからちょっと大きめのサイズで作ったよ。」
僕の手に合うサイズがなかったら、とても嬉しい。暖かく、ちょうどいいサイズだ。
「ありがとう。暖かい。」
「いいえー!」
ちょっと前までこんな幸せを感じることなんて想像できなかった。それだけ僕は彼女に救われていたんだ。
イルミネーションをベンチで見て、クリスマス模様の街を見ながら話をした後、帰路に着く。夜だから、彼女の家の前まで送ることにした。しかし、体調が少し悪くなってきた。体が持てば良いのだが。
「初詣、一緒に行こうね。着物着ようかなぁ。」
「うん、楽しみにしてる。絶対似合うよ。」
そう話していると、突然、目眩がした。
「大丈夫!?」
そう天が言うのも仕方ない。僕は膝をついたからだ。ゴホゴホと咳き込む。驚くことに吐血してしまった。吐血は最近してしまうことがあるのだが、運の悪いことに天からもらった手袋に血がついてしまった。
「大丈夫ですか!?」
通行人だろうか、背中をさすってくれている。
「大丈夫です。落ち着いてきたので。」
「柚希!大丈夫!?ゲホゲホ」
顔を少しずつ上げると、天だけではない。見覚えのある顔がもう一つあった。それは…。
「…。宮野先生!?」
そう。それは僕の担当医である宮野京也先生だった。
「柚希くん…。そうか、娘と付き合っていたんだね。では、あの話も…。」
「パパ!柚希!どう言うこと?」
「…。私は柚希くんの担当医だ。柚希くん。よかったら私の家に上がりなさい。少し休んでからにしよう。あと…。少し話もしようか。」