1:死んだら異世界で、めんどくせえ!
白い。なんもねえ。いや、マジで何? 俺、佐藤タクミ、24歳、ニート歴3年。昨日までゲーム買ってウキウキしてたはずなのに、気づいたらこの真っ白な空間だ。転んだ拍子に頭打った? いや、覚えてねえけど……死んだ?
「ようこそ、異世界へ! タクミ、君には特別な使命が――」
ふぁ!? 急に女の声! 見上げると、キラキラした女神っぽいのが浮いてる。白いドレス、長い金髪、めっちゃ美人。けど、なんか胡散臭いぞ。
「待て待て! 異世界? 使命? めんどくせえ! ニート生活返せよ! 毎日寝てアニメ見て、たまにコンビニ行くだけで幸せだったのに!」
「ふふ、残念ね。君はこの世界で大活躍する運命よ!」
「活躍!? コスパ最悪じゃん! ニートでいいって!」
女神がニヤリと笑う。嫌な予感しかしねえ。
「この世界は『魔法投票』の世界。人間が支持の魔法陣で投票し、バフやアイテムをくれるわ。良い行いで票が増え、悪評で減る。さあ、頑張って!」
「選挙!? マジかよ、俺、人気とか興味ねえよ!」
女神が手を振ると、光が爆発。次の瞬間、俺はドン! と地面に叩きつけられた。
うっ、土の匂い! 見回すと、中世っぽい村。木造の家、馬車、村人たちがガヤガヤ。服はボロボロ、まるで乞食だ。せめてシャワー付きの城に転生させろよ!
「 おお、転生者だ!」「魔法投票で応援するぞ!」
村人たちが集まり、指を動かすと空中に光の魔法陣が浮かぶ。え、なにこれ? 魔法陣が俺にピカピカ集まってくる。なんか気持ちいいぞ。
村長っぽいジジイが説明してくれた。この世界、みんなくそ弱い魔力を持ってて、気に入った奴に「魔法投票」してバフやアイテムをくれるらしい。良いことすれば票が増え、悪いことすると減る。マジで選挙じゃん。ニートには地獄だぞ。
「転生者よ、コロッセオのバトルロイヤルで優勝すれば、王国建設許可書が手に入るぞ!」
王国!? 俺、ニート王国作って寝て暮らす! コスパ最強じゃん! よし、参戦決定!
2:偽善はコスパいいと思ったのに
村外れの森。俺、木の枝握ってスライムと対峙。いや、弱らせたスライムを「倒す」演技な。人間の票は行動で稼ぐらしい。モンスター退治っぽいことやれば、バフもらってコロッセオ楽勝だろ。コスパ最強!
「うおお、くらえ! スライム退治だ!」
バシッと枝で叩くと、スライムがプルンと消滅。村人たちが感動の目で見てる。よし、完璧!
「おお、タクミ、すげえ!」「スライムを一撃で!」
魔法陣が光り、俺に票が集まる。ステータス画面(頭に浮かぶ謎のUI)がピコン。【攻撃力+10%】ゲット! しょぼいけど、まあいいか。
「偽善最高! これでコロッセオも楽勝――」
「ちょっと待ちなさい!」
キンキンした声。振り返ると、金髪の派手な女、クロエ。こいつ、村で「救世主」扱いされてる偽善のプロだ。ニヤニヤしながら村人を扇動。
「皆さん、あのスライム、弱らせてあったわ! タクミの偽善に騙されないで!」
「おお、マジか!」「タクミ、ずるいぞ!」
魔法陣が消え、【攻撃力+10%】がゼロに。マジかよ!
「おい、クロエ! テメェも偽善のプロだろ! ズルいぞ!」
「ふふ、私は村の救世主よ。種族なんて下等な存在に頼らず、人間の票で無双するわ!」
種族? なんだそれ? 村人がコロッセオの噂を教えてくれた。なんでも、コロッセオの屋根にはドラゴンやエルフが観戦に来て、魔法投票でバフやアイテムくれるらしい。人間の票の10倍の威力だって!?
「人間の票、しょぼいし不安定すぎ! コスパ最悪! 種族ルートしか勝たん!」
村人たちが「種族は危険!」と止めるが、俺はドラゴンの巣へ向かう。チート恩恵でコロッセオ無双してやる!
3:ドラゴンの巣で死にかけた件
火山みたいな荒々しい風景。ドラゴンの巣、めっちゃ怖え。溶岩がゴポゴポ、熱気がムンムン。俺、汗だくで潜入。
「ドラゴンの恩恵ゲットできりゃ、コロッセオでチート無双! コスパ最強だ!」
ドドーン! 巨大なドラゴンが登場。赤い鱗、燃える目、でけえ! 俺、ビビって後ずさり。
「弱い人間め! 何の用だ!」
「お、お偉いドラゴン様! コロッセオであなたの名を世界に轟かせます! 恩恵ください!」
「名? 笑止! 試練を乗り越えろ!」
ゴオオ! 炎が襲ってくる! 俺、必死で逃げ回る。岩が溶け、地面が揺れる。やべえ、死ぬ! 崖際まで追い詰められ、足が滑る。落ちる寸前、地面に光る「ドラゴンの鱗」を拾う。
「こ、これ、返す! 俺、命がけなんで!」
ドラゴン、鱗を見て唸る。
「執念深い人間…気に入った。受け取れ!」
ゴウッ! ドラゴンが炎のオーブを吐き出す。手に持つと、熱いけどなんかスゲエ力! 【炎のオーブ:火属性ダメージ3倍、範囲攻撃】。これ、コロッセオでぶっ放したら無双じゃん!
「ドラゴンさん、最高! ありがとう!」
ドラゴン、笑いながら飛び去る。俺、ボロボロで村へ帰還。服は焦げ、髪はボサボサ。コスパ最悪だったけど、恩恵ゲットだ!
4:子供たちと鬼ごっこした件
夕暮れの村。俺、ボロボロで地面に座り込む。ドラゴンに追い回され、死ぬかと思ったぜ…。
「タクミ、遊ぼ!」
子供たちがワラワラ駆け寄ってくる。え、今!? 疲れてんのに!
「お前ら、タイミング悪すぎ…まあ、いいか。菓子やるぞ!」
ポケットからボロボロの菓子を配る。子供たちが「やった!」と大喜び。なんか、癒されるな。よし、鬼ごっこだ!
「タクミ、速い!」「でも捕まえた!」
泥だらけで走り回り、子供たちと笑い合う。夕陽が赤く染まり、なんか…ニート生活より楽しいかも。
「お前ら、楽しすぎるな…ニート王国できたら、絶対入れよな!」
子供たちが「うん!」と笑う。俺、つい本気で笑顔になっちまった。
(モノローグ)「ドラゴンの恩恵ゲットしたけど、なんか…この時間が一番コスパいいかもな。」
星がチラホラ見える空の下、子供たちと寝転がる。コロッセオ、絶対勝ってやるぜ!