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神宿ル劍  作者: 竹河参号
05章 正しき理の在処
63/78

08.奇襲

暗の水鏡

 晦冥の湾刀(イーレグラム)の戦技

 霊気を飛ばし、離れた場所を視認する


 闇を透かし見るその視界は、あらゆる障害を超越するが

 光を捉えぬため、その色を知らない

 見えたものは事実だが、真実と見誤らぬことだ

 がたがたと荷台を揺らし、急ぎ足でレラーゼ街道を駆け抜ける使徒一行。昏倒したエレナが揺れる幌馬車(キャラバン)で目覚めたのは、ヴェームの刻(午後二時ごろ)を過ぎたころだった。



「――エレナ様! お目覚めですか!?」

「おはよう、眠り姫。流石に疲れさせたか、それともアイツが強くやり過ぎたのかしら?」

「……ここは……?」



 目を覚ました彼女に真っ先に気付いたのは、同乗しているエリスとシルヴィア。ぱぁっと顔を輝かせるエリスとは異なり、シルヴィアは浮かない表情のまま言った。エレナはしばらく、何が起きているのか理解できなかった。

 確か――オーヴェルヌスに連行されて、シルヴィアの攻撃で脱出して――それから、逃げ続けて――追い付かれて――



「――リョウは!?」



 ようやく意識がはっきりしたエレナは、ばっと起き上がって周囲を見回した。がたがたと揺れる幌馬車(キャラバン)の荷台にも、急速に流れていく街道の景色にも、白髪の少年の姿は見当たらない。



「アイツなら往ったわよ。レノーン軍を止めるために」

「どうして止めなかったの!?」

「他に手が無いからよ」

「リョウ一人に押し付けることが!?」



 無表情で説明するシルヴィアに、エレナは声を荒げて噛み付いた。彼だけは、あの少年だけは、独りで往かせてはならない。それくらい、この賢い従姉なら解っているはずなのに――!



「一応、一人じゃないわ。クライドとゴーシュも援護に行った」

「――そんな……!」



 だが、感情を押し殺したまま付け足されたシルヴィアの言葉は、エレナに新たな絶望を植え付けるだけだった。ゴーシュさんに加えて、クライドまで――大事な仲間を使い潰す、無茶の上塗りでしかない。



「……戻らなきゃ……止めなきゃ……! ――ノーマンさん、引き返して!」

「えぇっ!? いや無茶っすよ!」



 エレナは、御者台で運転するノーマンへばっと振り返った。道理もへったくれもない無茶振りに、ノーマンは思わず狼狽えるしかない。



「エレナ様、さすがに無理ですわ!」

「あんた、何時間寝こけてたと思ってんの? 今更引き返したところで何の意味もないわよ」

「だからって、このまま三人を見捨てていいはずないでしょ!?」



 悲鳴を上げるエリスと裏腹に、シルヴィアは冷淡なまま制止の言葉を並べた。埒が明かない。激情のまま、幌馬車(キャラバン)から飛び降りようとしたエレナの肩を、しかしシルヴィアが即座に掴まえた。煩わしい、と振り切ろうとしたその瞬間――ぱちん、と甲高い音が響いた。

 一瞬だけのその音は、がたがたと揺れる馬車の喧騒に掻き消された。明後日の方向に顔を振り向かされたエレナは、何が起きたのか理解できなかった。左頬がちくちくと痛む。もしかして、叩かれた? この姉貴分が、自分に手を上げたというのか?



「し、シルヴィア様!」

「――いい加減にしなさい。何のためにアイツが、足止めを買って出たと思ってんの」



 狼狽えるエリスをよそに、シルヴィアは右手を振り抜いたまま、絞り出すように言った。聞き分けのない妹分への苛立ちが――それ以上に、己自身への怒りが、沸々とした威迫となって滲み出ていた。その奥底で煮え滾る激情を、その意味を悟ることができる程度には、エレナの理性も戻ってきた。引き戻された。



「それ、は、」

「『世界のため』とか『人類のため』とか、そんな御大層な名目で戦える人間じゃないことくらい分かってるわ。アイツの目線は、そんな人智を隔てた高みにはない。もっと低くて、もっと小さいところをに目を向けてる。

 ――あんたのためよ(・・・・・・・)。アイツは、あんたのために死にに往くの。他の誰でもない、あんたを護るために」



 ぎりぎりと拳を握ったまま放たれた言葉に、エレナはただ唇を噛んだ。それしかできなかった。

 「世界の平和のため」などと着飾って戦えるような、殊勝な人間ではない。「人類の未来のため」などと嘯いて命を捨てられるような、従順な人間ではない。そういう大義に向かって、「見てくれだけご立派なお題目」と唾を吐いて否定するのが、あの少年だ。断じて、顔も知らない誰か(・・・・・・・・)のために戦える人間ではない。そんな少年が、あんな絶望的な戦いに挑む理由など、ひとつしかない。

 わたしのためだ。わたしのせいだ(・・・・・・・)



「――そんなの……わたしは、ちっとも嬉しくないよ……!」

「そんなの、アイツが一番納得しないのよ」



 絞り出すようなエレナの言葉を、シルヴィアはばっさりと切り捨てた。自分自身に言い聞かせるような物言いだった。



「自分のせいで、あんたを危険に晒すことを許せない。自分のせいで、あんたが傷付くことを認められない。

 だから往くの。アイツ自身の業に、あんたを巻き込まないために」



 分かってる。分かってる。分かってる。分かってる。分かってる。

 そんなことのために、命を捨てられる――捨てなければならない(・・・・・・・・・・)と思っている。その程度の価値しかないと思っている。リョウとは、そういう少年だ。だからこそ、見捨てるわけにはいかなかった。だからこそ、クライドはわたしの意を汲んだのだ。



「あんたにできることはない。今戻ったところで、あんたが加勢したところで、それこそがアイツの重荷になるの。

 アイツの覚悟を無駄にしたくなかったら――あんたは、前に進みなさい。あんたができることを、あんたにしかできないことをしなさい」



 押し殺すようなシルヴィアの言葉に、エレナは何も言い返せなかった。唇が切れるほど、ただ強く強く噛み締めた。いっそ噛み千切れたら、楽になれるだろうか。






 ◇ ◇ ◇






 さらに下り、オルスの刻(午後六時ごろ)を過ぎたころ。五千からなるレノーン聖都軍は、ベノ峡谷に陣を敷いていた。

 標的はごく少数とはいえ、それだけに身を隠しやすい。いくら数の優位、地の利があろうと、迂闊に分断してしまってはその有利を手放しかねない。故にまずは騎兵の偵察隊を派遣し、標的の位置を特定してから本隊が集中攻撃をかける、という策が採用されていた。

 偵察隊の派遣先は四方向。昨夜、世界が赤黒の瘴気に呑み込まれたその直後に慌てて出立した。無論、使徒共がしでかした(・・・・・)こととも思えないが、それはそれとして急ぐに越したことはない。標的の行軍速度から考えて、そろそろどこかの隊が痕跡を発見し、直に戻ってこようかという頃合いだったが――



「――何故、どの隊も戻って来んのだ!?」



 本陣天幕の中で、聖都軍総指揮ロードリック・ベルヴィードはだんと机を叩いた。苛立たしさを伴った拳の一撃は、机上の葡萄酒をぽちゃりと小さく揺らした。



「ロードリック卿、落ち着かれよ」

「まだ昨日発ったばかり、成果がすぐに出るとは限るまい」

「これが落ち着いていられるか!」



 憤懣満ち満ちた様子に、同席する幕僚たちが口々に宥める。が、彼の気勢を止めるにはまるで足りなかった。



「成果がないなら、見つからないだけならまだいい! だが、四方向に派遣したのだぞ! 丸一日かけてどの偵察隊も(・・・・・・)戻って来ない(・・・・・・)など、尋常なはずがないだろう!!」



 机を叩きながら声を荒げるロードリックの主張に、幕僚たちもつい返す言葉に迷った。確かに、不審ではある。



「これは陛下直々のご下命なのだぞ! 各々方、気を引き締められよ!」



 “聖徒長”こと近衛隊聖騎士ロードリック・ベルヴィード卿。近衛隊でもひときわ忠誠心の強いこの聖騎士は、確かに聖王陛下直々の命令で軍団を率いるに相応しい。だが、たかだか三十の標的に対して、こちらは総勢五千である。ここまで神経症(ヒステリー)に陥る理由が、幕僚たちにはいまひとつ理解しかねた。



「そんなにも脅威ですかな、あの使徒もどき(・・・・・)とやらは」

「聞くところによると、昨日の攻撃はカドレナの“魔公女”めによるものだそうですな。もどき(・・・)本人は、大した力を有していないのでは?」



 幕僚たちが、口々にその懐疑を唱える。確かに“聖なる使徒”を名乗る不遜な輩であり、聖王陛下、並びにこの“聖徒長”は強い警戒心を抱いているが、しかしその力のほどは明らかになっていない。むしろ彼らの関心は、既知の脅威たる“魔公女”シルヴィアに向いていた。重厚な四重防御で守られていたはずの聖都を半壊せしめる大魔術――対カドレナ戦略を、根底から見直さなければならない大事だ。

 しかしロードリックの警戒は、変わらず使徒もどき――崚へと向いていた。



「油断してはならぬ。あれ(・・)は、尋常ならざる力を秘めている――使徒とも異なる、恐るべき脅威だ」



 その言葉を、幕僚たちは否定する術がなかった。直に対面したのは聖王陛下を除けば彼くらいのもので、他の者たちは顔すら知らない。何かしら、彼にしか分からない脅威があったとしても不思議ではない――というところだろうか。



「しかし、こちらには“聖徒”がいる。ロードリック卿をはじめ、一騎当千の強者揃いだ」

「然り、然り。“魔公女”めも疲弊しているであろうし、あとは物の数ではあるまい」



 “聖徒”――後天的に魔力を注入され、人智を超えた力を宿す魔導騎士。幾多の犠牲を払って確立したその術式は、間違いなくレノーン軍事史を書き換える一大計画だ。今回の派兵で送り込まれた“聖徒”は計十名、何よりこのロードリック卿こそ、同術式に一際高い適性を見せ、“聖徒”たちの隊長として列されるほどの実力を有している。いかに使徒もどきとはいえ、この覇権国家による最新鋭の技術で生み出された、肝煎りの精兵たちには及ぶまい。あとの有象無象は、野戦なり山狩りなり、物量で擂り潰してしまえばいいだけだ。



「問題は、連中を飼っている背後ですな。よもや、単騎でしでかした(・・・・・)はずもあるまい」

「またカドレナか……しかし、南に逃げたということは――カルヴェアめが噛んでいる?」

「連中にそんな胆力があるとも思えませぬが……あるいは、ガルネスあたりに煽てられたか……?」

「いずれにせよ、きっちり捕えなければなりませんな。誰の差し金か、正しく吐かせなければ」

「本当にカルヴェアでしたら、これを口実に朝貢を増やさせますか」

「ロードリック卿、くれぐれも加減してくれ給えよ。うっかり全滅させてしまっては、折角の好機が失われるからな。ははは」



 さてカルヴェアにはいくら吊り上げてやろうか、これを機にガルネスも相手取ろうか、ハハハ……すでに使徒もどきへの興味を失い、雑談紛いの会議を始める幕僚たちに、ロードリックは分かりやすく舌打ちした。談笑が混じる会議に、それは容易く溶けて消えていった。



(……使い物にならん! どいつも、こいつも――!)





 ――数日後、これらの騎兵隊の居所は、すべて判明した。

 それぞれ派遣された四方向、その先で、一騎残らず(・・・・・)斬殺された(・・・・・)有様を、近隣の農夫たちが発見した。

 しかし、その報告はどこにも伝達されなかった。

 それを受け取るべきあらゆる機関、組織、部隊が尽く崩壊し、すべての機能を停止させられたためである。






 ◇ ◇ ◇








「しっかし、迷惑なハナシだよなぁ」



 リルの刻(午後八時ごろ)、聖都軍の野戦陣の最後尾。赤黒の闇に呑み込まれた夜の中で、夜番の兵士たちが三人、焚火を囲んで雑談をしていた。



「まったくだ。こっちは実家の安否確認もできてないっていうのに」

「あの大騒ぎの直後に、しでかした(・・・・・)犯人の追手だってよ。お偉いさんは余裕があって羨ましいね」



 いつの世も、お偉い様の事情に振り回されるのが下々の常だ。ぱちぱちと爆ぜる焚火を前にぼやく彼らも、その宿命からは逃れられなかった。



「――別の隊のダチは、家丸ごと潰れちまったんだってよ。嫁さんとガキも巻き添えで」

「……碌でもねぇな。“魔公女”の野郎……」

「捕まえたら嬲り殺しにしてやろうぜ。そうでなきゃ、奴さんに殺された市民も浮かばれねぇ」

「でもよぅ、例の“魔公女”ってなぁ、相当別嬪さんらしいぜ。ただで殺すのは勿体ねぇだろ」

「そりゃいい。捕まえたら、目いっぱい楽しませて(・・・・・)貰おうか。そんくらい、バチも当たんねーだろ」



 兵士たちがそれぞれに、義憤と興奮でぎりぎりと拳を握りしめる。貴きレノーン聖王国に仇なす“魔公女”シルヴィア――それを手ずから凌辱し、殺戮する絶好の機会だ。



「なに、昨日の今日だ。そう遠くまで逃げられないはずだって話だぜ」

「明日には見つかるって寸法か。いいね、昂ってくらぁ」



 一人が語る噂話に、もう一人がぱんと拳を叩く。気炎万丈、居所さえ判明すればいつでも行ける気概だ。

 ところがそれを、もう一人が制した。



「それがよ――先遣の偵察隊が、まだ戻ってきてねぇんだとよ」

「はぁ?」



 その言葉に、残る二人は首を捻った。



「もう夜じゃねえか。流石にどっかは戻ってきてんじゃねぇの?」

「そういえば、新しい魔導具が支給されたんだってな。遠く離れた場所に声を伝えるってヤツ」

「ところがどっこい、どこからも(・・・・・)報告が来てねぇ(・・・・・・・)んだと。こりゃ(おか)しいって、流石に上も警戒してるらしい」



 赤黒の瘴気を差し引いても、すでに暗闇が世界を覆い尽くす時刻であり、獲物を探すのは困難だろう。仮に見つからなかったとしても、探索を切り上げて結果報告に戻る頃合いのはずだ。それが報告すらないとは――尋常な事態ではないと、子供でも分かる状況だった。



「へぇー……例の使徒もどきの仕業かねぇ?」

「きっとそうだぜ。俺たちの想像より、おっかない連中かも知れねぇな」



 それが、彼ら三人の最後の会話だった。

 ひゅぱりと黒い剣閃が迸り、一太刀で三人の喉首をまとめて斬り裂いた。三人は喉の激痛と逆流する血液に溺れ、訳も分からぬままどうと横倒しに倒れ、そのまま事切れた。誰にも気づかれぬまま、ぱちぱちと焚火が爆ぜる音を残すばかりだった。

 その焚火を、黒い剣閃が撥ね上げた。

 火が点いたままの薪がすこーんと高く放り投げられ、天幕のひとつにぶつかって落ちる。布と堅木を中心に建てられた天幕は、あっという間に薪の火を喰らい、自らぼうぼうと燃え上がり始めた。それが薪の数だけ放散して、次々に延焼する。兵士たちの幾人かがその異様に気付くには、僅か数秒で充分だった。



「おい、火事だ! 火を止めろ!」

「急げ急げ! 見張りは何をしていた!?」



 慌てて火を消すべく、兵士たちが右に左に駆け始める。ざわざわと喧騒に満ちる陣の片隅で、黒い剣閃が走り、松明がすこんと放り上げられた。それは積荷の一角に落ちると、見る見るうちに木箱に燃え移り、ばちばちと爆ぜながら膨れ上がった。その傍らには、重厚なレーウェンフック火撃砲と、それを動かすための魔術触媒。



「なにっ!?」

「魔術触媒に引火するぞ! 急いで火を消せ!」



 突然の延焼に、兵士たちの混乱が広がった。どこから手を付けたものかと、右往左往が始まる。

 ――その間隙を、黒い剣閃が襲った。



「ぐわっ!?」

「ぎゃあっ!?」



 姿を見せない剣戟が、次々に無防備な喉を斬り裂いていく。仕手の見えない斬撃に、兵士たちの間で際限なく混乱が拡大していった。



「な、なんだ……!?」

「し――司令部に報告しろ! 攻撃を受けている(・・・・・・・・)!!」



 正体不明の攻撃に、兵士たちは這う這うの体で逃げ出した。その背をさらに、見えぬ黒閃に斬り裂かれながら。



 その後姿を追い立てるように歩いていく黒い影を、捉えられる者がいただろうか。

 鉄紺色の頭巾と深緑のロングコートを漆黒の闇で覆い隠し、光を反射しない黒刃を握りしめて歩く、実体なき闇そのものを。






 ◇ ◇ ◇








「――報告! 後方から(・・・・)攻撃を受けています! 勢力は不明!」

「な、なんだと!?」



 野戦陣中央。息せき切って飛び込んできた兵士の報告に、寝支度をしていた幕僚の一人は脳天を殴られたような衝撃を受けた。

 こちらは聖都を背に追う側で、つまり敵性存在が現れたとしても、それは正面からのはずだ。よしんば使徒共の仕業だったとしても、後方からは断じてあり得ない。それこそ、哨戒の兵士や先遣の騎兵隊が道中を発見するはずだ。



前方から(・・・・)ならともかく、後方はあり得ないだろう! 何者だ!?」

「分かりません! 被害は今もなお拡大中! レーウェンフック火撃砲も巻き込まれました!」



 叱り飛ばすような言葉に、しかし憔悴した兵士はなお悪い報告を述べる。何故。何が。誰が。どうやって。何のために――混乱する脳内は、一向に明朗な解答、なすべき対策を提示しない。やがて至ったのは、あり得ないと切って捨てたはずの可能性だった。



「まさか……もどき(・・・)か――!?」

「そんな、馬鹿な……!?」



 未知数の戦力である使徒もどき。ロードリック卿が異様な危機感を抱いていた、正体不明の存在。たかが不遜な僭徒と油断した報いが、これだというのか。

 ともかく、対処しなければ始まらない。一刻も早く標的を見つけ出し、始末しなければ。



「交替部隊を叩き起こせ! ロードリック卿に連絡しろ!」



 その命令を皮切りに、俄かに慌ただしくなる野戦陣中央。隠し切れない憔悴が、ざわざわとした混乱となって伝播していった。



墨染

 晦冥の湾刀(イーレグラム)の戦技

 闇の力で空間を歪め、離れた敵を斬りつける

 特に、刺突攻撃との相性が良い戦技


 不意打ちを容易とする業は、ともすれば卑怯だが

 そも、誉ある勝利など必要ない

 使徒の戦いとは、闘争ではなく“狩り”なのだから

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