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神宿ル劍  作者: 竹河参号
04章 魔の凱歌を謳え
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02.善悪の轍

「……まあ、残念な結果にはなっちゃいましたけど。ま、最悪の結果だけは回避できたってことで、なんとか元気出していきましょ」

「はい」



 七月十日、ノルタの刻(正午ごろ)。ヴァルク傭兵団に割り当てられた天幕のひとつで、ラグはそう切り出した。

 目の前に座る崚は、無表情でそれを聞いていた。この天幕まで法務官に連れられ、ようやく手枷を解かれた彼は、無感情であろうと努めているように見えた。それに触れるべきか、ラグは一瞬だけ迷った。



「……君、自分の状況分かってます? もうここにいられないんスよ?」

「ええ、はい」



 思い切って問い質すも、端的すぎる返答が返ってくるだけだった。崚にとってはもはや、この問答すら煩わしく思い始めているようだった。



「最後まで迷惑かけてすみませんでした」

「……まあ、僕がどうこう言えた立場じゃないんスけど」



 そう言って、ぐっと頭を下げる崚に、ラグは掛ける言葉が見つからなかった。本来なら、上官である彼やカルドクが庇い立ててやるべきで、そうできない無力を恨まれてもしょうがない話なのだ。

 だがそれは第一副将モラド、つまり直接の雇用主に止められた。エレナとの距離が近すぎるゆえに、崚を庇うとエレナとヴェスタ伯の間で対立が生じかねない。未だアレスタの脅威が残る現状、軍内部の不和は極力避けたい。配下の騎士を殺されたヴェスタ伯の怒りを鎮めるためには、崚への処分は避けられない――言葉を選ばなければ、トカゲの尻尾切りも同然だ。

 重苦しい沈黙に支配された天幕で、最初に口を開いたのは意外な人物だった。



「これから、どうするんだ」

「わっ、セトさんいたのか。ええと、一旦カーチスの砦に戻ってみます。まだ無事だったら、掃除しながら皆さんの帰りを待ってますよ」



 めずらしく自分から口を開いたセトに小さな驚きを覚えつつ、崚は淀みなく答えた。その返答に、口を挟んだのは団員の一人クレイだった。



「一人でやるのか。食いもんとかは大丈夫か?」

「まあ、正直ちょっと怪しいところではありますけど……困ったときは、ふもとの村に頼ってみます。多分、ほとんどの傭兵はこの内戦に参加してるでしょうし、それ以外の魔物討伐とかは、人手不足になってると思うんです。そのあたりの仕事を貰って、糊口凌いでいこうと思います」

「しっかりしてんなぁ、お前」



 まるでこの事態を了解していたかのような明瞭さに、クレイも思わず呆れるしかなかった。歳の割に聡い奴だとは思っていたが、ここまで利口だと、いっそ不気味なものさえ覚えてならない。



「本当は、僕らがちゃんと面倒見てあげないといけないんスけど……

 この軍にはもう関われないから、別の傭兵団に口利きってわけにもいかないし。かといって、アレスタの軍に行くわけにもいかないし。ていうかそんなコネ無いし」

「団長とラグさんにそんな甲斐性は期待してないです」

「ほんと口が減らないっスね君は!」



 苦い表情で語るラグに、崚が茶々を入れ、彼の叱責を買った。とても明日には別れさせられ、そして二度と会わないかもしれない人間同士のやり取りではなかった。

 ずっと椅子に座ったまま、渋面で沈黙を守っていたカルドクが、ついに堪らなくなった様子で口を開いた。



「――リョウ。お前、本当にそれでいいのか」



 天幕内は、再び重苦しい沈黙に呑み込まれた。当の崚だけはまるで気にしない様子で、その半眼をカルドクへと向けた。



「しょーがないでしょ、こういう判決が下っちゃったんすから」

「俺が言いてェのはそういうことじゃ――」

「こういうことでしょ」



 思わず声を荒げそうになったカルドクを、崚が問答無用とばかりに遮った。



「いろんな都合とか、道理とか、利害とか……そういう諸々を天秤にかけた結果、『傭兵一人を切り捨てる』ってのが最良だと判断された。その程度で片付く(・・・・・・・・)話でしかない(・・・・・・)と判断された。――それとも、抗議活動(ストライキ)でもやりますか? 軍全体をひっくり返す、上を下への大騒ぎに押し広げますか?」



 崚は半眼のまま、一同をぐるりと見渡しながら挑発した。カルドクは不承不承ながらも二の句を継げず、ついに押し黙ったまま椅子に座り直した。その反応が全てだった。たかが傭兵一人の尻尾切りのために、軍全体を巻き込む混乱など起こせない。それでは本末転倒だ。

 周囲の反論がなくなったのを確認すると、崚は改めて一同へと頭を下げた。



「じゃ、皆さんもお気を付けて。武運を祈ってます」

「……うん、君も気を付けて」



 やっとこさラグが応えたのを聞き届けると、崚は周囲の団員たちに構わず立ち上がった。行先は、別に割り当てられた天幕。たしか十人隊長に昇格したマイルズの天幕に、荷物を置かせてもらっていたはずだ。

 支給された防具は支度金からの拠出ということで、取り上げられることはないらしい。手切れ金替わりには心許ないが、しかし無いよりまし(・・)だ。行く宛のない崚にとって、放逐された後に行くべき場所といえば、カーチス領にあるヴァルク傭兵団の砦しかない。野宿するしかない道中、装備が充実しているに越したことはない。

 と、そんな崚の目の前で、ばさりと天幕の戸布が翻った。思わずびっくりした崚の目の前、その戸布の向こう側にいたのは、一人の砂人(オグル)の戦士だった。



「おい、傭兵」

「……何か?」



 戦士のつっけんどんな物言いに、崚は思わず身構えた。いまさら態度ひとつで気分を害するような自尊心は持ち合わせていないが、相手は諸人(ヒュム)を侮りがちな砂人(オグル)の戦士だ。それがわざわざ、諸人(ヒュム)の野営地に足を運んできた意図が読めない。

 ところが戦士は、何か言葉に迷うような素振りを見せた。



「あー、実は、諸人(ヒュム)の通訳を探している」

「……あ?」



 戦士の言葉に、崚は目の色を変えた。



「何でも、王女軍側の通訳が(くび)になったとかで、急遽代役を探すことになった。こちらでも通訳団を用意しているが、将ラシャルの御付として軍議に出るため、特に秀でた者を探している」

「お、おい、ちょっと待て」

「当然、頭でっかちな文弱の徒などお呼びじゃない。一時とはいえ我らの同胞として、将ラシャルの御側に仕えるわけだからな。戦士であることは必須条件だ」

「そういう拘り方するから人が育たねえんじゃねーの?」

「うるさい」



 崚の制止を無視して、何かお題目を諳んじるかのような、わざとらしいものを感じさせながら語る。――諸人(ヒュム)との交易を検討しているなら、もっと他国の文化へ歩み寄るべきであり、まず『言葉が通じる者を増やす』というのは重要な課題だろう。砂人(オグル)側の意識改革は、もう少し遠いかも知れない。

 と、そんな二人のやりとりへ、ラグがおずおずと割り込んだ。



「……何ですって?」

「通訳を探してるとか言い出しました。ラシャル将軍付きの優秀な人材を」

「えっ、それって……」



 崚の要約に、ラグもまた目の色を変えた。二人の思い違いでなければ、これは――



「将ラシャルからベルキュラスの王女に相談したところ、一人の傭兵を提案された。優れた剣士で、通訳としても優秀らしいが、名前だけ(・・・・)忘れてしまったらしい。誰のことか知っているか?」



 戦士のわざとらしい物言いに、崚は閉口するしかなかった。条件に該当する人物など、まさに一人(・・)しか思い当たらない。こうも回りくどい言葉を弄するのは、賢明というより狡知の類だろう。



「……野蛮な上に小賢しいとか、どうしようもねー民族だな」

「何だとこの野郎」



 嘆息しながら吐き出された崚の言葉に、戦士は思わずむっと言い返した。






 ◇ ◇ ◇






 荷造りを済ませた崚が砂人(オグル)の戦士の一人に連れられ、その将ラシャルの天幕へと案内された頃には、イラの刻(午後四時ごろ)を回っていた。

 ラシャルは一人、静かに酒杯を呷っていた。夕餉には少し早く、供回りも傍にいない。一足先に晩酌を愉しんでいるかのような、奇妙な優雅さがあった。彼は崚を連れてきた戦士に「ご苦労」と目配せすると、戦士は一礼しさっと退出した。返す返すも、『蛮族』という蔑称に相応しからざる練兵ぶりだ。

 これで、天幕内は崚とラシャルの二人きりになった。外の戸口を守る衛士二人を除けば、正真正銘の一対一だ。



「座れ」



 ラシャルは顔を上げて崚に視線を遣ると、そして目の前の空座を指差した。意図が読めない。崚は懐疑心を隠せないまま、その言葉に従って腰を下ろした。



「えっと、どうも。砂人(オグル)の挨拶とか知らないんで、無作法で申し訳ないすけど……」

「知っている。そんなものには端から期待しておらん」



 おずおずと述べる崚の言い訳を切って捨てると、ラシャルはぐいと酒杯を呷った。大酒呑みは勇士の証ともいうし、この男もなかなかの酒豪なのかもしれない。

 ……会話が途切れた。相手の出方を伺って言葉を発せられない崚と、その意図を明かさないラシャル。沈黙は、しかし長く続かなかった。ラシャルが、空になった己の酒杯を崚へと突き出した。



「どうした、注がんか」

「――あっ、酒?」

「他に何がある?」

「今さっき作法には期待しないって言ったじゃん!」



 つつくようなラシャルの物言いに、崚は不満げに口を尖らせた。齢十七、未だ酒宴の席というものを解していない崚にとっては、こんな作法になど慣れていない。仕方なく、ラシャルの目の前に置いてあった酒瓶を持ち上げ、その杯に濃紅色の液体を注いだ。……適切な量がよく分からない。ひとまず、縁に達しない程度の量を注ぎ切ると、崚はそこで酒瓶を引っ込めた。相対するラシャルが特に不機嫌そうな表情を浮かべていない辺り、妥当な量だったらしい。ラシャルは次にもうひとつ、空の酒杯を差し出した。



「呑むか」

「……いや、未成年なんで……」



 その誘いを、崚は恐る恐る遠慮した。異世界にあって法令順守もへったくれもないし、そんな殊勝な人間だという自覚もないが、未知に対する不安が勝った。とかく酒とは人を狂わせるものであり、そんなものに呑まれて醜態をさらしたくない、という羞恥心の方が勝った。

 一方、ラシャルは崚の言葉に首を傾げた。心底意外そうな表情だった。



「ふむ? 俺がお前くらいの歳のころには、もう酒の味を知っていたが」

「ちゃんと成人してから呑んだんすか」

「いいや。十三のころ友と一緒に、大人たちの目を盗んで呑んだ」

「不良少年じゃん……」



 まるで悪びれた様子のないラシャルの告白に、崚は閉口した。大人しく言いつけを守るような賢明な少年時代を送ったとも思えない男だが、未成年飲酒は腕白というより、ただの不良だろう。あるいは、そうさせるほどに『大人たちが酒を愉しむ』という習慣に興味があったのか。

 ともかく、同じ好奇心を抱けない崚だったが、ラシャルはそれを否定しなかった。



「まあ、いいさ。稀人(・・)というのは、さぞかし大事に育てられるものらしい」

「――!」



 ラシャルの感嘆に、崚は思わず息を呑んだ。

 『稀人』――その表現は聞いたことがある。確か、異郷から来訪する(・・・・・・・・)特異存在(・・・・)のことだ。人界にあってはもっぱら神々を指すものだが、しかし次元を隔てた彼方から来たという意味では、純粋なヒトも含めていいだろう。――この男は、それに気付いたということか?



「聞いた話では、記憶喪失を自称しているそうだが。お前の思慮深さを見ると、どうもそれらしく見えん。といって、ベルキュラスの事情に明るいようでもないしな」

「な、何のことだか……」

「隠し立ては無用だ。お前は存外、嘘が下手のようだからな。

 ちなみにベルキュラスの成人は十六、カドレナも同じだそうだ。王女は十五だそうだが、お前が同い年には見えんな?」



 しどろもどろに誤魔化そうとする崚の言葉を、ラシャルは鼻を鳴らして遮った。その顔の挑戦的な色は、当てずっぽうやカマかけの類ではない。――この男は、自分の正体を確信している。



「心配せずとも、口外はせん。諸人(ヒュム)共はどうだか知らんが、俺は下らんことで部下を選んだりはせぬ」



 愕然とする崚へ、ラシャルがさらに追撃した。この五ヶ月間、不審がられつつも、誰にも気づかれなかった真相だ。それを正確に言い当てられ、その上で伏せてくれるというのだから、崚が反論できることはもうなかった。崚は仕方なく、その言葉に甘んじることにした。



「まあいい、呑んでみろ」

「……だから、未成年なんですって」

「お前、幾つだ」

「十七です」



 改めて突き出された酒杯を、崚は手を突き出して拒否した。事ここに至って、もはや年齢を取り繕う必要はない。だが崚の返答に、ラシャルは訝しげに眉をひそめた。



「“魔公女”と変わらんじゃないか。アレは結構な酒豪らしいぞ」

「あいつ酒癖悪そうだけど……どのみち、呑んだことないんですって」

「ならば尚のことだ。知っておいて困ることでもあるまい」



 いいから呑め、と問答無用に突き出された杯を、崚は仕方なく受け取った。とすかさず、流れるような所作で酒瓶を奪い取ったラシャルが、その杯へ勢いよく酒を注いだ。あっこの野郎! と崚が咄嗟に叫ばなかったのは、賢明といっていいだろう。

 なみなみと揺れる濃紅色にたじろぎつつ、崚は啜るように酒杯を呷った。得体の知れないモノをとりあえず前脚でつつくような、動物的防衛本能によるものだったが――



「――にっが! まっず!」



 口いっぱいに苦味、甘味、酸味が綯交(ないま)ぜになって広がり、形容しがたい刺激となって崚の舌を襲った。反射的に吐き出さなかったのは、僥倖といっていいか、どうか。



「ははは、舌が子供だな! この味わいが癖になるのだろうが!」

「ああ、くそ! よく飲めるな、こんなもん!」

「なに、何事も慣れよ。いずれ分かるようになる」



 初めての味覚にぐぇぇと呻く崚の醜態を、ラシャルが呵々と笑い飛ばした。

 こんなものを好んで呑むなど、大人共はどうかしている――その拒絶反応は、まさしく成人に至るための通過儀礼だった。こんなものにいつか舌が慣れ、臓腑が慣れ、多くの慣用句に喩えられるような美味と思えるような日が来るのだろうか。それはきっと喜ばしいことだろうが……とはいえ、口を付けてしまったものはどうしようもない。崚はちびちびと、啜るように酒を飲み、



「愛しの王女様に捨てられて、気落ちしているかと思ったが。存外、元気そうだな」



 にやりと笑うラシャルにとんでもないことを言われ、ぶーっと盛大に吹き出した。



「げっほ、げっほ!」

「おい、汚いぞ。稀人というのは行儀も知らんのか」

「げっほ! きっ、気管に……!」



 盛大に咳き込む崚の醜態を見、ラシャルが顔をしかめるが、当人にどこまで届いていたことか。崚にしてみれば、いきなり爆弾発言をぶち込んできたのはラシャルの方である。ようやく気管に入った酒を吐き出した崚は、涙目できっとラシャルを睨んだ。



「……げほ、何すか、急に。いじめたいだけなら下がりますよ」

「威勢がいいな。今のお前の主が誰か、分かっているのだろうな?」

「うっわーパワハラ。そのうち靴を舐めろとか言い出すのかな、この人」

「? 靴は貴重品だろう。舐めてどうする?」

「慣用句です。忘れて」



 ふんと鼻を鳴らして答えるラシャルだったが、負けじと返した崚の厭味を理解できず、首を傾げた。確かに砂漠なら、革製品も貴重品だろう。文化風習の違いが仇となり、崚は仕方なく厭味を引っ込めた。



「何にせよ、お前にそんなことは求めておらん」

「……それなんすけど」



 言い捨てるようなラシャルの言葉に、崚は口を尖らせた。



「何で俺を拾ったんですか? ぶっちゃけ、通訳なんかいっぱい用意してるでしょ。執政官も、すぐに専任の通訳を用意できたし。おたくらだって、傭兵の俺に依存する前提で、援軍を派遣なんて考えないでしょ」

「その通りだ。お前は所詮傭兵、一人いなくなったところで立ち行かなくなるほど、重要人物ではない。

 ――ただ、お前が最適であるのも事実だからな。諸人(ヒュム)共の事情など知らんが、向こうが手放すというのなら、こちらで有効活用するまでだ」

「……あなたが出てた軍法会議で追放処分された人間を、あなたの軍が拾うってどうなんすか」

「ベルキュラス軍の都合など知ったことか。我らは友軍であって、連中の軍門に降ったわけではない。ましてや我らの都合で雇った人間について、連中にどうこう言われる筋合いもない」

「聞いてる限り、明日以降の軍議に俺も出るんですよね? どんな顔して出たらいいんすか」

「どんな顔も何もあるまい。今まで通り、通訳に徹すればいいだけのことだ」



 屁理屈もいいところである。臆面もなく語るラシャルの言葉に、崚は呆れてものが言えなかった。蛮族の猿知恵などと侮っていたわけではないが、こんなものは悪知恵の類だろう。



「では訊くが、どういうつもりで拾われたと?」

「……色小姓とか、そんな感じのではあってほしくないとは……」

「お前の歳では、少しとう(・・)が立ちすぎていないか?」

「…………」

「冗談だ。我が兄弟や他の戦士たちはともかく、俺は衆道を好まん。あと、お前の顔はそっち(・・・)の受けが悪い」

「何なのどいつもこいつもリアクションに困る評価ばっかり!!」



 ばっさりと言い捨てるラシャルの言葉に、崚は思わずどんと机を叩いた。別にモテたいなどとは思っていないし、ましてや男色家相手などお断りだが、かといって『お前は不細工だ』と言わんばかりの評価を突き付けられても嬉しくはない。

 そんな崚の憤慨を鼻で嗤うと、ラシャルはふと目つきを鋭くした。



「聞いているかどうかは知らんが――これは、王女も織り込み済みだ」



 その言葉に、崚もまた目つきを正した。その話は、伝令役の戦士から聞いている。



「……聞きました。『物は言いよう』みたいな、ふざけた言い分でしたけど」

「好きに言え。我らとて、都合が悪ければ乗らなかった話だ」

「……ベルキュラス側の諸将は、絶対納得しないと思いますけど」

「生憎、諸人(ヒュム)の言葉は分からんのでな。お前が訳さなければ、何も言われたことにはならん」



 崚の諫言に、ラシャルは白々しく答えた。ここまで屁理屈を重ねられると、もはや言語の違いを言い訳にした方便でしかない。今後、そういう常套句として使っていくつもりなのだろうか。そういうのは政治屋の領分だろう、と崚は顔をしかめた。



「それで? 表向きとはいえ、愛しの王女様に捨てられた気分はどうだ」



 改めて問われたラシャルの言葉に、崚は手の中の杯へと視線を落とした。『愛しの王女様』などという揶揄を止めたいところだったが、抗議したところで改めてくれるような男ではないので、諦めた。



「――別に。しょうがない、としか。あの流れで無理矢理庇ったところで、今度はエレナの立場が悪くなるだけだし」

「ふん、お利口なことだ。本音は?」



 無感情に言い捨てる崚の言葉を、ラシャルはふんと鼻で嗤った。崚の気分を変える効果はなかった。



「本音も何もないですって」

「……本気か? お前は王女個人に忠誠を誓っていたようだが」

「忠誠っていうほど、立派でもないですけど。あいつのために戦うのと、あいつの不利益を承知の上でしがみつくのは違うでしょ」



 即答で重ねられる崚の言葉に、ラシャルはだんだんとその顔に困惑を浮かべ始めた。これはもはや、自己犠牲の類ではない。始めから、自己の利益も不利益も(・・・・・・・・・・)勘定に入れていない(・・・・・・・・・)としか思えない。そもそもを糾すならば――



「――何故、騎士共を殺した?」



 ラシャルは、決定的な疑問に触れることにした。崚は口を閉ざした。



「無論、経緯は聞いたし理解もしている。『連中の暴虐を許せなかった』――ふん、傭兵とは思えぬ高潔さだ。王女も“魔公女”も、共感だけはしておったようだし、俺自身、まったく納得いかぬ動機とまでは思っておらん。

 だからこそ腑に落ちん。思想がどうあれ、お前の中の正義に反していると感じ、それに従って行動したのなら、『俺は悪くない』と厚かましく居直ればよかろう。何故あの処分を当然と受け入れた? それくらいなら、初めから手を(・・・・・・)出すべきではない(・・・・・・・・)と思わなかったのか?」



 重ねられるラシャルの言葉に、しかし崚は口を閉ざし、沈黙を守り続けた。それはラシャルに対する反抗心でも、一連の事件に対する忌避感でも、まして崚自身が形容に迷っている様子でもなかった。

 しばらく、沈黙が続いた。見かねたラシャルが、ふと口を開いた。



「……俺が思うに。お前は少々、真面目が過ぎるな」

「えっ」



 意外な評定に、崚は思わず顔を上げた。かつて一度も与えられたことのない言葉だった。



「王女もそう、あのお付の騎士もそう。真面目ゆえに頑迷で、己に対して(・・・・・)すら融通が利かんと見える。

 お前の場合、そうだな、『凌辱は許されざる悪だが、それはそれとして仲間殺しも悪』などと思っているのではないか? だからこそ連中を許せず剣を抜いた。だからこそ弾劾されてしかるべきと認めた。自分の正義を重視するあまり、他人の正義による断罪さえ許容してしまう――そんなところか?

 その真面目さは美徳だが、無為だな。自らの首を絞めるのが関の山だろうて」



 その評定を正鵠と見るべきか、どうか。少なくとも、崚自身は素直に受け取ることができなかった。



「……正義じゃ、ない」

「――ほう?」

「そんな、立派なもんじゃねえんだよ。連中が、ただ――どうしても、許せなくて――それだけ、なんだ」



 崚は俯いて視線を落とし、ぽつりと口を開いた。両手に握られた酒杯の中で揺蕩う濃紅色が、かすかに震え始めた。



「あんたら、あの時の連中の顔を見たか。正義だの騎士道だの、耳当たりのいい台詞ばっかり居丈高に並べて、やってることは凌辱と掠奪。他人の生活を踏み躙って、巻き込まれただけの人たちを殺して、ついでとばかりに女子供を強姦して――それで大義がどうの、正道がどうのとフカしやがる。

 ……ひどい面だったよ。正義なんてどこにもなかった。悍ましいとさえ思った。同じ人間だなんて、ちっとも思えなかった。何か悪い冗談とさえ思えてきた。他人を傷付けて辱めることに快感を覚えるクズ、そういう風にしか、俺には見えなかった。『生きてるだけで尊い、価値ある人間』だなんて、ちっとも思えなかった」



 ぽつぽつと語る崚の瞳が昏い光を帯びていくのを、ラシャルは沈黙のまま見つめていた。



「だから斬った。『性犯罪者は死ね』ってのが持論でさ、問答無用で首すっ飛ばした。『殺す覚悟』とかそんな御大層なもん、欠片も考えてなかった。

 勝者の栄誉ってのは、あれか。他人の人生も尊厳も全部ぶち壊す権利を主張することなのか? それとも腕っ節が強くなると、弱者を思うさま食い物にしていいとでも思い込むようになるのか? その人たちがその後どんな惨めな人生送らされるのか、想像つかねえのか? そんな頭もないゴミクズ共が、何しても許されるご身分になれたとでも? 思い上がんじゃねえよ倫理観パーの禿猿共が。

 連中の出自なんか関係ねえ。同じ諸人(ヒュム)同士? 王国のために戦う同志? それがどうした知ったことかよ。禿猿共が偉そうに、何を一丁前な口を利きやがる。――仮にやってたのが砂人(おたくら)だったとして、たぶん、同じように斬ってたと思うね。というか、きっと同じような顔してると思うぜ。そういうの、大好きなんだろ?」



 舌が回るうちに余裕が出てきて、崚はわざとラシャルを挑発した。だが眉一つ動かさず聞き続ける彼に、崚の気分は即座に粉砕された。憎まれ口で本音を隠す諧謔など、一瞬で冷めた。崚は仕方なく、再び酒杯へと視線を落とした。



「――ただ。誰も分かってくれなかった。団長もラグさんも、傭兵団の人たちも、全然理解してくれなかった。

 傍から見りゃ全部俺のヒステリーで、だから軍法会議も『俺が悪い』という結論を出すしかなかった。結局、それが全部だろ」



 そう納得する(・・・・・・)しかない(・・・・)――その結論が、客観的に正しいのか、どうか。どっちでもいい。崚には他に選択肢がなかった。

 だが、ラシャルはそう思わなかったらしい。



「それが無為だと言っている。違ウカ(・・・)王女ヨ(・・・)?」

「え――」



 ラシャルの言葉に、崚は咄嗟に背後を振り返った。

 それを合図とするかのように、天幕の戸布が翻った。果たしてそこには、エレナとエリス、そしてクライドが立っていた。三人ともが、いたたまれない表情を浮かべていた。



「お、ま――」

「俺の客だ。王女も、騎士もな」

「ごめんね。その、バレないようにって言われて」



 唖然とする崚の前後から、ラシャルとエレナがそれぞれに種明かしをする。いつから聞いていたのだろう。どこまで聞かれたのだろう。動揺する崚をよそに、三人は静かに天幕へと入り、空座へ腰を下ろした。なお衝撃から立ち直れない崚に向かって、ラシャルが身を乗り出した。



「なあ、リョウよ。他人の正義に道を譲ることが、それほど大事か?

 確かに、他人がお前の正義を認めるとは限らん。今回の場合、ベルキュラスの軍の秩序において、仲間殺しは悪だった。その動機も、手放しで容認できることではなかった。しかしそれは、『ベルキュラス軍という他人』の正義と照らし合わせた結果であって、お前自身の正義とは何の関係もあるまい。他人に否定されたからと心を閉ざし、悪だったと思考を止める必要はないだろう。

 それとも何か? 全ての他人が文句なしに許してくれる行動でなければ、お前には何一つ正義がないとでも? 馬鹿め、ただの傲慢だ。全ての他人に認められる正義など、俺は聞いたことがない。お前がそれを成したことがあるとも、これから成せるとも思えん」



 それは間違いなく正論だった。『客観的に妥当だと言える正しさ』だ。しかし、崚はそれに従うことができなかった。



「――でも、」

「『でも』、そう言えるのがお前たちの美徳だ。自分の正義を妄信せず、他人を慮ることができる。正義を御旗に他人を害することは悪だと、自らを律することができるのは、間違いなく正しい在り方だ。

 ……で? その正しさで雁字搦めになり、自分の首を絞めるのがお前たちの理想か? それで誰を幸せにできるのか、俺には分からんがな」



 快刀乱麻を断つ。崚の主張を否定することなく、そのうえで無為と断言したラシャルに、崚はついに何も言えなくなった。思わず視線を落とした先に、持ったままの杯があり、濃紅色がただ揺れているだけだった。



「――なあ、リョウ、」



 クライドが、おずおずと口を開いた。



「……彼らを殺して、お前は満足したか」

「スッキリ? ――全然しなかったよ。するわけねーじゃん」



 クライドの問いに、崚ははじめて応えた。

 ずっと奥底に隠してきたその真意が、ようやく漏れ出始めた。初めての飲酒で、すでに酒精(アルコール)が回り始めていた崚だが、しかしその胸は不快感でいっぱいだった。



「連中を八つ裂きにしたところで、何も解決しなかった。別の何かに、八つ当たりをしたい気分にさえなった。殺された人が戻ってくるわけじゃないし、強姦された人たちがそれを忘れられるわけじゃない。楽になったのは、汚物(・・)を始末した俺だけだ」



 何も解決しなかった。どうしようもなかった。己の所業に、己自身が耐えられなかった。崚は酒杯を握りしめたまま、深く深く項垂れた。



「――分かってんだよ、全部独りよがりだってことくらい。

 急な政変の直後でかき集められた連中だ。装備は自前が当然、それまでの生活だって、全部放り出して駆け付けたんだろ。勝たなきゃ全部失うのが当然の戦争で、その『勝つ』ために『自分が死ぬ』ことを勘定に入れないといけない。明日『我が軍の勝利のために死にに行け』と命じられるかも知れない――そんな精神状態で、それでもお利口に賢明にいろだなんて、無茶な相談だ。安全の保証だの福利厚生だの、そんなぬるい話がまかり通るわけがない。そもそもこの社会は(・・・・・・・・・)そんなに豊かじゃない(・・・・・・・・・・)。どっかでガス抜きしなきゃ耐えられなくなって、その結果、目先の快楽に飛びついただけだ。

 ……勝者の栄誉とか何とかじゃなくて、掠奪を悪と断じる余地がここ(・・)に無い。明日をも知れぬ恐怖と緊張の中で、目先の快楽に飛びつくことを咎める余地が無い。――戦争も知らない日本人の俺が、その水準を他人に押し付けるのは、お門違いなんだ」

「……何を――言って、いる――のです? だって、貴方は――貴方の、非では……」



 絞り出すような崚の言葉に、エリスは何とか否定の言葉を紡ごうとし、しかし見つけることができなかった。残る三人にも理解できないことだった。その断絶こそが全てだった。崚を襲った激情の所以(ゆえん)を誰も理解できず、故に彼は口を閉ざすしかなかった。その衝動を、その憎悪を、その懊悩を、誰とも共有できない。独り口を閉ざし、後悔と自己嫌悪と罪悪感で自家中毒に陥るしかない。それが今、ようやく決壊したばかりだった。

 息苦しささえ覚える沈黙の中、最初に口を開いたのは、ラシャルだった。



「なるほど、違和感の正体はそれか。分かり合えないわけだ」



 独り納得したような言葉を述べるラシャルに、当の崚さえ戸惑いを覚えた。彼の言葉を理解できないクライドが、ためらいがちに崚をつついた。



「将軍はなんと?」

「俺に対する違和感の正体が分かったと。『分かり合えないわけだ』ともさ」



 それを訳する崚を横目に、ラシャルはぐいと酒を呷った。ずっと不敵な笑みを浮かべていた男が、初めてその顔を翳らせていた。



「つまりお前は、『平和で満ち足りた社会』を知っているわけだ。他人と奪い合いをせずとも生きていける――命を繋ぐために命を捨てる必要がない、それが明日も明後日も、当然のように続いていく社会を知っているわけだ。しかも困ったことに、それがいかに恵まれているかを理解している。奪い合わなければ(・・・・・・・・)ならない(・・・・)世界への無知(・・・・・・)を理解している。それがゆえに、『無知なる己の善悪を押し通してはいけない』などと思っているわけだ。

 ……お利口なのも考え物だな。こんな思考をしていては、とても正気でいられまい」



 呻くようなラシャルの言葉が、崚の思考を端的にまとめた。そんな平和な社会でも、崚のように闘争に順応できる人間が現れることは喜ばしいことといっていいか、どうか。しかし、こうして『当たり前』の水準の不一致に苦しんでいるのが事実であり、それは不幸と呼ぶほかないだろう。

 狂いなく言い当てられた崚に、誤魔化しの言葉は見つからなかった。彼は肯定するしかなかった。



「まあ――そう、ですね。命を繋ぐために他人と奪い合う必要がない、そういうのが当たり前の、『平和で満ち足りた社会』とやらから来ました。――だから、そんな恵まれた社会の基準を、奪い合いで精一杯のこっち(・・・)に押し付ける資格は、ないんです」

「――お前、は……」



 観念してラシャルの言葉を訳する崚の言いように、クライドは愕然とした。ただ己が生きていくために、他人と奪い合い殺し合いを演じなければならない、それらを生業として前提にしなければならない世界――彼からしてみれば、この世界はさぞ醜悪に映ったことだろう。にもかかわらず、この少年は「仕方ない」とそれを肯定し、そこに嫌悪感を覚える自身をこそ悪と見做していた、というのか。



「ごめんね、リョウ。ほんとにごめんね」



 ずび、と誰かが(はな)を啜る音がした。男三人が音の方へ視線を遣ると、その先でエレナがすんと(はな)を啜っていた。その眦に、きらきらと輝く涙をいっぱいに溜めながら。



「え、エレナ様……!」



 ぎょっとしたエリスが、咄嗟にハンカチを取り出してエレナに手渡す。涙混じりの少女の言葉に、もっとも動揺したのは崚だった。



「おい、冗談だろ。泣くなよこんなことで!」

「泣いてないもん。泣いたら、リョウが文句言うし」

「そこで変な意地張るなよ……」



 ハンカチでぐしぐしと拭っている時点で、もう形無し以外の何物でもあるまいに。この年相応に涙もろい少女の涙腺を刺激した理由が、崚には分からなかった。



「ごめんね、ふがいない王女で。もっとしっかりしないといけないよね」

「いやそれこそ、お前のせいじゃねえだろ」

「国政は、わたしたち王族の責務だよ。現状維持で満足して、そのせいで苦しんでる人を、傷付けられる人を見捨てちゃいけないんだよ」

「んなこと言ったって……」



 涙目のエレナの言葉を、崚は何とか否定しようと言葉を探した。ベルキュラスの国政が王族の責務であり、つまりそこで起きた不都合が王室に帰属するという理屈は、当然といえば当然だろう。しかしそれも結局、『ベルキュラス王室』という広い系譜にかかる話であり、エレナ個人に全責任を負わせるべき道理などない。ましてや、つい先日政変で父たる王を失い、未だ王位継承もしていないエレナには。



「結局、そういうのだってこれまで(・・・・)の積み重ねで、お前一人で変えられるような簡単な話じゃねえだろ。つか、即位もしてないお前個人に、全責任おっ被せるような話じゃねえんだよ」

「でも……」

「――治安維持も軍紀徹底も、我々三騎士団の責任です。エレナ様に非があるというならば、オレも同罪でしょう」

「だからお前におっ被せる話でもないんだって」



 なお食い下がるエレナに続き、苦々しい表情を浮かべたクライドが口を挟んできたため、今度はそちらの対応に追われることになった崚だった。バカ真面目も、ここまで来ると病的だ。どんどん思い詰めようとする優等生二人を、何とか宥めすかす必要に駆られた。

 もはや痩せ我慢もかなぐり捨て、ぐしぐしと涙を拭うエレナの、しかしその奥に意志の光が灯っているのを見て、ラシャルはその意図するところを察した。

 この少女は(・・・・・)諦めていない(・・・・・・)。崚の語る『平和で満ち足りた社会』を理想と思い描き、それを実現しようと心に誓っている。これはそういう目だ。百の不都合も、千の挫折をも踏み越えて、あるべき理想を追い求める強さがある。

 ――しかし同時に、それを見る崚の目が、その道の遠さを雄弁に語っていた。



「高き理想を掲げたところで、道のりは遠いようだな」

「……でしょうね。百年かけても、なお遠いと思います」



 ラシャルの言葉を、崚は素直に肯定した。一代二代で追いつく話ではないだろう。文明レベルの差を思えば、その十倍掛かっても不思議ではない。

 ――だから、この二人が背負される必要はないのだ。理想と現実の差に絶望し、怠慢であると己を責め、無力を嘆く必要などないのだ。



「だが、四方千里の砂漠だろうと――歩ミ出サネバ(・・・・・・)踏破デキヌ(・・・・・)。ソウ思ワンカ、次代ノ女王」

「……はい。がんばります」



 だが、ラシャルはそう思わなかった。理想とは、成し遂げようと歩み出した者にしか遂げられない。涙を拭き、毅然と顔を上げたエレナの顔にも、隣で頷くクライドの顔にも、その覚悟がある。それは、認めてやるべきだろう。



「――けど、……」



 しかし、崚は素直に認めてやることができなかった。

 富んだところで、それが美しい社会になるかどうかは、また別問題なのだ。




ラム・ゴルゴノス

 砂人(オグル)の勇士にのみ与えられる戦斧

 重厚な黒鉄を鍛えた刃と、柄尻の巨大な杭からなる武器

 両者は鎖をもって繋がり、分離させることができる


 並大抵の筋力では、持ち上げることすらできず

 半端な技量では、使いこなすことも叶わぬ

 まさしく、智勇兼備の豪傑のみに許される兵器だ

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