第2話 新しい人生
目を開けたらそこには知らない天井があった
本当に転生したのだろうか いまだに信じきれない
自分の手を見る 小さくきれいな手だ 元々のおっさんの手ではない
本当に私は死んで、新たな人生を歩んでいるのだと実感する
私の死は報道されただろうか
一部界隈では有名人だったと思うし
あの事故も大きなものだった
報道される可能性はあるだろう
私には家族がいなかった 両親は高校卒業したあたりで死んでしまった
そういう場合死んだらどうなるのか 一度気になって調べたがわからなかった
Vtuberとして一応事務所に所属していた
その事務所のマネージャーには顔も名前も知られている
もし報道されたならすぐにでも事務所から報告があるのだろう
ファンは悲しんでくれるのだろうか
自分が死んだという事実は遅れて実感するようだ
未練は、結構あるな
一番の未練はあのゲームが買えなかった事か
もしくはもう配信ができないということか
まぁ、もう考えても意味はないだろう
切り替えよう
元々の『私』瀧平 徹彦は死んだ
そしてこれからは新しい人生を歩むのだ
これからの『僕』のことを考えよう
それにしても今、僕は何歳くらいなんだろう
これまで僕の記憶がない
とりあえず起き上がろう
「あっデクス様、起きていらっしゃったのですね おはようございます」
メイドがいる
髪は銀髪の長いポニーテール
目の色は白に近い灰色
年齢は15歳くらいか
服装はメイドカフェ的なメイド服でミニスカートだ
そういえば女神が貴族の家に転生させるとか言ってたか
「おはよう えっと誰だったっけ 記憶が曖昧で」
「ティルシアです えっと記憶が曖昧といいますとどれくらい覚えていらっしゃいますか?」
どこまでと聞かれても全く思い出せない
「ほとんど忘れてるみたい 自分の名前も、歳すらわからないかな」
「そんなにですか では、いろいろご説明いたします」
「あぁ、助かるよ」
ティルシアによると僕の名前はデクス・ルガツカヤ 年齢は4歳らしい
父親はドルフ・ルガツカヤ、母親はヘレンというらしい
このルガツカヤ家の3男らしい
兄の名は長男がリック、次男がルーノというらしい
それと僕は2日程 高熱を出し寝込んでいたらしい
記憶が曖昧なのもこれのせいだと思われている
あとティルシアは僕の専属メイドだった
自分の顔はどんな感じだろうと気になった
「ティルシア 鏡ってある?」
「持っていますよ どうぞ」
ティルシアから鏡を受け取り自分の顔を見る
髪は黒で普通だ 目は右が赤く、左が白い オッドアイというものか
顔立ちは... 元の世界で考えるとかなり美形な方だと思う
この世界ではどうかわからないが
「ねぇティルシア」
「なんですか?」
「一般的に見て僕の顔はかっこいいと思う? 正直に言って」
「かっこいい方だと思いますよ モテること間違いなしです」
「そう...か」
元の私はお世辞にもかっこいいとは言われなかった
むしろかっこいいというやつは僕を貶して言っていた
その結果かっこいいという言葉に敏感になっていた
「あっ、忘れていました 朝食のご用意ができたのでお呼びしに来たのでした」
「そうだったんだ じゃあ、行こうかな」
ティルシアに案内され僕は食堂に向かう
こんにちは緋神 暁です
今回も読んでいただきありがとうございます