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説教

「お前は馬鹿か?」

「何でだよ!何か問題あったか!?」

 

 すると、おぼろげな男に頭を殴られる。

 やはり死ぬとこの世界に送られるらしい。

 

「いってぇ!」

 

 死んた後だと言うのに痛いものは痛いらしい。

 油断してたな。

 

「仕方無い。少し説教だ。」

 

 おぼろげな男はそこに座れと指さしてくる。

 俺は逆らわず、素直に従った。

 この世界ではこいつが全てだ。

 逆らうわけには行かない。

 

「良いか?まずお金を盗んだな?そこから駄目だ。」

「……あぁ、あれか。でも良いだろ別に、勇者だし、中身少なかったし。」

「駄目に決まってるだろ!」

 

 再度頭を殴られる。

 

「それは普通に泥棒だぞ。子供でも分かることだ。」

「……で?他には?」

「……ケインだ。勇者は仲間を追放したりはしないだろ。正当な理由があれば別だが。」

 

 成る程。

 ならば、反論の余地はある。

 

「待て!ケインは金食い虫だ!追放されても仕方が無いだろ!しっかりと説明した!」

「でもそれはお前の都合だろ?」

「……成る程、確かに。」

 

 ということは……。

 

「追放は基本駄目?」

「当たり前だ!」

 

 眼の前におぼろげな男も座る。

 

「良いか?皆に慕われる勇者は仲間を見捨てず、悪事も働かない。丁寧に説明すればいいってもんじゃ無いんだぞ。」

「……分かりました〜。」

 

 頭をポリポリとかきながら返事をする。

 

「本当に分かってんのか……?良いか?損するのはお前だからな。罰を緩めたりは絶対にしない。それどころか更に厳しくしても良いんだぞ。」

「わっかりました!」

 

 姿勢を正し、元気よく返事をする。

 

「まぁ、わかったんなら良い。さっさと行け。」

「……一つだけ良いか?」

 

 恐る恐る聞く。

 結構怒っているようだし、答えてくれるだろうか。

 

「別に怒ってはいない。呆れているだけだ。で、なんだ?」

「……パーティーの誰かと恋愛関係になるのは勇者としてどうなんだ?」

 

 すると、おぼろげな男は少し間を置くと笑い始めた。

 

「ははは!何だそんな事か!それくらいは気にするな。そこまで鬼じゃない。相手からの好意に誠実に向き合うのも勇者として……いや、人として当然の行為だ。」

「成る程。」

 

 しかし、おぼろげな男は少し暗い表情を見せた。

 いや、表情など分からないが、どこか悲しい雰囲気が漂っていた。

 

「まぁ、その結果お前に不幸が訪れるかもしれんがな。リリアとくっつけばソニアに殺されるか、ソニアが死ぬ。それにもしリリアがソニアと同じような感情を持ち合わせていたら、ソニアとくっつけば、同じ結果が待ってるだろ。」

「……そこは慎重に、ということか。」

 

 すると、男は何かを閃いたようで指を鳴らした。

 

「そうだ。この際だから二人の気持ちを確かめてみると良い。ソニアは分かってるからリリアのだな。やり直しが効くうちに二人の気持ちを聞いておけ。魔王を倒してからはもう死ねなくなるからな。」

「でもペナルティがあるだろ?そう簡単には死ねない。」

 

 死んだら能力が落ち、次の死に方がさらに悲惨なものとなるはずだ。

 

「……その場合は俺の裁量でなんとかしてやるよ。まぁ、頑張れよ。色々と。」

 

 足元が光始める。

 また一から始めるのか。

 

「あぁ、頑張るさ。色々と。」

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