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山岸T 3

「こんにちは。東雲君」

山岸Tは言った。


僕は頭を下げた。

「先生。仕事、終わりですか?早いですね」

僕は言った。

「ああ。ちょっと今日は子供の学校の授業参観があったので」


彼のお子さんは、近所の公立小学校に通っている。

男の子で小学4年生だった。

自分でそう言っていた。「僕は小学校4年生です」って。

小柄だが元気のいい男の子である。



序に奥さんも知っている。僕の通っている近所の歯医者で受付をしている。

山岸Tがイケてる男の見本みたいな人なのに対して奥さんは、こう言っては何だが、まあまあである。ごっつい体で四角い顔をしている。高校時代は「砲丸投げの国体選手」だったと言っていた。

歯医者に行った時に僕は聞いた。

如何にも「えいや!!」と叫んで砲丸を15メートル位、投げそうな感じである。

子供も奥さんに似たのか四角い顔をしている。

一度、三人で歩いている所に出会った。

山岸Tは会釈をして、僕を奥さんと子供に紹介した。

僕は顔見知りのオバちゃんが山岸Tの奥様と知って驚いた。



僕と山岸T達は歩きながら話をした。

「東雲君は、6月に転校して来たのですね」

「そうです」

「君はみんなに馴染むのが早い。まるでずっとここにいたみたいです。適応能力が素晴らしい」

彼は微笑んで言った。

僕は「有難う御座います」と笑った。


暫く黙って歩く。


「故郷の皆さんは元気でしょうか?」

山岸Tは何気なくそう言った。

僕は立ち止まった。

山岸Tも立ち止まる。

お互いがお互いの顔を見る。


「故郷って・・鹿児島の事ですか?」

僕は尋ねた。


僕は父の仕事の関係で鹿児島から転入して来たのである。

山岸Tは首を傾げる。

そして公園のベンチを指差した。

「ちょっと、座って話をしませんか」

そう言って、公園に入って行った。僕はその後姿を見ていたが、後に続いた。


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