第1話 2人だけの住処
第1話です!最後まで読んでくださると嬉しいです!是非、お楽しみください。
「…」
驚いた。僕に殺してと懇願した彼女。まさかこれほどとは。彼女を殺したくないという気持ちがより一層強くなった。
「それは辛かったね。…でも殺したくないな」
「どうして!?ねぇ、お願い…これしか道はないの…」
彼女は静かに泣き出した。
「君は、その辛い生活から逃げたいんだよね?」
「そうだよ…だから死にたいの」
「じゃあさ、わざわざ死ななくても逃げれる方法、あるじゃん」
「え…?」
「僕と一緒に暮らそうよ」
殺人鬼はそう言って不敵の笑みを浮かべた。
「一緒に…暮らす…?」
「そう!僕と一緒にこの森で暮らそ!」
「そんなの嫌だよ!第一、こんなところで寝れるわけないじゃない!」
「寝床ならちゃんとあるから大丈夫っついて来て」
そう言い、殺人鬼は歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ…っ」
こんな森でひとりになったらもう帰れない。ここで飢え死にしてしまう。それは嫌だ。絶対に苦しいと思うから。だから、ついて行くしかなかった。
殺人鬼は何も話さずただその寝床とやらに向かって歩いていた。さっきいたところが完全に見えなくなった頃、殺人鬼が急に止まった。
「ちょ、…急に止まらないで__…」
私は目を疑った。目の前には少し古いが森の中にあるとは思えないくらいの一軒家があったのだ。
「この家は…?」
「結構前までここに人が住んでたんだよ。だけど急に引っ越していって。今は誰も住んでないよ」
こんなところに人が住むなんて俄には信じられないが現に目の前に家が建っているため信じざるを得なかった。
「中も結構広いから2人くらいは余裕で住めると思うよ!ねね、ここで一緒に住も?今住んでるところは捨ててさ」
正直言って悪くない考えだった。今のアパートの一室より全然大きいし、お母さんだっていないし。
「でも食料とか、どうするの?」
「それなら大丈夫。殺した人のお金奪ってるからお財布には余裕があるんだー」
サラッとえげつないことを言っているがそこには触れない。
「洋服とかは君が家から持ってくれば解決するしどう?住まない?」
私は考える。お母さんとたまに知らない男の人がいるアパートの一室で暮らすか、それとも殺人鬼と一緒に山の中の一軒家に住むか。
普通に考えればアパートに戻っていただろう。だけどその時の私はどうやらおかしくなっていたみたいだ。
「あなたと、ここで住みたい」
そう言った瞬間、殺人鬼の顔がパッと笑顔になった。
「本当!?やったー!」
子供のようにはしゃぎ始める。(もしかしたら本当に子供なのかもしれない)
「あ、そういえばまだ名前聞いてなかったね。なんて言うの?僕は紅葉」
「…月澤 秋」
「秋ちゃん!宜しくねー」
そして前代未聞の二人暮しが始まった…
とぅーびーこんてぃにゅーど
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
どうでしたか?次回も読んでくださると嬉しいです!