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ポルターガイスト

作者: Oleg

クジマ猫が語ったミステリーストーリー

クジマ猫が語ったストーリー

俺は長年も生きているが、人間の無知さと傲慢さを不思議に思い切れない。彼らが我々をペットとして取り扱っているけど、実態は逆だろう。子猫を選ぶ時でも判断するのは人間じゃなくて、我々なのよ。少なくとも俺の場合にはそうだった。絶え間なくいじめてくる子供には直ぐ爪を出し、惚れ合いのカップルが餌をやるのをきっと忘れるから逃げ、ちゃんと世話をしてくれそうな女の手には俺が自分から飛び込んだんだ。

その女性がビクトリアといって、どこで寝ても怒られないし、餌も俺の好きな鴨味だ。怒られたのはただの一回だけで、テーブルの脚に引っ掻き始めた時だった。ビクトリアは部屋を借りているから家具に傷が付いたら賠償金を払わなっきゃとせつめいしてくれたので納得した。ちゃんと誤った。引っ掻きポールも買ってくれた。

天国と言える暮らしだったけど、数ヶ月後にビクトリアが惚れて結婚することになった。その相手は猫嫌いで、俺が「コイツ」と名付けた。

ベッドにも寝かせてくれない、俺の好きなアームチェアに勝手に座ったりし、全く無礼なやつだ。ビクトリアが出張でいなくなると売春婦を連れ込んでいたのでコイツにレッスンを教えてやろうと思った。コイツが違う女と遊んでいるいる所、彼女のブラジャーを盗み、ビクトリアが戻ったらそれを取り出して見せたのよ。ビクトリアが妊娠中だったけど、離婚する事に決めた。

ビクトリアに女の子が生まれ、アリーナと名付けた。我々は3人で小さな一間部屋で平和に暮らし、ビクトリアが雑務的な仕事をしながら建築家になろうと勉強していた。

そしてね、ビクトリアが出掛けている内に俺が暇な事を知らずに彼女のパソコンを開いて色々調べたりし、面白いと思ったページをビクトリアの目につくように残していた。若い建築家のコンクール募集も俺が見つけたんだ。ビクトリアが応募し、準優勝で多少お金も儲けたし、ある設計事務所から仕事のオファーももらったんだ。

生活に余裕が出てくるとビクトリアがもうちょっと広いアパートを探し出し、立派な二間部屋を超安い値段で見つけた。下見で行った時は何も不思議なことがなかったが、引っ越しが済んだらその日の晩から可笑しいことが起こり始めた。花瓶が飛んだり、シャンデリアが揺れたり、ビクトリアの設計図に学校に通い始めたアリーナのペンキが溢れたりした。あの暴れていたポルターガイストがビクトリアとアリーナには見えなかったが、俺には見えた。

「お前、ノミだらけ棒、便器を持って出て行け!ここはぼくのいえだ!」と俺に脅かしていたんだ。

ビクトリアもアリーナもポルターガイストの仕業だとわかり、ビクトリアが抵抗策をインターネットで調べ始めたが、アリーナが嬉しくなって粘土からポルターガイストの姿を作って寝室のテーブルに飾って、キャンディも隣に置いた。そして寝る前に「あなたの名前はなんですか?」とノートも残した。

ビクトリアが調べた抵抗策が全て失敗し、ポルターガイストを更に怒らせただけであった。薬草入りのジャム、超音波装置、聖水などを使ったが一時的にだけポルターガイストの気分を悪くしただけ。返って、アリーナのノートにBorとその名前も描き、粘土姿をちょっと直してその手に綺麗なビーズを入れた。

なんとなく俺もこのBorと共通の言葉で話し始め、あいつが俺にそのストーリーを語ってくれた。Borが自分のことを「復讐の天使」と呼び、悪いことをする人に飛び掛かるのを抑えられないとゆっていた。

「じゃ、ビクトリアがお前に何の悪い事をしたんだ?」と俺が聞いた。

「あのコンクリートとガラス張りの設計図は冷た過ぎる!なんのコンフォートもないぞ」

「それだけ?!」

「それだけ」

「お前はここで何十年暮らしてる?科学が進歩してぐで!お前は遅れてるんだ」と俺が叱りつけたんだ。

そしてBorが反省するかのようにあいつの好きなタンスへ行って、上に登って俺に背中を向いて寝込んだ。

「ほい、お前、怒ったんか?」と俺が攻撃を続けた。

「5分ぐらいも黙れないの?ノミだらけ棒」とあいつが答える。

なんとなく生活が治まり、Borが暴れなくなった。ビクトリアも抵抗策を止め、出かける前にテーブルに何時もキャンディを置いていた。

俺じゃなければどういう生活だったのだろう?


ああ、そうだ、思い出した(俺、アルツハイマーかな)、あの新しい二間 部屋の床下に魔法の水が入った黄金の瓶が保管されていて、ポルターガイストがそれをちょびちょび飲みながら力を補充していた。その魔法瓶の存在についてある魔女が知っていて一回それを盗みにきたんだ。俺とビクトリア、アリーナ、ポルターガイストが魔女とその息子とえらい「魔法瓶合戦」をしてしまったんだ。警察が1分でも遅刻すれば大変な事になりかねなかった。


それじゃまたね!

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