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彼の後悔1

僕の婚約者は完璧な女性だ。年下のせいか少し甘えん坊なところもあるが、そこが逆に可愛い。だから僕は彼女に初恋を捧げ、今もその恋を貫いていることを後悔していない……いや、していなかったんだ。

でも僕が20歳にるかならないかの辺りで異変は起こる。貴族たちが僕の婚約者であるヴィオレッタの悪口を急に言い始めたのだ。


“ダンスがあんなに下手くそなのに、第一王子の婚約者だなんて、恥知らずな女”

“髪と瞳の色だけで選ばれた紛い物の婚約者”

“あんな平凡な女、王妃に相応しくない”

“殿下の執務室に毎日のように入り浸っている不出来な婚約者”

“婚約者としての仕事もまともにこなすことが出来ていないのに、殿下の隣にいるなんて……殿下がお可哀そう”


確かにヴィオレッタの踊りはお世辞にも上手いとは言えないが、その他の部分は根も葉もないこと……ただの嫉妬や妬みから来た誹謗中傷だろう。

現にヴィーはダンス以外はちゃんとこなしてくれていた。外交やお茶会も問題なくこなしてくれるし、時には僕の執務の合間の癒しになってくれていたんだ。僕にはそれだけで十分だった。

でも人間というのは醜い生き物だ……特に貴族は。

嫉妬、羨望、妬み、嫉みからその相手が自分より一つでも劣っていると判断すると徹底的に叩く。

今まで何度もそんな奴らをヴィオレッタの見ていない所で潰してきたが、まるで蛆虫のように何匹も何匹も、しつこいくらいに湧き上がってくるのだ。

でも今回のこの噂の出現は急すぎて、大きな違和感がある。そんな風に疑問に思っていると、あの女が現れた。アルレイシャ皇国の第一王女、キャスティリオーネ=アルレイシャ。

立場がある人間というのは厄介だ。それなりの対応をしなくてはならない。しかもアルレイシャはかなり厄介な国。こちらが不機嫌な顔一つでも見せれば、そこから外交問題に発展しかねない。

だから僕はできる限り笑顔を作り、第一王女に対して丁寧な対応をした。他人曰く、僕は容姿はかなり良いらしいので、こういう態度を取っていれば女性は喜ぶ……筈だ。現に第一王女は僕にずっと蕩けたような瞳を向けていた。


けれど予想外だったのはその後だ。ヴィオレッタと合流しようと彼女を探してたが、会場のどこにもいなかったのだ。

近くにいた警備の兵に聞くと、ヴィオレッタは王宮の温室庭園に行ったという話だ。何故こんな時間にそんな場所に行ったのかは分からないが、ただ事ではない気がした。自分自身の誕生日を祝う夜会などどうでもいい。

何故かダンスの後着いてきていた第一王女を無視することもできずに、王宮庭園に行かなければならない事を話したのだが、何故か彼女も一緒に行くという。

わざわざ第一王女を引きはがして行く時間すらも惜しかった僕はそのまま彼女も連れて行くことにした。


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