朝に眠る
朝に眠る
朝が来たから、僕は眠るよ。
鳥はさえずっているけど、僕は眠るよ。
懐かしいコマーシャルを聞いて、はっとテレビを見る。
庭に日が射すのが、言いようもなく素敵に映る。
僕は病人で、飽和した眠りに飽きて、何もできずに布団に涙をこぼしている。
テレビからは誰か死んだ人の声が流れてきて、
その人を救えなかった、
僕はヒーローじゃなかった、
それがくやしくて僕は泣いていたんだ。
外から廃品回収車の歌うような間延びした声、が、聞こえる。
句読点を変なところにうつのは、詩人の習性だと知って真似してみる。
こちらはー、はい、ひん、かいしゅうしゃです、
ごかていないでー、ごふようになりましたー、
テレビー、エアコン、それから子供など・・・
うわあっ!!
知らない間に悪夢を見ている。
僕自身も知らない悪夢を見ている。
夜に目覚めて、僕はわけもわからず泣いた。
今意識を失えば、死んでしまうと、
洗脳された人のように、
今思えばばかだったね、
思っていたんだよ。
外気を吸い込むと、
外気はもともと他の人の息であるから、
冷静になることができるんだ。
そうすると僕は安心して眠る。
こうして忘れていった悪夢がいくつあったんだろう。
機械じゃないらしい、その音声に殺されて、
流しで繰り返し死に続ける素粒子。
哲学的過ぎて、考え出した僕にもわからないんだから、
今「なるほど」なんて思った君はうそつきだね。
せいぜい知識のあさはかさに殺されるといいよ、
って煽っちゃいけないね、
だって僕は明日から大人になるから、
大人はそんなことしない(はず)なんだ。
悪夢第256号は眠っているうちに過ぎ去っていって、
名前を付ける暇もなかった。
朝が来て、僕は眠る。
みんな生きている昼を通り越して、
太陽だって僕を起こさない。
起こそうにも、奥まった部屋にいるから起こせない。
何度も寝返りを打って、
悪夢は風みたいに通り過ぎて行って、
音声は耳に届かない、
素粒子は投げ出された手に殺されているだろう、
夜が来る、
僕は目覚めて、
今見た悪夢に名前を付けて、
明日から僕の友達とする。
ども。
あの、すいません。
連載の更新じゃなくてすいません。連載は明日か明後日に更新します。
悪夢っていやですよね。