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おともだちとのおやくそく

「下らないこと言わないでくれる? どっちが私達にとってメリットがあるか、話し合った上で結論は出したでしょ。

大体、アンタだって命令違反で処分受けることになるのよ。解ってんの?」


「何が命令違反だ、おかしいのは君達だ! そっちこそ解ってないのか!? コイツは葛城さんの頭を吹っ飛ばして、建物に穴をあけるくらい凶暴なんだぞ!」


「人間が変な手出ししなかったら、この子だってそんなことしなかったでしょ。……バカばっかりでうんざりするわね」


 翼は露骨に機嫌を悪くしてる。美人だから余計怖い。迫力ある。でも僕の味方みたいだから、頼りになるな。そのままこの嘘つきをコテンパンにしてほしい。

 嘘つき男は、なんだか傷付いたみたいな顔をしていた。そしてすぐに、僕を憎悪のこもった目で睨む。ええ……なんでコイツがムムムみたいな顔してるの? 立場絶対逆でしょ。そんな顔されても困るんだけど。


「どうして君はそんなことが言えるんだ。ケイブに家族を殺された人間を、何人も見ただろう! そんな獣以下の奴を仲間に迎え入れるなんて、頭がおかしいんじゃないのか!?」


「だから? それはこの子がやったんじゃないっつってるわよね」


「やってからじゃ手遅れなんだよ! 私の家族みたいなことになる前に、ソイツは解剖に回すべきだ! リスクを抱えたままでいられるか!」


「バカみたい。この子とちょっと喋ったら、他のケイブとは全然違う生き物だって解るじゃない」


「でもケイブだろ!? 結局同じだ!」


「ああ、もううるさい。アンタに何言ったって、危険だ危険だって喚くばっかりで理解しなさそうだからもういいわ」


 翼はばっさり嘘つきを切り捨てた。嘘つきは拳を強く握り込んで、唇をわなわな震わせている。悔しそう。


「どうしてなんだよ。……私には君たちの神経が理解できない」


 どうして私の家族を殺したケイブを、私が保護しなきゃならないんだ。

 そう吐き出された言葉に、翼はふっくらした唇を歪めた。


「出たわね、本音が。――割り切れないならここの仕事は向いてないわ。傷付かないうちに、辞めたほうがいいんじゃない?」


 翼はそう言い捨てると、僕を抱いたまま歩いた。さっきの嘘つきはもう、何も言わなかった。





 車椅子で運んでもらって、部屋に戻る。僕がビームを撃ったことはもう知れ渡ってるのか、来るとき以上にものすごいヒソヒソされた。腹が立つので威嚇ビームしてやろうかと思ったけど、不満を感じる僕に気付いた翼が、「ビームはダメよ」なんて釘を刺して来たので我慢する。

 また今朝みたいにベッドに寝転んだ僕は、翼に言った。


「ねえ、僕嫌われすぎじゃない? まあビーム撃ったのは悪いと思うけどさ。でも、元はと言えばそっちが僕を殺そうとしたんだよ」


「そうね、本当に。ごめんね、気付かずに引き渡しちゃって」


「翼がやったわけじゃないんだから、それはいいんだけどさ。翼は謝らなくていいよ。だって僕も、他のケイブがやったことに謝らないもんね」


 良かった、と翼は微笑んだ。同じ人間でも、それぞれ性格は全然違うみたいだ。翼といると安心する。銀杏もだ。今日は銀杏は来るのかな。


「翼」


「ん?」


 翼は僕の部屋で休憩することにしたようで、椅子に座っている。


「……翼も、ケイブ嫌い?」


 翼が、二重の乗った瞳を見開いた。どうでもいい人間に嫌われるのは、どうでもいいからどうでもいい。だけど翼は僕に優しいから、本当は嫌われたりしてたらやだなって思う。

 と、若干ふて腐れていたら、翼は立ち上がって僕の頭をぐしゃぐしゃにした。


「正直に言うわね」


「……うん」


「ケイブそのものについて聞かれたら、私は嫌いって言うしかないわ。……私も友達を何人か、ケイブに殺されてるから」


「…………でも、それやったの僕じゃない……」


「勿論解ってる。だから、アンタのことは気に入ってるのよ」


「ほんと?」


「ほんと」


 良かった。翼は僕を気に入ってるって言ってる。じゃあ僕と翼は、友達っていうやつかな。まだ早いのかな。僕は言葉しか知らないし、これが当てはまるかどうかはまだ解らない。翼の細い指が、僕の髪の毛をすいている。


「だからこそアタシは、あんまりアンタにビームとか撃ってほしくないのよ。この場所でそういうことすると、アンタの風当たりがますます強くなる。……今アンタが置かれてる立場ってね、正直言って微妙なのよ。アンタを解剖するって名目で殺したがってる奴は、何人かいるわ。それが、本当にリスクを減らすためって理由だけならまだマシな方。さっきの奴みたいに、ケイブへの恨みをぶつけてくるパターンは最悪よ。もうこんな目にあいたくないでしょ?」


「んん……でも翼も助けに来てくれるんでしょ」


「そりゃ行くけど、万一間に合わないってこともあるじゃない」


「そりゃそうか」


「ね。だからビームは、本当によっぽどのことがない限り撃たないようにするって、約束してくれる?」


「僕が死ぬかもしれないときはいい?」


「勿論、それはよっぽどの時だからね」


「んー……うん、いいよ。翼が言うならそうする」


 ちょっと迷ったけど。でも、僕翼好きだから、いいかなあ。いいのかな。


「ありがとう」


 翼は笑って、また僕の髪をぐしゃぐしゃする。友達っていうのはいいものだなあと思っていると、ずうっと僕を見守っていたお化けの子が、僕のそばにスーっと寄ってきた。


「ペットみたいな扱いに喜ぶのは結構だが、お前、あの葛城みやことかいう女のことを忘れてないか? アイツは完全にお前を狙ってる奴だ。そして、お前が頭を破壊しても生きていた。そのメカニズムは確認しておいた方がいいだろう」


 ああ、そうか。完全に忘れてた。確かに、あんまりビームはうちませんと約束したとはいっても、ああいう人がいるなら僕は危ないのだ。


「翼、まだ聞きたいことあるんだけど」


「どうぞ?」


「あの怖い顔の女の人は、不死身なの?」


「え? ああ、みやこ?」


「多分その人。頭を破壊したのに生きてたから?」


「別に不死身ってわけじゃないのよ。アイツは――まあ私もだけど、ちょっと特殊なのよ」


「特殊?」


「ええ。この対策局には、色んな人がいるわ。医者もいるし、研究者もいるし、事務員もいる。

その中でも少し違うのが、探索員よ。星の洞窟を実際に探索して、洞窟の成長の元になってる核を破壊するのが仕事。……私とみやこと、あとは燈乃ヒノって子がいるわ」


「その人達が皆特殊なの?」


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