表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/124

ー神有の章59- 議論の終わり

「じゃあ、聞きたいことや相談したいことはこれで終わりかしら?それなら、そろそろ【議論】も終わりでいいかしら?」


【見届け神】たる吉祥きっしょうがそう皆に聞くのである。


「最後に、次の3勢力会談の場所と日時を決めておくのだクマー。また使者が行方不明になったり、追い返されたりしたら、面倒なことになるんだクマー」


 龍造寺隆信りゅうぞうじたかのぶがそう切り出すのであった。


「そう鳴りね。邇邇芸ににぎさまが何かを企んでいるのであれば、使者をどうにかするはず鳴り。ならば、先に、場所と日時を指定しておいたほうが良い鳴りな。では、場所はここ、博多の地で良い鳴りか?」


「おいどんは異論はないでごわす。しかし、博多の地と言われても、広いでごわすよ?豊後ふんごの府内館のように目立つ建物でもあれば良いでごわすが」


 よっしーがそう道雪どうせつに言うのである。道雪どうせつはふーむと唸り


「では、我輩の娘婿も住んでいる、我輩の居城、立花山城にしようか鳴り。ほら、ここからも視える、あの山の上の城鳴りよ」


「わかったでごわす。でも、そこで3勢力会談なんか開いていいのでごわすか?道雪どうせつちゃんの娘って、あの誾千代ぎんちよちゃんでごわすよね?あの鬼怖い娘さんと結婚するような男が現れるとは想わなかったでごわす」


「ひどい言いぐさ鳴り。そりゃあ、おっぱいはほっとんどない鳴りけど、立派に娘婿を一端の将に育て上げようと、日夜、教鞭を振るっている鳴り。宗茂むねしげちゃんは、昼間も、夜の寝室でもアヒンアヒン!言わされているの鳴り」


「うっわ。俺、なんかすごい話を聞いた気がするんだけど?吉祥きっしょう。もし結婚しても、俺を鞭で打つのは勘弁な?」


「何を言っているのかしら?万福丸まんぷくまるは。道雪どうせつさんのアレは例え話よ。本当に鞭で身体を打っているわけではないわよ?」


「そうなのかなあ?俺、何か嫌な予感がするんだけどなあ?その誾千代ぎんちよさんが宗茂むねしげさんって言う旦那さんを四つん這いにして、その上に乗っかって、尻を鞭で叩いてる気がするんだよなあ?」


 何を想像しているのかしら?万福丸まんぷくまるは。教鞭を振るうって言うのは、厳しく教え込むってことよ?物理的に鞭でしばいてるわけがないじゃないのよと想う吉祥きっしょうであったが、その後、その予想が大きく外れることに、彼女は驚愕するのであった。


「場所は決まったのでそうろう。次は日時でそうろう。一度、兵を本国に戻す必要がある以上、帰りで2週間、戻りで2週間と行ったところでそうろう。なら、速くて4週間後と言うことになるのでそうろう


「そうでしゅね。鍋島くんの言う通りなのでしゅ。では、4週間後の7月10日当たり。うーーーん、もう少し、余裕を持たせて、7月15日にするでしゅよ。それなら、何かトラブルがあったとしても遅れることはないはずでしゅ」


「わかったでそうろう。では、宗麟そうりんちゃんの言う通り、来月7月15日、場所は福岡の地、道雪どうせつちゃんの居城・立花山城に集まるのでそうろう。皆、異論はないでそうろう?」


 鍋島がそう皆に問う。皆は首を縦に振り、それを合図に合意となるのであった。


「では、それで話をしめ括りましょうか。では、これにて【議論】は終了ですわ。皆さま、【円満解決】をしてくださり、ありがとうなのですわ。【見届け神】がしかと見届けさせていただきましたわ。では、この【話し合い】の空間を解除させていただきますわ」


 吉祥きっしょうはそう宣言すると同時に会談の場に集まっていた皆を包んでいた桃色に光り輝く円筒が解除されていく。


「しっかし、なんであんな気色の悪い空間で【話し合い】をしなければならないのだクマー?あの空間を設定した大神おおかみは頭の中まで桃色に染まっているのか?クマー」


 あ、やっぱり、隆信たかのぶさんもアレは嫌だったのねと想う吉祥きっしょうである。


「まあ、薄暗くて、気分が落ち込みそうな色の空間に閉じ込められるよりはマシじゃない鳴りか?わざと桃色にすることで、皆の戦闘意識を和らげる効果があるかも知れない鳴り」


道雪どうせつちゃん、それは考えすぎのような気もするのでごわす。まあ、無事、【円満解決】できたから、あの桃色の空間にはこれ以上、文句は言わないのでごわす。さて、おいどんが1番遠いから、先に一旦、薩摩さつまに帰らせてもらうでごわす」


「よっしー。気をつけてな?俺と吉祥きっしょうはここに残るから。なあ?吉祥きっしょう


「ん?なんでなのかしら?僕たちはよっしーさんの連れなんだから、よっしーさんと一度、薩摩さつまのほうに戻ったほうが良い気がするのだけれど?」


「そんなこと言っていいのか?また、島津の強行軍につきあわされることになるんだぞ?吉祥きっしょうは、1週間でへばってたじゃないか」


「それもそうね。女性の足では、薩摩さつまに行って戻ってなんかしてたら、今度こそ倒れて寝込むことになりそうだわ。万福丸まんぷくまるにしては気が利くはね?」


「まあ、吉祥きっしょうをおぶれるのは嬉しいけど、吉祥きっしょうがしんどい想いをするのは、俺は嫌だからな。吉祥きっしょうは強がりだから、限界ギリギリまで、自分の足で歩こうとするし」


「それもそうね。なら、どうしようかしら?博多の地で日銭稼ぎの仕事でも探しながら、4週間後まで待つ?」


「うーーーん。そうだなあ。それが妥当だろうなあ。なあ、道雪どうせつさん。俺と吉祥きっしょうができそうな仕事って、博多の地にあるかな?俺は力仕事が専門で、吉祥きっしょうは、写本とか傘張りとか、造花とかさ?」


「うん?そんな心配する必要は無い鳴りよ?よっしーの戦友ならば、我輩の戦友でもある鳴り。それなら、客人として、我輩の居城・立花山城に寝泊まりしてもらって良い鳴りよ?」


「その申し出はありがたいのですわ。だけど、ただめし喰らいは気がひけるわね?やはり、お断りさせてもらうわ。万福丸まんぷくまる共々、城下町の長屋でも、貸して欲しいのですわ?万福丸まんぷくまるはその城下町で仕事を見つけて、働いてね?」


「おう、わかったぜ。俺は吉祥きっしょうとの結婚資金を稼がないとダメだからな!」


「いやいや。そんなことを客人にさせては、立花家の名折れ鳴りよ。万福丸まんぷくまる共々も一緒にゆっくり過ごしてくれれば良い鳴りよ?」


「それは有りがたい話だけど、寝泊まりする場所だけもらえれば、俺はそれで充分だから。吉祥きっしょうは俺が働いて喰わせていくって決めてんだ。いくら客人として招かれたとしても、それは譲れないところだぜ!」


「はーははっ!道雪どうせつちゃん。ぷっくーは自分の女のために汗水かいて、金を稼いでくると言っているのでごわす。無理強いしては逆に男としての誇りに傷をつけてしまうのでごわすよ?」


「そう鳴りか。まあ、そう鳴りよね。わかったのだ鳴り。力仕事へのあっせんは任せてほしいの鳴り。割りの良い仕事にあてがってもらえるよう口利きをしておく鳴り。それと、吉祥きっしょうちゃんのほうは、城の屋敷で、花嫁修業をしてもらうことにする鳴りよ」


「ああ。道雪どうせつさん。ありがとうな。まあ、吉祥きっしょうは炊事・洗濯は大丈夫だけど、花とか茶の道には疎いからさあ。そっちの方の面倒を見てほしいかなあ?」


「うるさいのですわ。僕が花とか茶の道に詳しくなってどうするの。でも、興味はあるのよね。うーーーん。この際だから、道雪どうせつさんから教わろうかしら?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

cont_access.php?citi_cont_id=32148659&si

ツギクルバナー

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ