表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/124

ー神有の章105- 壇ノ浦到着

 今日は神帝(しんてい)暦5年9月11日。八岐大蛇(やまたのおろち)復活とそして打倒の決行日の4日前と迫っていたのであった。戦力の要である邇邇芸(ににぎ)は未だ天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)の神力を自由自在に操るというところまで達していなかったが、皆の移動時間も考えれば、博多の地の先、壇ノ浦の浜辺に出立せざる得なかったのである。


「す、すまないのでゴザル。あともう少しで何かを掴めそうな気がしているのでゴザル。こう、なんというか、おしとやかなおっぱいを扱う(すべ)を身につけかけているのでゴザル」


「おい、吉祥(きっしょう)。いい加減、邇邇芸(ににぎ)さまを1発と言わず、2,3発ぶん殴って、番所につきだしたほうが世の中が平和になるような気がしないか?」


「いいえ?万福丸(まんぷくまる)。あと三日ほど猶予は残されているわ?番所につきだすのはその後でも遅くはないわよ?」


「おしとやかなおっぱいって、もしかして、あたしのことを言っているのかなー?なんだか、女性の尊厳を踏みにじられている気がするよー!」


 小子(さこ)が、ぷんすこと頬を膨らませて文句を言うのである。


「仕方ないのじゃ。男という生き物は、どうしても胸の大きな女性をガン見してしまうものじゃ。ああ、肩がこるのじゃ。誰か、わらわの肩を揉んでほしいところなのじゃ」


「で、では、ぼくちんが天照(あまてらす)さまの肩をもみしだいてみせるのでしゅ!手が滑って、そのスイカのようなおっぱいをもみしだいても許してほしいのでしゅ!」


宗麟(そうりん)さま?ちょっと、話があるゆえに、そこの道端にきてくれない鳴りか?天照(あまてらす)さま。我輩が宗麟(そうりん)さまを叱っておくゆえに、怒りを収めてほしいの鳴り」


「うむ。道雪(どうせつ)よ、任せたのじゃ。まったく、わらわの胸をもみしだいていいのは、わらわが認めた男だけなのじゃ。何を血迷って、わらわに喧嘩を売っているのじゃ?」


 天照(あまてらす)が少し厳しめの視線で宗麟(そうりん)を睨みつけるのである。その宗麟(そうりん)道雪(どうせつ)に襟首を掴まれて、ずるずると道端に連れていかれ、神鳴りを頭から落とされるのであった。


道雪(どうせつ)ちゃんは相変わらず、宗麟(そうりん)ちゃんに厳しいクマーね。うちの鍋ちゃんも俺様に対して口うるさいクマーけど、実力行使とまではいかないクマー」


「まあ、それは隆信(たかのぶ)ちゃんは説教をすれば、ちゃんと言うことを聞くからで(そうろう)宗麟(そうりん)ちゃんのアレはもう心の病気と言っても過言じゃないので(そうろう)。そうなれば、神鳴りを落とす以外、アレを治す方法はないので(そうろう)


 鍋島直茂(なべしまなおしげ)がそう言うが、まったく治っていない気がするのだクマーと想う龍造寺隆信(りゅうぞうじたかのぶ)であったが、まあ、うちのことではないので放っておくことにするのであった。


 そんなこんななことがありながらも、天照(あまてらす)ご一行は1日ほどを費やして、博多の地のさらに先の壇ノ浦の浜辺へと到着する。


「さて。やっと、ここまできたわけだけど、今日は9月12日だよな。今までの話なら、道雪(どうせつ)さんを舟に乗せて、沖合まできたら、道雪(どうせつ)さんを壇ノ浦に沈めるんだったっけ?」


「違うわよ。万福丸(まんぷくまる)。鍋島さんの具現化した直剣を壇ノ浦に沈めるのよ。そうすることによって、隆信(たかのぶ)さんと鍋島さんの神力を使って、直接、壇ノ浦の海底に道雪(どうせつ)さんの神鳴りを通すってわけ。今まで、何を聞いてきたのかしら?」


「あれえええ?そうだったっけ?でも、宗麟(そうりん)さんは、口うるさいのがいなくなるでしゅ。これからは、大手を振って、人妻に手を出せるでしゅ!って吹聴していたぜ?」


「ちょっと、宗麟(そうりん)さま?万福丸(まんぷくまる)殿が聞き捨てならないことを言っている鳴りよ?もしかして、宗麟(そうりん)さまは我輩を亡き者にしようと企んでいた鳴りか?」


「ち、違うでしゅ!ぼくちんがそんなことを言うわけがないのでしゅ!これは、万福丸(まんぷくまる)殿のはかりごとなのでしゅ!ぼくちんが大切な道雪(どうせつ)を亡き者にしたいなんて、これっぽちも考えたことなんてないでしゅよ!」


「と、宗麟(そうりん)さまが言っている鳴りけど、万福丸(まんぷくまる)殿が嘘をついている鳴りか?」


 立花道雪(たちなばどうせつ)がジロリと万福丸(まんぷくまる)の顔を睨みつけるのである。そこに割ってはいるように吉祥(きっしょう)が発言する。


道雪(どうせつ)さん?万福丸(まんぷくまる)がそんな策略めいたことを考えれるような人物に視えるのかしら?」


 吉祥(きっしょう)の身から神気が立ち昇り、道雪(どうせつ)は想わず、身震いしてしまうのである。


「うっ!すまない鳴り!我輩としたところが、純真無垢な万福丸(まんぷくまる)殿を疑ってしまった鳴り!吉祥(きっしょう)殿、すまない鳴り!どうか、怒りの矛を収めてほしい鳴り!」


「あら?僕は別に怒ってないわよ?ただ、万福丸(まんぷくまる)にいらぬ嫌疑をかけられたのにイラッとしただけよ?」


 それを怒っていると言うのではない鳴りか?とツッコミを入れそうになる道雪(どうせつ)であったが、いらないことを言えば、吉祥(きっしょう)殿がさらに怒るのは明白のため、口を慎むのである。


「さ、さて。宗麟(そうりん)さまに嘘をついたことに対する【罰】を与えてくる鳴り。万福丸(まんぷくまる)殿、疑ってすまない鳴りね?宗麟(そうりん)さま。ちょっと、そこの浜辺茶屋の裏にくる鳴りよ?」


 またしても宗麟(そうりん)道雪(どうせつ)に襟首を掴まれて、ずるずると引っ張られていくのである。


「おお、おお。大空から神鳴りが2、3筋、堕ちてくるなあ。まあ、そんなことはいいか。ありがとな、吉祥(きっしょう)。俺のために怒ってくれてよ?」


「だから、僕は別に怒ってなんかないわよ?ちょっと、イラッとしただけよ?だから、万福丸(まんぷくまる)が僕に感謝することなんて、何もないわよ?」


「ふーーーん。そっか。でも、ありがとうな?吉祥(きっしょう)


 万福丸(まんぷくまる)はにひひと笑顔をつくり、吉祥(きっしょう)の頭を右手でぽんぽんと優しく叩くのである。


「暑いよーーー。暑いよーーー!もう、9月も半ばって言うのに、あそこのバカップルのところだけ、猛烈に暑いよーーー!」


小子(さこ)よ。致し方ないのじゃ。あやつらがわらわと出会ったあとに、何があったかは知らぬのじゃが、九州にあの2人が飛ばされたあと、大層、仲が深まっているようなのじゃ。何か、2人の仲が深まる決定的なことがあったのじゃろうて」


小子(さこ)殿、天照(あまてらす)殿。それなら、島津家のうち城で、ぷっくーが赤黒い繭に包まれた事件が原因でごわすな」


 そう2人に応えるのは島津義弘であった。彼はあの万福丸まんぷくまるが謎の何かに変わった事件に巻き込まれたひとりである。


「2人はあの事件のあと、【二重約束】をし、さらには【ゆびきりげんまん】までしたのでごわす。まったく、若いというのは恐れ知らずなのでごわすよ」


「ほう。それは面白いことを聞いたのじゃ。【二重約束】だけではなく、【ゆびきりげんまん】までしおったのかじゃ。それで合点がいったのじゃ。こう、2人から漂う匂いというか、【魂の色】が似通っている感じがするのは、そういうことがあったからなのじゃな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

cont_access.php?citi_cont_id=32148659&si

ツギクルバナー

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ