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ー神有の章84- 小子(さこ)登場

 光り輝く円柱状のモノから出てきたのは、まだ幼さを顔に残した、いや、体型にも幼さを残している少女であったのだった。


「あれれー?吉祥きっしょうちゃんと、それに万福丸まんぷくまるくんじゃないー?どうして、こんなとことにいるのー?」


「おお。小子(さこ)ちゃん、久しぶりだなあ?小子(さこ)ちゃんも信長のおっさんに九州に飛ばされてきたのか?」


「うん、そうだよー、万福丸まんぷくまるくんー。でも、噂では吉祥きっしょうちゃんと駆け落ちしたと聞いてたけど、本当に駆け落ちしてるなんて想ってなかったよー!?」


「か、駆け落ちってどういうことですの?ちゃんと、お母さんには、万福丸まんぷくまると旅に出るって説明したはずよ?」


「えっ!?でも、吉祥きっしょうちゃんのお母さんが、娘が万福丸まんぷくまるくんにさらわれたっしー。これだと初孫を視れないっしー!って言ってたよー?」


 小子(さこ)の言いに吉祥きっしょうは想わず、こめかみを指で押さえて、頭痛を抑えるのである。


「お母さん。なんで、そんなこと言いふらしているのかしら?ちゃんと説明したつもりだったのに」


「まあ、吉祥きっしょうのお母さんは勘違いがひどいからなあ。俺、ちゃんと吉祥きっしょうのお母さんに、吉祥きっしょうのことは一生、大事にしますから!って言ったんだけどなあ?」


 万福丸まんぷくまるがそう言うと同時に、吉祥きっしょうは手に持つ分厚い書物でパコーンッ!と万福丸まんぷくまるの後頭部をぶっ叩くのであった。


「いったああああ!だから、角はやめろって!本当に死んじまうだろうが!」


「うるさいのですわ!うちのお母さんは、娘の僕から視ても、少し頭のネジが緩いのですわ!いらないことを言う、万福丸まんぷくまるが悪いのよ!」


 吉祥きっしょう万福丸まんぷくまるの頭を何度も分厚い書物でぶっ叩くのであった。それを視ていた小子(さこ)が想わず笑いだす。


「あははっー!本当、2人とも変わってないんだねー?って言うより、昔よりも、仲良くなったって感じに視えるなー?あっ、もしかして、もう、イチャイチャしちゃったのー?」


 小子(さこ)の言いに、吉祥きっしょうが想わず、ブフーッ!と咳き込むのである。


「あー。図星かー。残念ー。あたし、少しだけ、万福丸まんぷくまるくんにその気があったんだけどなー?うーん、やっぱり幼馴染っていうのは、高得点だよねー?」


「ま、万福丸まんぷくまるとは何もないのですわ!勘違いしてほしくないのですわ!」


「ふむっ。別に隠すこともないのじゃ。小子(さこ)とやら。ちなみに、この2人はここ、立花山城の城下町の長屋で仲良く2人で住んでいるようなのじゃ」


 天照あまてらすがそう言い、3人の会話に混ざるのである。


「うわー。同棲までしてるのかー。吉祥きっしょうちゃんは良いなー。うちなんて、同棲するよりも、まずは結婚しなさいって口やかましいのよねー。確かに同棲するだけで、結婚もせずにずるずるとなあなあな関係にされるよりかは良いかもしれないけどー」


天照あまてらすさま!?要らないことを小子(さこ)に吹き込まないのでほしいのですわ!」


「何を言っておるのじゃ。そこの小子(さこ)なる娘が知りたがっていたようだから、教えたまでなのじゃ。で?お前たち3人は馴染みなのかじゃ?」


「え、ええ。小子(さこ)は羽柴秀吉さまの重臣である飯村彦助いいむらひこすけってひとの娘で、飯村いいむら家とは親が友達同士なので、仲良くさせてもらっていたのですわ」


「ふむ。えにしとは不思議なモノじゃ。まさか、天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)合一ごういつを果たしたモノが吉祥きっしょうとなじみ深きモノとは想わなかったのじゃ」


 天照あまてらすはひとり納得したかのように腕を胸の前で組み、うんうんと頷くのであった。


 だが、小子(さこ)の突然の登場により、他の男性陣は顔をひきつらせていた。


「お、おい。邇邇芸ににぎさまが幼子を誘拐しているのだクマー。道雪ちゃん。警護のモノを呼んできたほうが良いのではないか?クマー」


隆信たかのぶちゃん。我輩も今、そう想っていたところ鳴り。いやあ、さすがに見た目12歳の娘をさらってきてはいけないんだ鳴り」


 龍造寺隆信りゅうぞうじたかのぶ立花道雪たちなばどうせつが互いに視線をかわし合い、ひとつコクリと頷き、邇邇芸ににぎを地面に押し倒し、縄でふんじばろうとするのである。


「ちょ、ちょっと待つでゴザル!それがしが望んでやったことではないのでゴザル!」


「ええい、しらばっくれるのはやめるのだクマー!」


隆信たかのぶちゃん。もっと強く右腕を押さえつけるんだ鳴り!」


「ええい!誤解でゴザル!それがし、このような幼子が送られてくるなんて、説明されていなかったのゴザル!弟よ!それがしを助けるのでゴザル!」


「義久兄者。いや、邇邇芸ににぎさま。観念するのでごわす。番所に行ったら、おいどんが弁護させてもらうのでごわす。義久兄者は熟女好きだが、中身の邇邇芸ににぎさまは幼子好きだったのが間違いだったのでごわすと」


「それは何の弁護にもなってないのでゴザル!本当に、第六天魔王殿からは何も聞かされいなかったのでゴザル!これは、それがしをハメる罠なのでゴザル!」


「ふえええー。邇邇芸ににぎさま、ひどいー。あたしのことが欲しいって言うから、あたしは信長さまに頼んで、こんなひのもとの国の僻地までやってきたのにー!うえええん!」


「あー、邇邇芸ににぎさま、ひでえよ。小子(さこ)ちゃんを泣かせやがった!おい!よっしー!邇邇芸ににぎさまを水責めの刑に処してやろうぜ!」


「兄者。こんな幼子を騙してさらっておきながら、さらに泣かせるとは言語同断でごわす!」


 島津義弘はその身から神気を発し神力へと変換し、己のことわりを口にする。


【流す】


 彼の口から力ある言葉が発せられると同時に、ゴゴゴゴゴと川の水が流れ出る音が聞こえるのである。それと同時に、大量の逆巻く水龍が具現化され、邇邇芸ににぎと彼をふんじばろうとしていた道雪どうせつ、そして隆信たかのぶまでもが巻き込まれることになる。


「ごぼごぼごぼ!なんで、俺様まで溺死させられそうになっているんだクマー!」


「ごぼごぼごぼ!うがあああ、陸地で溺れるのは嫌だ鳴りいいい!」


「ごぼごぼごぼ!だから、誤解だと言っているのでゴザル!本当に第六天魔王殿から、何も聞かされてないのでゴザル!」


 島津義弘は聞く耳もたぬといった感じで、約3分ほど、逆巻く水龍で彼ら3人の不浄を洗い流すのであった。


「ゲホッゲホッ!ああ、溺れ死ぬかと想ったのゴザル。小子(さこ)殿?嘘泣きはやめてほしいのでゴザル」


「いやー、ごめんねー?邇邇芸ににぎさまー。涙は女の武器だから、ことあるごとにしっかり使っておきなさいー?って、うちのお母さんが言ってたから、つい、使ってみたー!」


 小子(さこ)のこの発言にはさすがの天照あまてらすも、やや引き気味となる。


「おい。万福丸まんぷくまる吉祥きっしょう。この小子(さこ)と言う娘。相当に頭のネジが緩いんじゃないのかじゃ?」


「ううん。なんか、しばらく顔をあわせていない間に、かなり、事態が深刻化しているみたいだなあ。なあ、吉祥きっしょう小子(さこ)って、こんなに頭のネジが緩かったっけ?」


「ええ。僕の友達だということを考慮したとして、柔らかい表現を使っても、小子(さこ)の頭のネジは緩いわね?でも、天之尾羽張神(あめのおはばりのかみ)合一ごういつを果たした影響もあるのかも?ここまでひどくなかったわよね?」

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