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青切りミカン

「あっ、すみません」

 今日の昼過ぎ、駅長室のドアを開けた猫矢さんが気まずい顔をしてドアを閉めました。

 どうしたのかなと思ったのですが、私がミカンを食べていたからだとすぐに気づきました。


 猫の世界では果物を食べることは少なく、特に柑橘類は人気がないというより嫌われていて、匂いが駄目だという猫が多いです。

 他のフルーツはお菓子や料理の風味付けなどに利用されますが、ミカンは完全にゲテモノ扱いされています。

 それでも、変猫呼ばわりされながらもごく一部に柑橘好きな猫がいて、猫中さんがその一匹です。


 猫中さんは今朝、駅長室に袋いっぱいのミカンを持ってきてくれました。

「ミーコ駅長だけに特別のお土産だよ」

 猫山県では多くの猿とごく一部の猫のためにミカンが栽培されていて、世界でも有名な産地です。猫中さんは農家の親戚から今回のミカンをもらったそうです。

「ミカンの美味しさがわかるのはミーコ駅長だけだからね」

「ありがとうございます」

「うちではずっと家の中でミカンを食べるなって言われていたんだよ。でも、最近は換気扇の前ならOKになってね。女房もずいぶん丸くなったもんだよ」

「そうなんですね」

 猫中さんは私にくれたミカンをひとつ無造作に取り出して食べ始めると、テーブルの上に皮を置きっぱなしのまま去っていきました。

 

 猫中さんがくれたのは、皮が黄色く色づき始めたばかりの青切りミカンで、爽やかな酸味が特徴です。

 皮をむいたときの芳香が心地よいのですが、猫中さん以外のみんなが困ってしまうので、残りのミカンを食べるのは奥の生活スペース限定にしようと思います。

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