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駅舎の観音様

 今日は、春紫苑の花を摘んできて、駅舎の中にある木彫りの観音様にお供えしました。


 観音様は百年以上前の猫山電鉄創業時からあります。素朴な鉈彫仏で、歴史を感じさせる外見ですが、実は国宝の観音様のレプリカです。本物は猫山寺で秘仏とされていて、一年に一度しかご開帳されません。

 創業者と当時のご住職が懇意にしていて、鉄道の安全を願って特別に下さったものだということです。

 私はついつい猫観音様と言いそうになるのですが、猫の世界では観音様も猫の姿をしているので、みんな普通に観音様と呼んでいます。


 本物を見る機会があまりにも少ないので、地元の猫でも、観音様といえば猫山駅にあるものだというイメージが強いみたいです。なので、お供えの花が絶えることはありません。


 私が春紫苑を選んだのは、少し前に読んだ短編集の中に、ニャメリカ国出身の猫と春紫苑のお話があったのが、ふと心に浮かんだからです。

 物語の中で、その猫はここ猫山市の属する猫日国で暮らしているのですが、春紫苑を恋人に捧げて言うのです。

「この花は、私の故郷の花でした。悲しいことも、苦しいことも、この花とともにありました」

 続いて、こうも言うのです。

「この花の咲くところが、私の故郷です。いま、私は幸せとともにあります」


 私はその小説の主人公ほど深く考える気質ではないですが、いま、幸せとともにあると言っていいと思っています。


 ちなみに、本物の観音様のある猫山寺は、猫山電鉄猫山寺駅から歩いて数分のところにあります。

 安産祈願で有名ですが、学業にご利益があったというお話もよく聞きます。猫山駅で秘仏のイメージを目に焼き付けてから、猫山寺にお参りするのもいいんじゃないかと思いますよ。

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