猫山神社のカブト比べ
「みんなに鯛焼きのおみやげだよ」
今日は猫山駅の南、徒歩十五分ほどにある猫山神社でカブト比べがありました。
猫中さんは今日はお休みでしたが、カブト比べを見に行ったついでに縁日の鯛焼きを買ってきてくれたのです。
ちょうどおやつが欲しい時間帯だったので、うれしく思いました。
カブト比べというのは赤と白の二組に分けた七匹ずつのカブトムシを直径二十センチほどの土俵で対決させるもので、今年は五対二で赤組の勝利でした。
カブトムシ対決というと子供の遊びか昆虫マニアの趣味と思われるかも知れませんが、猫山神社のカブト比べはれっきとした神事です。
由来は八百年余り昔に遡ります。
当時の二大武家勢力、白旗の猫原氏と赤旗の猫平氏の最終決戦が迫っていました。
地元の猫山水軍の棟梁の猫山淡増はどちらに味方するか決めあぐね、カブト比べで神意を確認したところ、白組が勝利しました。
そこで白旗の猫原氏に味方して、結果として猫原氏が勝利したのです。
実は猫山淡増の息子の勉慶が猫原氏に仕えており、淡増は最初から猫原氏に味方したかったと言われています。
ただ、配下には猫平氏ゆかりの者も多く、反発を招く恐れがありました。そのため、一説によると神意を伺うふりをしながら強いカブトムシを白組に集めて、白組が勝つように仕組んだとも言われます。
「歴史の真実はわからないけど、最近のカブト比べは赤と白が勝ったり負けたりなんだよ」
と、猫中さんが教えてくれました。
「勝ち負けの的中だけなら普通の鯛焼きだけど、スコアまで完璧に当てたから特別な鯛焼きだよ」
予想食券というものを買って的中すると食べ物がもらえるゲームがあるとのことです。
猫中さんが包みから取り出したのは、本物の鯛の塩焼きでした。
おやつ向きではありませんでしたが、もちろん美味しくいただきましたよ。




