表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/38

二次面接

あの後、しばらくレイさんとお話しをしてから、私は家に帰った。レイさんには仕事の心配をされたけど、私が次の面接に合格したら、レイさんの心配もなくなる事だろう。これは、より一層頑張らなくちゃ!


私は家に着くと、早速面接に着ていく服を選びにかかった。


「きれい目な服ー。清潔感のある服ー。あっ!あった!これにしよう!うん、コレに決めた!!」


私はクローゼットの中から1着のワンピースを手に取った。そのワンピースは、白地に水色の小花柄の清楚な感じのワンピースである。このワンピースは、母さんが私の為に作ってくれた物だ。と言うか、私の服はほとんどが母さんが作ってくれた物だけど。服をオーダーメイドで作って貰うにはお金がかかるし、既製品の服も売ってるには売ってるけど、そんなに数はないからね。そこは日本とは違うよね。


この清楚系ワンピースは、そんな私の服の中でも特別な服だ。私の誕生日プレゼントで作ってくれたのだ。とっても嬉しかった!けど、汚したくなくてあんまり着てなかったから、今回着るのには丁度良い。


ーうん、この服は勝負服だ!


このワンピースを着れば、面接も上手くいく気がする。


ー母さん、私が父さんを見つけられるように、見守って!



面接当日、私は約束の時間より早めに家を出た。時間に遅れるのは、良くないからね。事務所の近くまで行って、どこかで時間を潰すつもり。それで、約束の時間のちょっと前に事務所に行くのだ。

で、問題はどこでどうやって時間を潰すのかという事。

事務所の前にずっといても、きっと怪しいだけだよね。


ーまあ、行ってから決めるか。


私はとにかく事務所の近くまで行く事にした。そしたら、その途中で何とレイさんと出会った。


「あれ?レイさん?こんにちはー」

「エミリア!面接は今日だったよな?」

「はい、そうです」

「これからか?」

「そうですよ。どうかしたんですか?」


私が尋ねると、レイさんは歯切れ悪く答えた。


「……心配だったんだ」


レイさんのその答えに、私は思わずヘニャリとにやけてしまった。心配してくれる気持ちが嬉しかったのだ。


「ありがとうございます!私、合格出来るように頑張りますね!」

「…そうか。だけど、本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ」

「…そうか?何かあったら、魔石で知らせるんだぞ。持って来ているか?」

「持ってますよ!合格したら、連絡しますね!」

「……ああ」


レイさんと立ち話をしていたら、面接の時間が近づいてきたから、私はレイさんと別れて事務所に行く事にする。


「あの、そろそろ面接の時間になると思うので、行きますね」

「そうか。送って行く」

「えっ!?良いんですか?」

「良いから行っている」

「あっ!それはそうか。じゃあ、お願いします」


私はレイさんのお申し出を受けて、送って貰う事にした。事務所の前まで来たら、レイさんにお礼を言って別れた。そして、緊張の面接へ…。でも、レイさんのおかげであんまり緊張しなくてすんだかも。感謝です!


事務所に着いたら、また赤毛の人が応対してくれた。今度は、個室で面接があるらしい。


ーう〜、ドキドキするぅ。


個室に案内された私は、イスに座らずにイスの横に立って待っていた。学生時代には、面接の練習でした事を覚えていたのだ。


ーおお!私、出来る子!


「どうぞ。座って下さい」

「ありがとうございます」


それからは、前回にした自己紹介を踏まえて、名前の確認や志望動機を聞かれたりした。しばらく質疑応答みたい。


ーちゃんと応えられるかなぁ。


最初はそんな風に心配になっていたけど、そのうち心配なんて吹き飛んじゃった。だって、何だかふわふわした気分になってきたから。ふわふわ、ふわふわ〜。

でも、ふわふわしながらも冷静な部分で『これはおかしい』と考えていた。緊張している人がいきなり気分が良くなるなんて、おかし過ぎるもん。


ーこのふわふわは、お酒に酔った感じに似てるなー。


一応、日本では成人してたもんで、お酒を飲んだ事があるんです!その時の感じに似てる気がする。

そこまで考えて、ハッとした。


ーあの香炉か!!


面接の途中から、『何か匂いがして来るような』とは思ってた。けど、かすかに感じるだけだったから、あまり気にしてなかった。多分、『塵も積もれば山となる』方式で、体内に蓄積していった結果、ふわふわした気分になっていったんだろう。きっと、酩酊状態にする香や睡眠作用がある香が焚かれているのに違いない。


ーどうにかしないと。


だけど、どうにも出来なかった。頭ではそう考えるのに、身体が言う事を聞かないのだ。


ーうぎぎぎぎ、動け!動け!


でも、全く動かない。金縛りにあったみたいな感じだ。


ーヤバい!眠くなってきた。


逃げたいのに、眠い。起きていたいのに、眠い。覚醒させる為に手のひらに爪を食い込ませようとするけど、身体が動かないから出来ない。


赤毛の人は座ったままこっちを見ている。それが、とても怖い。


ー私、このままどうなるのかな?父さん……。会いたかったよ。…レイさんにも連絡出来ない。ごめんなさい。心配してくれてたのに。私、何も考えてなかった……。


それを最後に、私は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ