「機関員暴走」
プロローグ「機関員暴走」
魔力。
それはこの世界で暮らす人々には無くてはならぬ物。
人類の発展、新発明はいつも魔力が密接に関係している。
人々は魔力を用いることで、魔法を使えるようになり、そこから様々な製品の作成や、技術の開発の進化を遂げてきた。
そんな世界のとある建物の、とある一室。
火属性の魔力で発炎し、室内を白く明るく照らすランプ。
天井に吊り下げられたランプの下で少年は声を挙げる。
「よーし! 今日は盛り上がるぞー!」
少年は拳を上げ、狭い部屋にいる男女数名も同じように拳を上げる。
少年はたすきを掛けており、そこには『今日の主役』と書かれている。
機関にある少年の寮の一室。
「はい! 今日はわたしも盛り上がります!」
大きな丸い眼鏡を掛けた少女が木製のコップを高々と上げる。
「俺、お前がそんなにはしゃいでるところ見たの久しぶりだよ」
「そ、そうですかね?」
二人のやり取りを見ていた小さなティアラを頭に乗せたドレスを着た女性が一心不乱でペンを走らせる。
「そうですわ! わたくし、そんなにもはしゃぐとは思っていませんでしたわ!」
何をかいているのか、気になった眼鏡の少女は紙をのぞき込む。
「むぎゃー! なんてもの描いてるんですか!?」
そこには眼鏡の少女のスケッチ。補足すると一糸まとわぬ姿の。
「おお! シャウラちゃんのえろい絵、おじちゃんにちょーだい!」
コートを着た、不精ひげの男がその絵に大きく反応する。
それに釣られたのか、カチューシャを付けた年端もいかない少女が興味を持つ。
「あたしもクローリアさまの絵、見たーい!」
「おー! いいぞぉ! おじちゃんは独り占めしないからネ!」
などと言って子供に対して見せるには早い絵を眼鏡の少女が奪い取ると、突然絵が燃え上がった。
「どわぁー! おじちゃんのえろい絵がぁ! 魔法で燃やさなくたっていいのにィ!」
「ダメです! こんな絵を描かないでください!」
「わたくしの絵をこんなとは言わないでくださいまし!」
「そもそもわたしのこんな、こんな……と、とにかくダメです!」
「あたし、見たかったのにな……」
「ダメですよ! 見てはいけないものです!」
「なあ? 俺の絵とか描いてくれるんじゃないの?」
「これから描くところですわ! まずは服を脱いでいただいて……」
「だからダメです! 止めてください!」
そんな時、部屋に入って来る一人の男。男は青筋を立てている。
「キサマらぁああああ! 一体何時だと思っている! 全員減給だぁああああああ!」
男の問答無用の叫びが組織の寮スペースにこだました。
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