赤髪の兄妹
この先どうなるか作者もしっかりとはよく分かっていませんが、のんびりゆっくり脳内からあぶりだして行きたいと思っていますので、是非是非のんびりとお読みください。
語彙力低めで、誤字脱字や稚拙な文章は多くあると思いますが何卒宜しく。
今からたんと昔。
違う時間軸に住む人々のお話。
ある陸の端の村では幻妖の力が集まりやすく、操者が生まれやすい。
この村は言わば流された先。
操者というのは火や水などを操れる、ヒトなのにヒトとはかけ離れたいつも忌み疎まれる存在。
この村に、そう言う者達が他の村などから越してくる事も少なくない。
そこに赤髪の兄妹が住んでいた。
よくある木造の、新しくもなくそこまで大きくない平屋。
ちょうど落ちかけの日に赤く照らされていた。
「お兄ちゃん!おかえりなさい!」
「ただいま、朔羅」
桜色の着衣を翻しながら嬉しそうにじゃれついてくる銀色の瞳。
「お腹空いただろう、飯作るから待ってろ」
少しほつれた所のある紺色の着衣の袖を捲りながら、玄関で履物を脱いで台所にドタドタと向かう途中。
「ねぇねぇお兄ちゃん、やっぱりお兄ちゃんの目綺麗だね」
「そうか?お前も半分は同じだぞ?」
そっと振り返り、後ろからパタパタ付いて来た朔羅の顔を腰をかがめて見つめる。
「片目ずつ色が違うのがね、すっごい綺麗!銀色と金色やっぱり好き!」
無邪気な小さな手で顔を挟まれ、嬉しそうに笑顔で話す朔羅の頭を撫で、ゆっくりと立ち上がる。
「ありがとう、だけどそれ毎日言ってないか?」
「綺麗だからいいのー!」
そう言いながらパタパタと台所の方へと走る小さな背中を笑いながら追いかけた。
母親が朔羅を身篭ってすぐ父親が亡くなり、生まれて1年ほどで母親も亡くなった。
それ以来、近所の人々の力を借りながら2人で生活をしている。
両目の色が違うから、街に行くと嘲るように聞こえてくるヒソヒソ声。
強い力を持つ操者だとはっきり分かってしまうこの目の色の差は、いつも嫌いだった。
この村でも最近は左右別の目の色を持つ者は居ない。
そのせいか、街に出れば一瞬で自分だけの噂は広まる。
『災いがやって来た』と。
最近は街に出ることもそうそうないが、昔受けた誹謗中傷はやはりふと頭に過ぎることも多い。
その中で毎日のように、この目が好きだと言ってくれる妹の存在が大切で仕方がない。
「朔桜」
近くの縁側から静かな声が聞こえてきた。
ふとその方向を見ると、青髪が綺麗な小さな影がそこに立っている。
凛と済んだ鈴のような声は昔から知っている、幼少期はいつも隣で守ってくれた女の子。
「おう、海月。どうした?」
「うん。これお母さんが持っていけって」
中に何かが詰められてずっしりとした、丁寧に結ばれた綺麗な山吹色の風呂敷をそっと差し出す。
「いつもありがとうな!助かる」
「伝えておくわ、帰るね」
わかりずらいほどの小さな笑みを浮かべ、こちらの返答を聞く間もなくひらりと身を反して去ってしまった。