第13話 「出会ったふたりは、戦闘モード。」
更新が遅れ気味ですが、できるだけUPしていきます。
朝食を終えたあと、彼女は本を読むことに没頭したいとベットの横にリクライニングチェアーを出して座り(室内は彼女の召喚した光の精で真昼のごとく明るい)
カカオが右にミントが左に控えたため、俺がいるスペースがなくなった。石像は食事の後片づけをしている、あのゾンビはどうしたのだろうか?、
会いたくはないがいない理由は知りたいものだ。
ただ、読書を始めた彼女に声をかけるのはまずいかなと外にでる。
行く宛はないのだが、昨日襲ってきたやつらに残党がいたらやっかいだ。
ここでは逃げ場がないし、俺の残弾を消費する価値があるかが問題だ、
彼女と行動を共にする必要はない。転生と転移立場は違うが同じ地球からやってきた同士ではあるが、共闘する仲間であるかは別だし。
外に出て岩場を伝い砂浜の方に歩を進めながら考えていた、もちろん周囲に気は配っている。
俺はどうすればいいのか?ということだ。今はまだ残弾も残っているから出てくるモンスターどもにも対抗できるが、弾がなくなればライフルもハンドガンもただの鉄の塊だ、それ以外に俺はこの世界で価値はあるのだろうか?。
彼女といてもお荷物になるだけだ、10歳の女の子に守ってもらうのか?
今も食料を分けてもらってる、元の世界に戻れればいいわけだが・・・。
そこで思いついた、来たところに行ってみよう。もしかしたら次元の裂け目とかがあるかもしれないし、そう思ったら身体が動いていた。
昨日の砂浜に戻り、焼き落ちたバンガローの跡地に近づいたときには神経を張りつめて構えていた。ゴブリン達の仲間が様子を見に来ているかもしれないからーでもそれは杞憂だった、周辺に近づいた跡もないようだ。
昨夜はミントというスライムの跡をついて行っただけなので、あいまいだがそこはゲームのマッピングで培った記憶と感できた道をたどる。
ゴブリン達が歩いてきた跡が入り乱れて道がわからなくなることもしばしばあり、なんとかあの怪物のいた場所らしき洞窟の入り口にたどり着いたが、こんなみすぼらしかったかな?まぁ出てきたときは暗かったし必死に逃げてたしなと周りを伺って進入することしたんだけど、
中は、まるで竜巻か津波の被害にあった跡のようだったーそれ程までに変わっていた。
恐らく、あの地下から現れた怪物が暴れまくったのだろう。オーク達もスケルトン達もどこにもいなかった。部屋を作っていた壁もドアも元の形にはほど遠いありさまで、どこから俺が現れたのかがわからなくなっていたのは残念だった。その人為的に作られた洞窟の中でさまよっていると、ある階層で人の気配を感じて銃を構えて身を隠すことになった。
相手も気がついたのか歩みが止まった、恐らく同じように武器を構えてるはずだー俺ならそうする。
次の角の向こう側だ、手鏡をつかい様子を伺うがー何も写っていない。
気のせいか?そう思って転がりながら角から出て伏せうちの姿勢をとる。
通路には誰もいない、そして隠れるべき場所もない。
気のせいだなーそう思って立ち上がったときにそれが後ろにいた。
振り返ると、柔らかい弾力のある何かにライフルを持ってた腕があたり
「ああ~ん。」
という甘い声が響きわたった。
えっええええ・・・なんてエロい格好した女がいるんだろう?。
黒のシースルーのノースリーブワンピースロングドレスの胸元はしっかり開いていて、
豊かなバストが覗いてる。髪はブラウンのセミロングで毛先がクルクルカールしてる。
顔は東欧系のキリッとした美人でもの好みのタイプ。
ー・・・じゃないー
とっさに後方に飛び退き距離をとって銃を構え直す。
安全装置は、はずしたはず。
目の前にいるのは、人の形をしてるが?迷う、迷ってる。
こんな場所に人がいるのか?
もしかして、俺と同じように落ちてきたのかもしれない。
引き金を引く前に話をするべきーと思考している、だけど・・・
根源的な何かが、俺に違う・・・と告げている。
あれは、そうじゃない、人ではない、人の形をした何かだと、警告している。
近づいてくる、構えた銃を畏れもせずにーしかもそも足取りは軽くまるで恋人の元に
向かうかのような気軽さでこちらに向かってくる。
思わず後ずさる二歩三歩と距離を置くように。
ダッダッ!
その踏み出す、足先50センチのところに一連射した弾丸がささる。
「止まれ、君は誰だ、どこから来た?。」
通じるのかどうかわからないが、もしゲームの中ならユニバーサルトランスレーターで翻訳されるだろうし、あの少女とも日本語で話した気がする。不思議空間(ファンタジーの世界)なら大丈夫だろうと。
目の前の女性は、軽く首を傾げて
「敵?。」
そう言ったか言わないかのうちに彼女は動き、視界から消えるー背筋がヒヤリとしたので振り返りざま引き金を引く。
彼女の残像が視界を左に流れるー確信するー人じゃない。
左向きに振り返るときに、右側に気配を感じ切磋に左腕を上に上げて、右の首元に銃身がくるようにした。
ガシッ!
なんということか、彼女は右側の背後から俺の首筋に咬みにきたのだ。
俺の正面から左方向に動き、それにつれて左回転した俺の右背後に回るという敏捷性。
しかし、何故首を咬みに来るのか?。
背後に回れるなら、後ろから何とでもできように・・・武器か?手持ちの武器がないから咬みにきたのか、それならば頸動脈をか?なかなか鋭いというか自信だなそのスピード。
そして背中に押し付けられる柔らかい感触、この状況で股間が反応する。
何というスケベな俺、でも前に転がり離れる近づいていると色々ヤバそうだ。
再び銃口が彼女の方を向くが、今度は動かない挑発的なポーズでこちらを見ている。
「迷うな撃て」―そう本能が指示するが身体が動かない。
コントロールされてる?
呪縛を解く方法は、痛みだ・・・今動かせるものは舌か?
舌を噛み、その痛みで身体のコントロールを取り戻す。
すぐさま引金を引くと、近づいて来ている彼女に7.62ミリ弾が吸い込まれる。
反動で彼女は後ろにのけ反るが、何事もなかったかのように立ち直りこちらに歩み出す。
「馬鹿な?傷口もないなんて。」
確かに胸から腹部にかけて、当たったはずなのに。
その反動でのけ反ったのに・・・魔物でもゴブリンやオークとはレベルが違うのか?。
何かないか?ポケットを探る・・・
ゆっくりと情感たっぷりに歩いてくる彼女の口元から可愛い犬歯が光る。
ガンベルトの左側につけていたバックに使えそうなものがあった。
ピンを抜いて、彼女に向かって投げると同時に口を開いて目を閉じ両耳をふさいで床に伏せた。
激しい轟音と閃光が辺り一帯に広がった、すかさず立ち上がり逃げる。
逃げきれるかわからないが、今は走ることしか出来なかった。