PROLOGUE
まだ完成していないし要修正&突き詰め。
完成するまで予約投稿を出来るだけ先に延ばして置く。
奉行。
律令法において命令を受け(「奉」)、その内容を施行(「行う」)する動詞。
そしてそれをやる領主などの家政の一つとして定められた名称…。
時代劇なんかで出てくる『お奉行様』はつまり藩の領主に命令された内容をやっている人、と言う事になるだろう。
つまり良く分からないなりに今の僕の仕事を説明するとあの奉行と考えればいいんじゃないだろうか。
どうも、初めまして。
前世はサラリーマンやっていました。
現世の仕事は西洋版お奉行様やっています(俺はヨーロッパじゃお奉行にあたる仕事をなんていうのか知らない)。
といっても奉行って江戸時代でも上級幹部から下級幹部といたらしい、そして今、僕の仕事は下級幹部ってやつだろう。
下級でも幹部は幹部、結構な役職ですよ?
転生トラックで女神の同情でチートとかそういう事で得た地位ではありません。あえて言うのなら転落階段で努力コツコツ?まあ特殊能力には恵まれたけれど……。
皆、ポイ捨てはやめよう!世の中にはバナナの皮で滑って転んで死ぬ人もいるかもしれないと思っておこう!僕が滑ったのはなんか雑誌っぽかったけど!
で、まあ女神の同情シーンは覚えがないけれど、とりあえず気づいたら結構なお家の結構なお部屋で結構なメイドさんに結構なお洋服を着せられたり食事をさせてもらったり…………まあ気づいたら前世の記憶を思い出していたというよりも、転生していた、という感じ。
尤も、すぐ転生ってことに気づいたわけじゃありません、むしろ転生ってことに気づく前には
”よくできた夢だなー。でも俺の夢なのに癒されない……”
と思っていた。
そう、最初の頃は夢だと思っていたんですよ。
あ、そうそう、昔の一人称は「僕」じゃなく「俺」だったんですよ。ややこしいですか?成長過程において変える事なんてよくあるでしょう?ちなみに今でも時々使いますよ。主に上司とか目上がいない場面で。ちなみに公的な場所ではもちろん「私」です……あ、これ変えたというより使い分けか!
ああ、話を戻しますね。
そして夢じゃないという事にある日気づいて。
“あれ?これこの坊ちゃん俺に乗っ取られていませんか?”
とか最初は焦りました。
焦った物のどうしたらいいのか分かりませんね。
結構な家具と絨毯と壁の模様と服と扱いで結構なお家の結構な立場に生まれた坊ちゃんという事はわかりましたが、物心つくかつかないかのちびっこが訊かれてもいないのに「すみません、お宅の息子さんをのっとってしまいました」とか突然相談して来たら周り、パニックですね?
場合によっちゃエクソシストを呼ばれて強制的に祓われる…いえ、成仏できるなら良いんですがね、以前テレビで、外国で『現代でもエクソシストとして活躍している人』が悪魔祓い……この場合の悪魔は不浄物霊を指していました……の戦利品?結果品?を見せてくれるのを映していました。曰く「この聖水に閉じ込めました」だそうです。だとするとですよ?成仏させてもらえずに封じられる可能性があるわけです。僕はペンダントトップの小さな小瓶に収められたくはなかったわけです。他にもエクソシスト系霊能力者とお坊さんが地縛霊を祓う対決番組……その番組でお坊さんがお経をあげて成仏させている姿を見て「そういう苦しませないやり方もあるんですね…」と(僕ら視聴者にはもちろん、TVスタッフにも見えないながら)穏やかに上がって行ったという霊を見て感心と感想を告げるエクソシスト系霊能力者の言葉……つまり普段無理やり祓ってる、と?
それを思い出した瞬間、僕はお口チャックを選択しました。
現代でも西洋文化圏ではエクソシストが大活躍中なのです。そしてその祓い方は「個人差があります」なのです。優しい人を呼んでくれる家族なのか、なんか他の人に見えない方向に説教して「悪霊は捕まえました、霊体は苦しみましたが坊ちゃんは無事です」という人を呼んじゃうのか、基本悪魔祓いみたいに取りつかれた人の肉体を苦しめて出ていくように仕向けるという「すみません、それなんて魔女狩り?」な方法がポピュラーな地域なのか、……僕は此処の家の人たちが選ぶエクソシストが二番目や三番目のエクソシストで無いという自信が持てなかったのです。もちろん、二番目はともかく三番目なの方法なんてそんな可能性をこの情報化社会+人権保護団体の強い現代社会で選ぶエクソシストなんていた日には弾圧されるだろうとお思いかもしれませんが、なぜそう思えなかったのか!
それはこの家と、この家で働く人たちの俺に対する態度や服装や設備にありました。
なんとこの家、暖炉に薪です。電気っぽいものがあるけど、水道っぽい者もあるけど、家具の設備がどうにもレトロ、そして服装が中世(15世紀前後くらい)ヨーロッパ風というレトロというより文化保存会レベル。……飽く迄「風」で其のものじゃない感じだし色々違う感じだけど僕は当時の流行にそこまで詳しくなかった。
夢じゃないとしたらこれはあれか、以前噂に聞いた、中世時代の文化を復元保存しているというなんか懐古主義を実行に移しているというヨーロッパの何処かにあるというなんかの団体の作った村なのか!
とか最初は思いました。
因みにテレビは実際に見ましたが中世村は噂に読んだだけなので実在は知らない。
でもまあ、その噂を聞いた時は自然程的な牧歌的団体かも~とかのんきに想像していたのですが、ですかですよ?僕が、
「すみません、お宅の坊ちゃん乗っ取っちゃったみたいなんですが」
とか相談した日には、その僕のイメージにあった牧歌的方向ではなく、もしももしかしたら、現代らしく精神科医とか呼ぶのでもなく、魔女狩りの人呼んできちゃったりするかもしれないじゃないですか?
だからお口チャックしました。
無論、坊ちゃんに悪いのでそっと自力成仏できないかと瞑想をしてみたり、教会(なんと屋敷の敷地内に家族&この家に住む・働く人たち用教会がある!)があると聴いてお祈りしてみたりしました。
しかし僕はその時そこでとんでもないことに気づいてしまったのです!
この世界は、地球ではないと言う事に!!
……人によっては「何をいまさら」と仰るかもしれませんね。
ですが僕の立場になって考えてみて下さいよ、普通「異世界に来た」とかまずは思いませんから……。