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床板ひっぺ返したら異世界だった  作者: するめ
床板ひっぺ返したら鼠の洞窟だった
8/25

第一異世界人との遭遇

今回で洞窟編が終了です。

ようやく異世界に行くことができます。

さてヒロインは登場なるか?


鉈は折れてしまっていた。

ナイフはネズミの頭骸骨に深く刺さり、なかなか抜けなかったがなんとか抜けた。まだ使えそうだ。

刀は数度にわたる戦闘で刃こぼれしてしまっている。

できれば手入れをしたいが、専用の道具もなければ知識もない。

後で修理に出しに行かなければならない。

「でもこんな状態の刀を持っていったら不審がられるよなあ。」


とりあえず回収した武器にできうる限りの手入れをした。

その後、周囲を見回していると部屋の端にいくつもの骨が積み重なって山になっているのを見つけた。

「うわあ。みんなこいつに食われたんだな。この骨は・・・あれ?これって人間のほねだよな?」

大小の動物の骨にまじって人間の頭骸骨があるのを見つけた。

「俺の家からは人が入った形跡はないし・・・やっぱりこの近くに人間が住んでるってことかな?やっぱり、あの向こうかな?」

ユウの視線の先には鉄の扉があった。

「いや、でも、あのむこうが外に通じてるとして、ここにいるような巨大なネズミがいたとしたら、絶対ニュースになってるはずだよな。う~ん、やっぱり外ではないのか?」

悩んでいると目の端っこに光がうつった。

それは白い骨の山の中で黒く輝いている。

「なんだろう、これ?ん・・・・これって・・・刀?」

そこには脇差ほどの長さの刀がさやに入った状態で置かれていた。

ユウはそれをとって鞘から刀身を抜いてみた。

「おお。なかなかの業物だ。きっとネズミに食われた人の所持品だったんだろうな。う~ん、それにしても傷も汚れも全くない。なんでこんなに良い状態を保っているんだ?」

いろいろと気になることはあったが、ユウは考えるのをやめ、脇差を腰にさす。

二つの刀がしっかりと帯で固定されていることを確認すると、鉄の扉に向かって歩き出した。

「それじゃあ、進むとするか。よいしょっと。」

ユウは両手を扉にあてて、腰の力を入れる。

これまでの扉よりも硬かったが、なんとか開けることができた。


「うわ、眩しい!」

ユウの体を日光の光が包む。

久しぶりの太陽の輝きにユウは目がくらんだ。

目を守るように右手をかざして目に影を作る。

徐々に視界が開けていく。

「え・・・・?どこだここ?」

扉の向こうにはどこまでも続く平原と、見渡す限りの地平線が続いていた。

「日本にこんな場所あるわけないよな・・・。」

「ん?鳥か?」

平原に影を作りながら、遠く上方の空を、大きな鷲が飛んでいく。

「っておい!なんだあれ」

始め鷲かと思ったそれは、とにかく巨大だった。

両翼を雄々しく羽ばたかせるその大きさは、少なくとも10メートルはこえている。

まるでジャンボジェットのようだとユウは思った。

「いやいや!ここが日本のはずないよな。ありえないよな!?」

鳥は遠く地平線の向こうへと消えていった。

「よくわからんけど、ネズミのところに人間の骨があったってことは、近くに人間がいるはずだよな。探してみるか。」


ユウは人里を探して歩いて行った。

しばらく歩くと川が見えてきた。

流れはとても緩やかで、氾濫を起こした形跡は見当たらない。

「おお。」

川幅はあまり広くなく、水はきらきらと輝いている。


近くに寄って行くと、こちら側の川岸に人間がいる。

服装は日本の浴衣に近い。

両腕を通して前で重ねた布を帯で縛っている。

だがその荒い布は垢で薄汚れていて、もはや茶色をとおりこして泥色といった方がいいかもしれないほどだった。

どうやら若い女性なのであろう。

その布からはえた首筋は白くとても美しかった。

長い金色の髪を結いあげたうなじには女性の魅力があふれ、ユウはしばし見惚れてしまった。


「お~い!そこの君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

ユウは声をかける。

洗濯をしていたらしい女性は濡れた布を傍らに置いてあった籠に入れると、立ち上がり振り返った。

そしてユウと視線が合う。

顔は美人とはいえないが、鼻筋が通ってその下にふくよかな唇があり、唇の右下には一つのほくろがあった。容姿は総合的に言えば人並み以上といえるものであった。

日光をきらきらと反射する川を背後に佇む女性は、まるで絵画のようであった。


「きゃああああああああ!」


女性はユウと視線があった瞬間に悲鳴をあげて川の上流へと逃げて行ってしまった。

洗濯物はその場に置き去りである。

「おい!ちょっと、忘れもの・・・・行っちゃった」

ユウはなぜ女性が逃げて行ったのかわからずに頭をかいた後、女性が置いて行った洗濯籠のところにいった。

その後、少し茫然としていたが、喉のの渇きを覚えた。

川を見ると底まで透き通った水をすくおうとしたとき、ユウの姿が川面に映る。

そこには血で真っ赤に塗れ、ヒゲを生やした薄汚れた男が立っており、その目は鋭くぎらぎらと輝いていた。

自分の姿でありながら、川面に映った映像はユウに恐怖を与えた。

「ナンジャコリャああああああああ!!!!」



第一異世界人との接触に失敗してしまいました。

この女性はヒロインなるか、というか再登場するのでしょうか。



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