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第三話:問題児クラスの教師を労わろう

第三話

 俺が吸血鬼に襲われた次の日、普通に学園へ登校して授業を受けた。

「吸血鬼に襲われて精神的ショックが凄いので休んでいいですか」

 最近元気のない四季先生にはそんな事を言えなかった。

 千鶴たんは何やら家の用事で休みのようだし、隣のクラスの友達もまだ休みだ。

「みんなに相談したい事がある」

 クラス委員長の男子生徒がそう言った。何故か、男子生徒全員が残っており、文字が綺麗だと言われている人物が黒板に文字を書きはじめた。

「……四季先生を全力でバックアップする会?」

 書かれた文字を読んで首をかしげる。しかし、俺以外の男子生徒は何やら知っているようだった。

「クリスマス会からこっち、我々の行動でおそらく四季先生は心を痛めている。さすがにやりすぎたと後悔をしているのだ」

 うんうんとクラスメートの男子達が頷いていた。

「じゃあ書記、事件を思い出すために黒板に箇条書きで頼む」

「わかった」

 クリスマス会、俺らのクラスは教師の一人が持ちこんでいた酒を間違って(本当は知っていたのだが)飲んで大暴れしたのである。

 女教師に絡むもの、女子生徒を追いかけるもの、サンタ狩りを始める者等……暴挙の数々を繰り広げたのだ。

 当然、酒を持ち込んだ先生は謹慎処分を受けて四季先生はクラス担当と言うこともあってそれなりに怒られた。

「まぁ、これは我々の責任の比率はそこまで大きくはないと思う」

「酒は飲んでも飲まれるなってね」

「便乗して暴れた奴が多かった気がするしな」

 俺の言葉に数人が素知らぬ顔で口笛を吹いていた。

「他にも色々とあるけれどクリスマスの次は正月だな」

「ああ、初詣だ。初詣では東羽津学園の女子テニス部が来てたからナンパし始めたんだったか」

「そうだそうだ。大人しそうな子を数十人で囲んで連れ回したのがまずかったらしい」

 そらぁ、怖いだろうな。この件は初めて聞いたものだった。

「年明けから年明けまで他にも数件のちょっとした事件が報告されていてそのすべてが四季先生に知られており、なおかつ彼女が怒られている」

 噂によると学園長と校長先生のマンツーマンによるご指導があったそうだと委員長が口にした。

「さすがにふざけ過ぎだよなぁ」

「だな。というわけで、このクラスの中の一人に四季先生をバックアップしてもらう。勿論、クラス男子全員がバックアップするつもりだが人が多いと勘付かれる。我々の評判はおそらく悪い。特に決める方法がなければくじでいくぞー」

 人数分の紙を準備して二つ折りにして箱に入れる。一人一人が引いてく中、一番最後である俺の順番が回ってきた。

「どうだ、引くか?」

「……いや、いい。俺以外の男子生徒が誰も引いていないって事は確定って事じゃねぇか」

 バックアップをすると言っても一体全体、何をしろと言うんだろうか。

「お前らもそうだが四季先生が困っていたり、悩んでいたりしたら率先して事案を聞きだすんだ。個人で解決できそうにないのなら他の男子生徒を頼れ」

「四季先生をバックアップするぞーっ。準備はいいかーっ」

「おーっ」

 クラス中の男子生徒が右拳を天井へと突き出した。担当となった俺も当然、力強く右手をあげたものの……。

「……吸血鬼に襲われてすぐにこんなことになったけど、いいのか?」

 まぁ、四季先生はお世話になっているし、たまにはいいかもしれない。どうせ、三学期終了したら先生が変わってしまうんだしな。それまでは頑張りたいと思う。


今回は今の冬治が通っている羽津学園について少しばかり説明を。教室:2-B。男子生徒20名、女子生徒21名。男子はクラス大半が巨乳派である。女子はマッチョや執事といったものが大好物。男子はかなり問題行動を起こしているものの、四季先生のおかげでなんとかなっている。女子生徒は問題を起こしていないように見えるがカンニング疑惑を毎回二人は教師に持たれている。

羽津学園:月一で全校放送のスピーチが行われる。内申点が低い生徒や、何かしらの懲罰に使われたりするものでもある。なければ生徒会長や学園長のありがたいお話が聞ける。一つの学年は基本七クラス。特別クラスも組まれたりするためクラス数が決まっている事はなく、八クラス以上出来た場合は旧校舎の教室も使われる。

まぁ、これらの設定は前から決まっているものだったりします。折角学園モノなんだし他の連中とのからみを……といっても男子Aとか男子Bとかですけどね。

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