【アーカイブ番号:PSY-044-LNS】
ACCESS_GRANTED: CLEARANCE_LEVEL_4
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[STATUS]: CONFIDENTIAL / PROCESSED / SYSTEM_REBOOT
[SOURCE]: Med-Log(IP) / Journal-A
分類: [精神鑑定 / 婚姻による資産調整 / 代替品の消費 / 虚無の深淵]
記録内容:【侯爵の精神欠落と、代替品による初期稼働テスト】
■ 概要(System Log):
* ランスロット侯爵に対し、軍医による精神鑑定を実施。結果、極めて高い「情緒的絶望死リスク」が検出された。
* 解決策として「情緒的結合(婚姻)によるバイタルの安定」が勧告され、アレス公爵の手配により即座にお見合いを執行。
* 侯爵は、外見・魔力波形ともに[削除済]に酷似した個体を選択。婚姻および初夜の執行をもって、軍務への復帰が承認された。
■ 断片化された証拠資料:
1. 帝国精神科医の音声ログ(抜粋):
「……(ノイズ)……ええ、驚くべき空虚です。彼は戦場での勝利も、議会からの恩賞も、脳内で『無価値な数値』として処理している。このままでは、演算能力が自らの精神を焼き尽くし、[削除済]に至るでしょう。……(ノイズ)……早急に『愛着の対象』、あるいは『破壊可能な依存先』をあてがう必要があります。……え? アレス閣下はなんと? ……『壊れるならそれまでの器だ』と……鼻で笑って……(沈黙)」
2. Aの日記([削除済]年 [検閲]月 [検閲]日):
あの子の診断書を見て、手が震えた。アレスは「強くなれば解決する」と取り合わないが、私は知っている。あの子が戦場で勲章を砕いていたあの虚ろな瞳を。
あの子は、自分を壊してくれるものを探している。だが、自分より強いものはこの世界にいない。
だから、自分より[削除済]な存在を、自分と同じ色に染めて壊すことでしか、生を実感できないのだ。
お見合いで選ばれたあの娘……。[削除済]に、あまりにも似すぎている。
アレスの『算段』は、あの子に『代替品』を与えて、[削除済]を先送りにしただけだ。
可哀想な[削除済]。お前の影を追う弟は、今夜、お前の身代わりに[削除済]。
■ 内部独白 / 遺棄ログ:
(……白い。肌も、シーツも、何もかもが。
指を食い込ませ、その肉を蹂躙しても、彼女から聞こえるのは私への『愛』の言葉だ。
反吐が出る。私が欲しいのは、そんな甘い毒ではない。
瞳を閉じれば、そこにいるのは[削除済]。
私の暴挙に顔を歪め、正論という名の剣で私を刺そうとし、それでいて[削除済]を守るために、すべてを諦めて私を受け入れる……あの、高潔な[削除済]。
……ああ。今、この瞬間、私の下で泣いているのが兄様なら。
この温い感触ではなく、あの冷徹な『技術官』としての理性が、私の熱で[削除済]していく音が聞こえたなら。
……兄様。あなたは、私が『代替品』でこれほど満足していると知ったら、どんな顔で私を軽蔑してくれますか?
その軽蔑こそが、私の[削除済]。)
[SUBJECT_LANCIA / SUBJECT_WIFE]
* VITAL: [TEMPORARY_STABILIZED / CRITICAL_EXHAUSTION]
* DATA_INTEGRITY: [OVERWRITTEN / REPLACED]




