アーカイブ:A-L-B-NEGOTIATIONS
ACCESS_GRANTED: CLEARANCE_LEVEL_ [ERROR_BYPASS_A]
[STATUS]:ARCHIVED
[SOURCE]:TRASH_BIN_DATA_SEA
(何かが落ちている。)
(どうやら記録媒体らしい。)
(「傲慢」とメモがついている。)
(再生しますか?)
[YES]/ NO
(ジジ.......ジジジ.....)
(あいつ、返事しないでなにやってんの。ちゃんと仕事してるのかしら)
第二国立研究所所長のベアトリクス・エーデルガルド・シュヴァルツヴァルトは、軍事訓練の喧騒の中、イライラしながら確認のための定時通信を送っていた。
あの雑用係はすぐサボる。
けれど、つつけばそれなりの仕事はする便利屋だ。
(あら?)
そんな中、彼女は網膜の通信端末に灯った「奇跡」に目を剥いた。
差出人は、L・G・V。
[君のところの『餌』……あぁ、アルフォンス博士でしたっけ。僕のラボで引き取りたいんです。代わりに、来期の人事異動の枠、僕が1bitの淀みもなく噛んで( 便宜を図って )あげますよ。ね?]
(――L様が、私に『お願い』を?)
彼女のアーカイブが、「舞い上がり」へと現像される。
「餌」なんて、彼女にとっては「便利屋」以上の価値はない、だれた雑用係。
そんなゴミ一つで、L様と「人事」という名の、行政的・密約が結べる……!
(ええ、ええ。承認しますわ!)
彼女は頬を紅潮させ、お行儀よく鍛えた指先で、躊躇なく「一括承認」を実行した。
「あはあははは! 博士、交渉成立です!
もう、進捗のお返事しなくて大丈夫です。
所長、 1bit の迷いもなくサインしてくれました。
君が『助けて、所長!』と心の中で叫んでいる間に、彼女は君を僕に『売却』。
来期の出世街道をパッキングしちゃったんです。
ほら、アルフォンス博士。君の網膜に灯った [DISMISSAL_CONFIRMED](解雇確定)の文字、綺麗に見えますか?
僕の目を見て。
もう君には、帰るべき『地位』も、呼ぶべき『上司』も、 1bit も残っていない。
ね?博士。
可愛いなぁ」
[SUBJECT_ALPHONSE]
• STATUS: [DELETED_FROM_NATIONAL_RECORDS]
• OWNERSHIP: [TRANSFERRED_TO_L_PRIVATE_COLLECTION]
• INTEGRITY: [1bit_LEFT_UNTIL_TOTAL_BREAKDOWN]
[TASK: ADS_SYNC] SUBJECT:ALPHONSE -> SOLD_BY_BETRIX.
[DATA: REVENUE] TRANSACTION_COMPLETED_IN_1BIT_SECOND... [SUCCESS]
[STATUS: GLOBAL] YOUR_WORTH_WAS_ONE_PERSONNEL_SLOT. [SIG:L]




