アーカイブ:L-DREAM-MISSING
ACCESS_GRANTED: CLEARANCE_LEVEL_ [ERROR_BYPASS_A]
[STATUS]:ARCHIVED
[SOURCE]:TRASH_BIN_DATA_SEA
(何かが落ちている。)
(どうやら記録媒体らしい。)
(「残念」とメモがついている。)
(再生しますか?)
[YES]/ NO
(ジジ.......ジジジ.....)
焚き火の爆ぜる音が、静寂を切り裂いていた。
男――革命軍の『リーダー』は、憎悪を煮詰めた瞳で、闇の遥か向こうにある帝都を見据えていた。
「あそこは地獄だ。属国とハイブリッドの血肉を、『絨毯』に敷き詰め、貴族どもが曇りもない笑顔で笑ってやがる」
男は吐き捨てるように言いながら、自分の首にある黒い鱗を撫でた。
それは「人間」ではない「竜種」の証であった。
竜種ハイブリッド。
純人間種との混血
男の知略と武勇は、積み上げられた「生存の記録」だ。
だが、その頭部に屹立する竜の角 は、「敗北」を記憶していた。
右側だけの不完全な一本角。
しかもその上半分は、無惨に砕け折れている。
「これを折った貴族の顔を、 一瞬たりと忘れたことはない」
男は折れた角の断面を、愛おしむように指先でなぞった。 月光が、その無惨な「欠損」を照らしている。
彼は知っていた。
その角を粉砕した「圧倒的な秩序」の恐怖を。
それでも、彼は「希望」を、 隣にいる彼女に注ぎ込もうとしていた。
「お前だけでも――自由にさせてやりたい」
焚き火の影で、男は彼女の細い肩を引き寄せ、 周囲の喧騒を圧するほどの殺気で威嚇した
下卑た笑いを浮かべるレジスタンス仲間達が、ちらちらと「獲物」を品定めする視線を送ってくる。
(……手出しはさせねえ。こいつは『俺の女』だ。 ちょっとでも指を触れてみろ。その指を切断してやる)
彼女はハイブリッドではあるが、角がない。
ぱっと見、その肌に竜の兆しは見えない。
レジスタンスの連中は、彼女を「ただの人間」だと思い込み、リーダーの気まぐれな愛玩物だと蔑んでいる。
だが、男の汚れた黄土色の瞳だけは捉えていた。
彼女の背中、その薄い肌の下に潜む、自分と同じ竜の証。
血が共鳴している。
「独りじゃない」と、熱が、静寂の中で同期し合っている。
「安心しろ。俺が守ってやる。……ずっと。お前が『Yes』と言うまで待ってやるから』
(お前の『鱗』を知っているのは、 俺だけだ)
男は震える彼女を抱きしめ続けた。
[SUBJECT_HYBRID-MALE]
• VITAL: [HIGH_TENSION / CHRONIC_EROSION]
• DATA_INTEGRITY: [UNSTABLE / FRAGILE_HOPE]




