アーカイブ:LL-COMM-MISSING
ACCESS_GRANTED: CLEARANCE_LEVEL_ [ERROR_BYPASS_A]
[STATUS]:ARCHIVED
[SOURCE]:TRASH_BIN_DATA_SEA
(何かが落ちている。)
(どうやら記録媒体らしい。)
(再生しますか?)
[YES]/ NO
(ジジ.......ジジジ.....)
冷淡な電子音と共に、ノイズ混じりのホログラムが浮かび上がる。
映し出されたのは、かつての気品を微かに残しながらも、度重なる「プログラム」によって生気を削ぎ落とされた、白鱗の女――L(母)。
「母上?」
L(弟)は、獲物を仕留めたばかりの獣のような、けれどどこか「母親に褒められたい幼子」のような、歪な笑みを浮かべて呼びかけた。
「……なに」
L(母)の声は、地の底から響くように冷たい。
彼女の瞳には、目の前の英雄が立てた武勲も、胸に輝く勲章も、一切映っていない。
「また勲章をもらいましたよ。これで竜界もまた栄えますね」
「そう」
短い回答、興味のなさそうな声。
「あなたも、順調に子を増やしたそうね。……L(兄)に聞いたわ」
L(母)の言葉が、L(弟)の笑みを微かに凍らせる。
彼女にとって、L(弟)がどれだけ子を作ろうと、それは「+1」の数字に過ぎない。
「L(兄)は元気? ちゃんと食べてるかしら……あの子は、あの人に似て、繊細だから……」
L(弟)の指先が、見えないところでピクリと跳ねる。
自分がどれだけ側にいようと、母が案じるのは、自分が「壊した」兄様のことだけ。
「……僕と父さんで、ちゃんと『管理』してるから大丈夫だよ。母上」
「管理……。……そう」
通信が切れる。
L(弟)は、暗転した画面を見つめながら、独りでに笑った。
「――ああ、母上。……やっぱり、そうなんですね。僕がどれだけ強くなっても、あなたは僕を『Aの子供』としてしか見てくれない。だから……いいんですよ。僕は、あなたが一番愛している兄様を、あなたの手が届かない場所で、僕だけの『お人形』として、一生管理し続けてあげる。……あはっ、あははははっ!!」
[SUBJECT_L]
* VITAL: [UNCHANGING / STAGNATED]
* DATA_INTEGRITY: [CRITICAL / OVERWRITTEN_BY_A]




