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ザ・ドラゴンズ  作者: 天彗
ドラゴン軍
7/21

試験

 ヒカルは苦戦していた。模擬戦竜の攻撃を避けるのに必死で、全然攻撃できない。試験官という立場上、ボルトもいつものように指示できない。ヒカルは模擬戦竜の攻撃をなんとか避けていた。


「どうした?避けてばかりじゃないか」

 ゴウが言った。


「やっぱガキには無理なんじゃねーの?」

 リキが笑いながら言った。


(そんな……)

 ヒカルは焦った。確かに避けているばかりで、何もできていない。焦りがどんどん募っていく。


「こんなノロマの相手もできないのかよ、お前は!」

 リキが言った。


「こんなんじゃ、ドラゴン軍なんて夢のまた夢だぜ!」

 ゴウが笑う。


「そんな……」

 ヒカルが呟く。焦りと、悔しさがこみ上げてきた。


 しかし、リキが言ったノロマという言葉が引っ掛かった。確かに訓練の時のボルトの方が圧倒的に速い。ヒカルはボルトの攻撃を、少しだが避けることもできていた。


 ヒカルは一旦下がって呼吸を落ち着けた。そして模擬戦竜を見た。模擬戦竜は軋み、吼えながらヒカルに飛びかかった。


(遅い……!)

 ヒカルは模擬戦竜の攻撃を最小限の動きで避けた。そして、模擬戦竜の腹を剣で斬った。


 模擬戦竜は振り向き、今度はヒカルに噛み付こうとした。しかし、ヒカルはそれを避けた。模擬戦竜の口が閉じた瞬間、一瞬だけ模擬戦竜の動きが止まった。


 ヒカルはその隙を狙って攻撃。模擬戦竜の左腕に傷を付けた。戦えてる。ヒカルはそう思った。


 そのとき、突然模擬戦竜の首から火花が散った。金属が軋むような、折れるような音がする。模擬戦竜がヒカルを見る。そして咆哮を上げ、先ほどまでよりも2倍くらい速い速度で動き出した。


「なんだ?」

 ボルトは異変に気付き、模擬戦竜を見た。模擬戦竜は今までよりも速い動きで攻撃している。ヒカルはなんとか避け反撃しているが、模擬戦竜の動きは明らかに普通じゃない。


(……修復できるとはいえ、限界がある。ゴウとリキのダメージが蓄積していたか)

 ボルトは槍を構えた。模擬戦竜の首には太い配線がある。それを切れればシャットダウンできるはずだ。


 ボルトは模擬戦竜の方に向かい、翼を広げて飛び立った。上空から模擬戦竜の首筋を狙う。


 そのとき、ヒカルの目がボルトを捉えた。そして、ボルトが模擬戦竜の首を狙っていることに気付いた。


 ヒカルは模擬戦竜の噛み付き攻撃を避け、横に回り込んだ。そして、模擬戦竜の首筋に剣先を刺した。


 模擬戦竜の動きが完全に止まった。目の輝きが消え、その場に倒れた。


「やった」

 ヒカルは呟いた。


「やった!倒した!倒せた!」

 ヒカルは飛び跳ねた。ボルトが上空から降りてくる。


「よくやったな」

 ボルトはヒカルに近付いて言った。


「合格だ」

 ボルトはヒカルの頭を撫でた。

「よく気付いた」


「はい」

 ヒカルは喜んだ。


「もう終わりかよ」

 ゴウが舌打ちした。


「なんでアイツが合格できるんだ?あんなガキのくせに……」

 リキは納得がいかないらしい。


「さて、我々は先に戻るぞ」

 ボルトはそう言い、石突を地面に叩き付けた。雷鳴と閃光が辺りを包み、ヒカルたちはあっという間に襲撃受域まで戻ってきていた。

 全員の試験が終わり、受験者たちは襲撃受域に集まっていた。


「皆、お疲れ様。これで試験は終わりだ。合格者は城に来てくれ。合格できなかった者は帰っていいぞ」

 鷲が受験者たちに言った。受験者たちは落胆し、続々と帰って行った。


「合格者は俺たちに付いてこい」

 ボルトがそう言い、城に向かって歩いていった。ヒカルも後を追う。その後ろにゴウとリキがいた。


「運が良いガキだな」

 ゴウがヒカルに言った。


「いつ死んじまうんだろうな?」

 リキが笑いながら言う。ヒカルは無視した。しかし、同じようなことを考えていた。


 先ほどのは模擬戦だ。きっと本物はもっと強いだろう。本当に自分はやっていけるのだろうか。


 ヒカルはそう考えながら城に入っていった。

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