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ザ・ドラゴンズ  作者: 天彗
ドラゴン軍
5/21

ボルトの訓練

 訓練は城から出て、城下町を通り抜け、雲を貫くほど高い城壁を越えた先の草原のような場所で行われた。ここは襲撃受域というエリアで、襲撃という現象が起きた時の最終防衛ラインらしい。


 ボルトとの訓練は毎日あった。初日は基礎体力作りからだった。ランニング(たぶん50キロくらい走った)腕立て(1000回以上やったかも)腹筋(数える余裕無かった)……普通の人が付いていけるようなものではなかった。


「ヒカル君、体力無さすぎ」

 ヒカリが言った。ヒカリもボルトの弟子なので一緒に訓練している。


「いや……あの……その……」

 ヒカルは膝をつき、息も絶え絶えだった。ただ、一番ヤバイのが……


「オラ立て。まだ終わってねぇぞ!」

 ボルトさんが怖い!


「すみません!」

 ヒカルは立ち上がった。




 一週間後から、少しずつ木刀を使った訓練が始まった。ボルトの攻撃をひたすら避けたり、いなしたりするのだ。


 ヒカリは木刀を使い、ボルトと互角に渡り合っている。後半になると疲れが見え、ボルトの攻撃を避けきれなくなってくるが、それでも食らいついている。


 一方、ヒカルは……


「遅い!そんなんじゃ実戦で死ぬぞ!」

 ボルトが木刀を振った。ヒカルの顔面に直撃する。


「痛っ!」

 ヒカルは顔を手で押さえた。しかし、ボルトはそんなヒカルに容赦なく木刀を振り下ろした。ヒカルはギリギリ避けた。ボルトの木刀が地面にあたり、地面に亀裂がはいる。


「こ、殺す気ですか?」

 ヒカルは痛みに顔をしかめながら聞いた。ボルトが首を傾げる。


「実戦で相手に殺意が無いと思うか?」

 ……これ訓練ですよね?




 1ヶ月も経つと本物の剣を使っての訓練になった。


「よし、じゃあ今日は実戦形式でやるぞ。本気で来い!」

 木刀を持ったボルトが言った。ヒカルはボルトが城の武器庫から持ってきた、本物の剣を持っている。ヒカリはいつも戦いで使っている短剣だ。


「はい!」

 ヒカルはそう返事すると、剣を鞘から抜いた。練習用とは違い、ズッシリとした重みが手にかかる。


 ボルトに攻撃する。しかし、攻撃は全て避けられた。ヒカルは一旦距離をとり、剣を構えた。


「遅い!」

 ボルトが言った。次の瞬間にはもう目の前にいた。速い!そう思った時にはすでに遅く、ヒカルの腹に衝撃が走った。そのまま吹き飛ばされる。


 ボルトはすぐにヒカリの相手を始めた。ヒカリは短剣でボルトの攻撃を弾いている。しかし、押され気味だ。ヒカルは助けに行こうとした。しかし、すぐにボルトの攻撃に吹き飛ばされた。ヒカリも倒れてしまった。


「動きを追えていない。相手を見て、理解し、行動する。この動きが遅いと、実戦ではすぐに死ぬぞ」

 ボルトが言った。


「は……はい……」

 2人は返事した。


「さあ立て、続きだ。」

 ボルトは倒れた2人に木刀を向けた。


「まだやるんですか……?」

2人は呻いた。しかし、訓練はまだ続いた。




 3ヶ月後……


 この日はヒカリが任務に出かけており、ヒカルだけで訓練を受けていた。


「今日はもういいだろう」

 ボルトが言った。


「え、今日はもう終わりですか……?」

 ヒカルが聞いた。まだお昼だ。いつもは夕暮れまでやるのに。


「ああ。もうお前は大丈夫だ。後は明日の入隊試験だけだ」

 ボルトが言った。


「明日……ですか……」

 ヒカルは呟いた。入隊試験……つまり、兵士として採用されるかどうかが決まるのだ。緊張するに決まっている。


「試験に向けて、よく休んでおけ」

 ボルトはそう言い、城に戻ろうとした。


「……僕、ボルトさんに一回も勝てて無いです」

 ヒカルは呟いた。ボルトが振り返る。


「攻撃はかすりもしないし、ボルトさんの攻撃も全部は避けられない。こんなんじゃ、兵士になんて……」


「当然だ」

 ボルトが言った。


「俺とお前は、生きてきた年数も、種族も違う。お前が俺に勝つのは無理だ」


「でも、それじゃ……!」

 ヒカルが言いかける。


「だが」

 ボルトが遮る。


「お前は強くなっている」

 ボルトは言った。


「初めの頃より、反応が速くなっているし、動きも良くなってる。少しずつだがお前は強くなっている」

 ボルトはヒカルに近付き、頭に手をのせた。


「お前は俺の訓練をここまで受け続けた。俺の指導を受けて、兵士になれなかったやつはいない。自信を持て。どっちにしろ、やってみないと分からないぞ?」

 ボルトはそう言うと、城に戻っていった。


「自信……」

 ヒカルは呟いた。

ドラゴン城のある街の構造

外側から

城壁1→襲撃受域→城壁2→街→城壁3→人蜥蜴林→城壁4→ドラゴン城

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