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ザ・ドラゴンズ  作者: 天彗
プロローグ
1/21

傷だらけの少年

 ここは、人と竜が共存する世界。これは、この世界のとある城の軍隊の物語だ。

「親玉が逃げたぞ!」

 1人の兵士がそう言い、城壁に背を向けて逃げる1頭の赤い龍を指さした。


 「逃がさない」

 1人の黄色い髪の少女が短剣を握りしめ、兵士たちと共に龍を追った。彼女の名前はヒカリ。ドラゴン軍の兵士の1人だ。


 龍はしばらく走っていたが、森林の入り口まで追い詰められると振り返り、咆哮を上げた。


 兵士たちは武器を構えて突撃する。龍は口を開け、火の玉を吐き出した。火の玉は地面にあたると爆発し、兵士たちを吹き飛ばした。煙が上がり、辺りが見えなくなる。


 しかしヒカリは煙の中から飛び出し、龍に向かっていった。龍が再び火の玉を吐く。ヒカリは体の前に短剣を構えた。


 火の玉がヒカリの短剣にあたった瞬間、短剣が火の玉を反射し、火の玉は龍に向かって飛んでいった。龍の顔面で火の玉が爆発し、龍はよろめいた。


 ヒカリは次の攻撃に備えて短剣を構えた。しかし龍は火を吐かず、吼えながらヒカリに向かって走り出した。そして前足を振り上げ、鉤爪で攻撃しようとした。


 空が暗くなった。風が止み、静かになる。いつの間にか龍の頭上に黒い雲が集まっていた。雲の中で雷が光る。


 次の瞬間、龍に雷が落ちた。龍の体が硬直する。さらに雷と一緒に黄色い竜が急降下し、龍の頭を槍で貫いた。龍は地面に倒れ、絶命した。黄色い竜は槍の先で龍の額をつついた。


「親玉の死亡を確認。襲撃は終わった」

 黄色い竜が言った。男の声だ。兵士たちは安堵し、勝利の雄叫びを上げた。


「先生、お疲れさま」

 ヒカリは黄色い竜に話しかけた。


 「ああ……怪我は無いか?」

 竜が言った。


「大丈夫。かすり傷1つも無いよ」

「そうか」

 竜はヒカリに背を向け、兵士たちに城に戻るよう言った。


 「処理班が来るまで、少し待つか」

 竜はヒカリにそう言った。


 ヒカリは近くの倒木に腰掛けた。竜はその近くに生えている木の太い枝に座って、槍の刃をいじっている。


 龍の死骸には様々な虫や小動物が集まり始めていた。鱗を噛み砕けず苦戦している。


 ヒカリは短剣を見た。鏡のように周りの景色を映している。もちろんヒカリ自身の姿も。ヒカリはしばらく短剣に映った景色を見ていた。


 すると、短剣に映った自分の後ろの木の根本に、何かがあった。ヒカリは振り向いてそれを確認した。それは靴だった。ズボンも見えた。どちらもボロボロだった。間違いなく、誰かが倒れている。


「先生、あれ!」

 ヒカリは頭上にいる竜に呼び掛けた。竜がヒカリが指差す方を見る。


「……人か?」

 竜が言った。ヒカリはすぐに駆け寄った。倒れていたのはヒカリのように黄色い髪の少年だった。全身傷だらけだ。ヒカリは脈を測った。


「意識は無い……けど、息はあるみたい」

 ヒカリは竜に言った。


「ひとまず、城に連れていこう」

 竜が言った。

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