そのゲームは超新星の如く
脳内プロットを激変させた結果、一から書き直すことにしました。
BGM MYTH&ROIDさん「L.L.L.」
「なんじゃぁこりゃぁああああ!?」
電脳内の宿屋に置かれた立ち鏡に映る自分の姿を見た俺が張り裂けんばかりの大声を上げる。
立ち鏡には頭に人外の被り物を装着したかのようなアバターが映っていた。
☆
時は数時間ほどにさかのぼる。
今日は入学式、そして進学式があった。
だが、恒例のご高説を数千倍に希釈した校長と担任の話はつまらないの一言に尽きる。
脳内でリズムゲーをしてそれを耐えること2,3時間。
その時はやってきた。
「~つまり、上級生として矜持を持てということだ」
担任が話し終わり、教室の外に出る。
その数秒後、教室の中がうるさくなった。
昼で帰れるという狂騒の中、一人の友達が俺の方に近づいてきた。
「昴、俺たち今から昼めし食いに行くんだけど一緒に行かないか?」
「悪い。今日は予定があるんだ」
「そうか。今度また一緒に食いに行こう」
「応」
前のドアから集団で飯食いに行った友人たちを見送り、俺は後ろのドアから外に出る。
「!!」
「あっ。すんません」
出た瞬間に人にぶつかりそうになった。
「いえ、私も前を見ていなかったので」
「マジですんません」
「いえいえ、では」
ぶつかりそうになった人はお淑やかな笑顔を浮かべながら去っていく。
すっげぇお嬢様然とした人だな。誰だろう?
まぁ、どうでもいいか。
☆
都内の電車に乗り、少し歩いて、とあるビルの前に立つ。
「何度見ても頭がおかしいよなぁ」
目の前のビルは超高層ビル。
なんとこのビル丸々ゲームショップである。
意味が分からない。
「行くか」
ビルの中に入り、近くのエレベーターに乗る。
「B6と」
エレベーターのドアが閉まり、下に降りていく浮遊感を感じる。
チーンと音がする。
入ってきた方とは逆のドアが開き、俺はその先に進む。
そこには長机といすだけが置いてある。
俺は長机をのぞき込む。
長机にはモニターが埋め込まれている。
『ドナタデスカ?』
「星宮 昴」
キュイーンという音と共に、モニターから光があふれ出る。
その光は長机の少し上で像を作り出す。ARという奴だ。
作り出された像は東南アジア系の爺さんだ。
この爺さんがこのビルの保有者で、このゲームショップの店長である。
『誰だ?』
「爺さん。俺だ」
『なんだ、星宮のクソガキか』
「クソガキって・・・まぁいいや。予約してたものを取りに来たんだが・・・どこにあるんだ?」
『今送る』
長机の奥から旧世代のアンドロイドが何かを抱え、こちらにやってくる。
毎回毎回めんどくさいシステムを導入している。設備費がやばそうだ。
そのアンドロイドから包みを受け取る。
ここだけ切り取ればアウトレイジっぽいが、この堤の中身はただのゲームカセットだ。
『あの縛りプレイはもう終わったのか?』
「ちゃんと木の棒だけで魔王を倒したぞ?」
『そんなバカみたいな縛りプレイをするのはお前だけだろうな』
「ほかの友達にも言われた」
『次はそのゲームに挑むというわけか』
「そういうこと」
この包みに入っているのは現在、世界一の神ゲーと呼ばれるゲームのカセットだ。
その人気ぶりからとある界隈からは「超新星」と呼ばれるほどだ。
『俺もそれをやっているが、面白いぞ』
「俺も今から楽しみだよ」
『そうか。そろそろ会議だ。切るぞ』
一秒もしないうちにARが消える。
その後俺は、包みをもって超高層ビルから出るのであった。
一年生の夏休みから二年生の入学式に変更。
理由:なんかこっちの方がしっくりくる。
B6階にこんな面倒なものがある理由は至極簡単。店長曰く、『男のロマン』
この世界ではAIが席巻している。だが、AIをうまく使えない人とうまく使える人との差が酷いことになっており、一種の社会問題となっている。
ゲーマーに関しては、全世界でアマチュア大会が開催され、そこの優勝者がプロゲーマーになるケースが多い。そんなことが起きているので、競争率と実力差がえぐいことになっている。
さらに、ゲーマー人口が爆発的に増えた結果、プロゲーマー団体が乱立する結果となっている。
需要と供給が乱高下する状態となっている。