第一審 マジカルドロップ
マジカル
「魔王ガリレオ・ガリレイは死んだ。これより王道帝国ギャクサイの魔王はこの僕、マジカルドロップだ‼」
「マジドロ兄さん……」
「ガリレイ……」
「魔王様……」
皆複雑な想いを引きずったまま、新体制は進んで行く。ガリレイは死んだ。死者は蘇生しない。遊戯王ではないのだから。
「ああ、良い、気持ち良いぞレイ」
「ん、んん、くふう」
レイはマジカルドロップのドロップをマジカルしていた。
「なあレイ。どうだ? 新体制は」
「ええ、貴男は出来る男ね。カリスマ性があるし、堂々としていて何より強い。殺すことに一切の躊躇がない、根っからの殺戮者、最強といっても過言ではない実力者。でも」
「ああ。お前はガリレイが好きだったんだろ?」
「ええ、まあ、そうね。彼は弱いしスケベだけど、それでもユーモラスで優しかった。貴男みたいに簡単に命を奪ったりしない、というか出来ないタイプね。優しすぎるというより甘すぎる男だったわ」
「高評価だな」
「まあ絶対値は貴男と変わらないわ。私の推しはガリレイだけど、貴男が彼より下とも思わない。王の器、覇気という点では貴男を推す人もこの国には実際多いしね」
「ガリレイを殺したのは早計だったかもな」
「それはそうだと思うけど、貴男に『殺さない』という選択肢はないでしょ、『殺す』という選択肢が湧いた時点で」
「まあそりゃあそうだ。シリアルキラーっつうんだっけ。ヤバいよな俺」
「ええ、ヤバいはヤバいわ。あともう一つ」
レイは指を一本立てる。
「彼のが大きい」
マジカルドロップは噴き出す。
「はは、殺して良かったかな、それなら」
「ええ、それはそうね」
レイは退室し、マジカルドロップは自身のドロップをマジカルしていた。
ドロップ