自宅に帰ってきちゃいました。
少しだけ背後のご注意を。
15歳未満じゃないですよね…?
振り返れば実家には一泊二日しか滞在しなかったが往来にそれぞれ一日時間を取られたので約一週間ぶりの帰宅となった。グレッグとは実家での事を話し合い少しでも距離が近づくことができて良かったねと言い合っていた。
夕方前に自宅に戻ったイヴは、誰もいない自宅の中に入った。
自分がいなくてもイーサンは綺麗に部屋を整えてくれていたのか、行くときと何も替わってなかった。
荷ほどきをする前にソファーに座る。
背もたれに首を乗せると反らすように伸ばした。結構気持ちがいい。
「ぐぇ~。首が伸びるぅ~」
イヴは気持ちが良くて思わず声がでた。
自宅だもの気が緩むのは仕方がないと思う。
一通り体を伸ばした後、自分の部屋に戻って荷ほどきを始めた。
再びリビングに戻り夕食をどうしようかと悩んでいると足音と共に
「イヴ?帰ってきたの?」
イーサンの声が玄関から聞こえてきた。
イヴはゆっくり玄関へ向かっていくと
「うん。おかえり、イーサン」
と言って出迎えた。
イーサンは余程嬉しかったのかケモ耳をピコンと出した後イヴに駆け寄り抱きしめた。
「イヴだ!久しぶりのイヴだよ。」
頭と腰をギュッと抱きしめられたイヴは、少し戸惑いながらも抱きしめ返した。
「ただいまです。」
急に照れくさくなったイヴはイーサンの胸元に顔を埋めると、イーサンはイヴのつむじにキスをした。
「えっ何?俺と離れてて寂しかったの?」
嬉しそうに聞いてくるが
「別に…。そんなんじゃない」
とイヴはぶっきらぼうに答えた。
「それよりも、夜ご飯どうする?私まだ食べてない」
その言葉を聞いたイーサンはイヴをゆっくり離すと
「じゃあ、何か美味しいものを食べに行こう!ちょっと着替えてくるから待ってて!」
イーサンは自分の部屋に戻るとすぐに私服に着替えてきた。
「さあ行こう!」
嬉しそうにイヴの手を引きながら夜の街へ出かけた。
久しぶりのイーサンとの食事だったので2人でよく行く定食屋に向かった。
少しのアルコールとお互いの好きなメニューを注文した後、イーサンはイヴに向かって
「その表情なら、ご実家では有意義に過ごせたんだね?」
と優しく話しかけてくれる。
「うん。実家との誤解は無くなったと思う。でもだからといって急に仲良し家族にはなれないけどね」
「そうだよね。長年の軋轢は時間をかけて溶かしていくしかないよね」
実家での出来事の話をしていると注文していた物が続々と届いてくる。
「とりあえず食べよっか?」
イーサンがアルコールを手に持つと
「うん。」
イヴも同じように持ち、二人で小さく乾杯をした。
美味しく夕食を頂いた二人はそのまま自宅に戻った。
イヴはイーサンの為に用意したお土産を自分の部屋から持ってくる。
シャワーを浴びてソファーに寛ぎ飲み足りなかったのかアルコールを準備していた。
「イヴも少し飲む?」
イーサンの誘いにうんと頷くと
「これ、ちょうど良かった地元のお酒なんだ」
と言いながらワインとウイスキーを持ってきた。
「おお、これ美味しいやつだよね」
イーサンはウイスキーのボトルを手に取ると嬉しそうに眺めた。
「うん。私はあまり蒸留酒は得意じゃないんだけどね。グレッグがイーサンが好きそうだよって言って持たせてくれたのよ」
「ワインは自分のお土産でもある」
とイヴは嬉しそうにワインを抱きしめた。
「じゃあ、早速飲もうか!」
再びグラスを鳴らすとグイっと飲んだ。
実家でも飲んだこのワインは本当に美味しい。
嬉しさが体に出ているらしくイヴのケモ耳が揺れていた。
イーサンはそれを見るとそっとイヴの耳に触れる
「そのワイン、そんなに美味しいの?」
一口頂戴と言いながらイブの手を握ってワインの味見をした。
「どう?」
イヴは嬉しそうに聞くと
「う~ん。甘さが口の中に広がった後ほのかに酸味を感じるね。」
そっそんな難しい味だったかな?
と思いながらイヴももう一度ワインに口を付ける
「うっうん。ソウデスネ」
美味しいのは分かるがイーサンの感想には追いつけなかった。
そんな姿を見ながらイーサンは
「まるでイヴみたいな味のワインだね」
と言うと少し大人のキスをした。
イヴも断る理由もないので受け入れると、イーサンは離れると少し嬉しそうにペロリと自分の唇を舐める。
「うん、イヴの味だね」
と微笑みながら言った。
普段ならそんな言葉を投げかけられると相手の女性は頬を赤らめて胸をときめかすのだが
「ッス」
イヴも似たような事をするタイプなのでなんだか恥ずかしかった。
される側になるとこんなに見悶えるものなんだと学んだのだった。
「ッスって!何それ?」
イーサンはイヴの反応が面白かったのか笑い始めた。
イヴは言葉を選びながら
「すごく好かれているんだな~って思うんだけど、なんていうのかな?う~ん」
悩みすぎてケモ耳がヘニョリとなる。
「例えば、本当に例えばなんだけど、イーサンの今のヤツをタッカー隊長とか宰相様にされたのをイメージしてみて?」
イヴの言葉にイーサンは素直に想像すると
「うへぇ~。なんか、なんでその2人なの?」
イーサンは呆れながら聞いてきた。
「似たようなタイプなのかなって?私もどちらかと言えばイーサン側って言うか」
モゾモゾと口ごもるイヴに
「それでも、イヴには俺に甘えて欲しいの」
と言って肩を抱き寄せた。
あー恥ずかしい。でも、嬉しい。
いつの間にか素直に甘えられる自分に驚きながらもそのままイーサンにもたれかかった。
しばらく抱きしめあっていた2人だったが、イヴが何かを思い出したようにイーサンを見た。
「あっそうそう!これ懐かしくて買っちゃたんだ!」
イヴはポケットから二本の組紐を取り出した。
「イーサンが学生時代?の時ってこういうの流行った?」
イーサンに組紐を見せると
「ん?何これ?俺は初めて見るかも」
その言葉にイヴは嬉しくなったのかフフンと言うと
「これは、私が学生の時に流行った組紐なのよね~。ちょっとしたおまじないがかかってて恋人同士が付けあうと魔力でタトゥーみたいになるのよ。」
学生時代の時は色んな色の組紐を身に着けたよな〜。
とイヴは思い出しながらそれを見ていた。
すると、イーサンは以外にも
「えっでも学生だったら別れたりすることもあるんじゃないの?」
イーサン自身は学生の時は婚約者がいたのでもし流行ったとしても一生それをつけることになっていたなと考えた。しかし、どうやら流行っていたのは貴族階級ではないようだった。
「そんなの、お互いの魔力を送らなければすぐに消えちゃうよ?多分1日ぐらいしか持たないと思う。」
「へぇ~そうなんだ。」
イーサンは物珍しそうにその組紐をイヴから渡してもらってシゲシゲと確認する。
「あ~本当だ、軽く魔法陣が組み込まれているね。これだったら王宮につけてもバレないか」
「えっ?近衛で禁止されているんだったら無理にとは言わないよ?」
イヴが慌ててイーサンから組紐を取り上げようとするが自分の手の届かない場所まで上げられた。
そして、伸ばしているイヴの左手首に自分の色の組紐を巻くとあっという間に魔力を込める。
「あっもう!」
止めるつもりが逆に付けられてしまったイヴは困りながらも嬉しそうにその手首を撫でる。
その様子をみていたイーサンが自分の左手首とイヴの色の組紐を差し出すと。
「早く、俺にも付けて?」
とおねだりをした。
「軽い魔道具だけど、自分からは取れないから注意されたら教えてね」
とイーサンに確認すると、手首に組紐を巻き魔力を流した。
自分の手首を確認しながら嬉しそうにイヴの方を見る。
「ありがとう!なんだか夫婦になったみたいだね」
とイヴの手首を掴みながら自分の手首も再度みた。
「そうそう、同じ模様なのよ。すごいでしょ?」
「へぇ〜。模様に意味とかあるの?」
イーサンの質問にイヴは目を泳がせながら
「あったような?気がするけど、忘れちゃった」
と誤魔化し始めたので、後で調べようとイーサンは思った。
最後までお読みいただきありがとうございました。