救いとは何を指すのか
台風が近々やってくるが故に吹き荒れる風の中、とある少年が……中学、だろうか。ともかく学校の屋上のフェンスの上に外に足を出し座っていた。
「……ここからなら、行けるかな」
天国に、とその少年は呟いた。この少年は何度も飛び降り自殺を行い、そしてその全てが失敗に終わっていた。
「まぁ、行けなくてももっと高い所を探せばいいか」
少年は死ねずともいつでも死ぬチャンスはあるということを知っていた。故にフェンスの外へと降り立ち、まさに今、その身を――
「ダメだよ!死んだりしたら!」
投げだそうとした。だがそれは白髪の少年とも少女とも言える中性的な顔の者によって止められる。
だがその者は今まさに死のうとした少年とは違い、学生服も着ていなければ学校で見たこともなかった。
少年の知り合いが止めるならばまだ分かる。だが何故知らない者に止められねばならないのか、少年には分からなかった。
「なんで止めるの?君には関係ないでしょ」
「そんなことない!貴方は私を知らないだろうけど、私は貴方を知っている。そして私は貴方に生きて欲しいの!」
少年に対する返答がソプラノの声で返された。おそらく少年を止めたのは少女なのだろう。
「そう。君の言う通り僕は君を知らない。だから君の願いを叶える必要なんて無いよね」
「っ……!お願い、死なないで!」
「そんな奴の言葉は聞くなよ」
少年の上から、そんな声が降ってきた。そこは空中だから誰も居るはずがないというのに。
だから少年は上を見上げる。
そこには漆黒の翼を生やした少年が翼をはためかせながら飛んでいた。
「誰だ!」
明らかに人間ではない存在を前にし、少年は声を張り上げる。
「俺?ん~俺は悪魔ってことで。人間を殺すのと人間が自分から死んでいくのを見るのがだ~いすき。よろしくな?すぐにお別れになるだろうけど」
悪魔だと名乗った少年はおちゃらけた様子でそう宣った。
「悪……魔?」
「そ。で、お前は死ぬの?死なないの?生きててもイイコトなんて何もねぇと思うけど」
「っ!……死ぬよ」
「じゃあなんでさっさと飛び降りねぇの?今なら、俺の目の前で飛び降りてくれるオレーに絶対に死なせてあげる。もう病院で絶望しなくていいんだぜぇ?」
悪魔と名乗った少年の言葉を聞いて、絶対に死ぬことが出来るのなら、と少年が足を1歩踏み出そうとする。
「駄目だよ!貴方が死ねばたくさんの人が悲しむよ!」
だがそれは少女にフェンスの内側から捕まれたことによって失敗に終わる。
「邪魔をしないでよ!」
「そうだ。何故邪魔をする?お前も俺らと似たような存在だってのに」
「似たような存在……?」
「あぁ、そこについては気にすんな。で、どうする?そいつは一応フェンスの内側。全力で抵抗すれば落ちれるぜ」
少年は一度に理解不能なことが起こりすぎて、まともに物を考えることが出来なくなっていた。
だから少年は
屋上に登ってきた当初の目的を果たすべく、少女の腕を振りほどき、
そのまま地に落ちていった。
下ではグシャリ、と何かが潰れる音がした。
「おっ、死んだみてぇだな。んじゃ、あいつの魂貰ってこ~。つかお前なんで邪魔したんだよ」
悪魔と名乗った少年が下の方を見てそう言った後、少女に目を向けて心底不思議そうに問うた。
その声を聞いて、少年が下に落ちてしまったことに気付き膝を付いて俯いていた少女が顔をあげる。
「なんでって、そりゃあ彼に死なれたらたくさんの人の子が悲しむからだよ。私たちはより多くの人間の幸せを望むからね」
少女の顔にはもう少年を止めようとしていた時のような必死の表情はなく、満面の笑みを浮かべていた。
「あぁ、そういうことかよ。まっ、そうでもなけりゃ人間の幸せを望む天使たるお前が、絶対に幸せになれる道を邪魔する訳ねぇもんな」
「もちろん。それにしても、人間って愚かだよね。死は終わりで、その先にあるのは悲しみだけだと思ってるんだから」
『生きるより死ぬ方が楽だって子も居るのにね』
悪魔と名乗った少年に、天使と呼ばれた少女は、
満面の笑みであるというのに、人間を愚かだなんだと言っているのに慈しむような顔をしているのに、それでも、
人間になんの興味も示していないように感じさせる声で、そう言い放った。
「所詮、人間なんて何も理解できていない愚かな存在に過ぎないんだよ。だから私たち天使や、悪魔たちが人間を幸せに導くの」
「まぁ、天使はより多くの人間の幸せを望み、悪魔は少ない数の人間がより多くの幸せを得られることを望む、っていう違いはあるんだけどね!」
内容からして自殺推奨と思われて消される……かも??
後、途中で何を書きたかったわかんなくったからよく分からない文章があるかもしれません許してください。