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姉ちゃんのおっぱいが揉みてぇから土下座しにいく

 姉ちゃんのおっぱいが揉みたい。

 この前風呂上がりの姉ちゃんがおっぱい丸出しでソファで寝ていたのを見た。

 たゆんとスライムみたいに垂れててすげぇ柔らかそうだった。

 多分DかEくらいはあった。DかEがどのくらいなのか全く知らないけど。

 俺は別に性欲が強いわけではない。

 でも今この瞬間。中間試験2日目の夜、現国の勉強をしていた時にふと、強烈な念が俺の頭をよぎった。

 姉ちゃんのおっぱいを揉みたい。

 善は急げと言う。

 俺は自室の扉を開け放って、壁一枚隔てた隣の部屋の前に立った。

 先に断っておくが、俺と姉ちゃんの仲は良くはない。どのくらい良くはないかと言うと、会話は一ヶ月に一度あるかないか。俺が覚えている姉ちゃんと最後の会話は確か二ヶ月前、俺が独立洗面台の前に立って目の中に入った睫毛に悪戦苦闘をしていた時の姉ちゃんの一言、「どけ」。

 ドアノブに手をかける。ここでビビらない男はいない。

 でも俺姉ちゃんのおっぱい揉みてぇ。

 コンコンとちゃんとドアをノックした。返事はなかった。もう一回。コンコン。

「姉ちゃん……?」

 返事がなかったので、いないかと思って扉を開けた。姉ちゃんはいた。音楽を聴きながら勉強していた。姉ちゃんの部屋に入るのは2年ぶりだった。前とあまり変わっていなかった。

「姉ちゃん……」

 俺の声は聞こえていないみたいだ。恐る恐る姉ちゃんの肩をトントンと叩く。

「!?」

 姉ちゃんはバッと振り向いて、目を見開いた。乱暴にイヤホンを外して立ち上がる。

「姉ちゃ」

「何で入ってきてんの?」

「え」

「誰が入っていいって言った」

 姉ちゃんは俺の頬を思い切りビンタした。

「ってぇ……」

「勝手に入るなよ」

「ごめん」

「で、何の用?」

 姉ちゃんは椅子に座り直して、足を組み、俺を見上げた。

 俺はその場でおずおずと正座した。姉ちゃんは首を捻った。

 そして土下座して言った。

「姉ちゃんのおっぱい揉ませてほしい」

 シン、と部屋が静まり返る。バクバクと心臓の音がうるさい。一階で母ちゃんと父ちゃんの話し声が聞こえた。

「は?」

 と姉ちゃんが言ってから更に30秒は静寂が続いた。

 もう一度言った。

「俺、姉ちゃんのおっぱいが揉みたい」

 姉ちゃんはスンと鼻を鳴らした。

「あんた……何? ユーチューブでも撮ってんの? そういうの姉ちゃん巻き込むのやめてくれる? 迷惑だから」

「違う」

 俺はゴン、と頭を床に叩きつけた。

「何も撮ってない、カメラも仕込んでない。誰かに命令されてもいない」

「じゃあ何なの? これ。あんたそういうこと言う子じゃなかったじゃん。私達冗談言える程仲良くないし、ネタなら早く出てけ、つまんねーしキモい」

 俺は姉ちゃんを見上げてから、うつ伏せになって土下寝した。

「心の底から姉ちゃんのおっぱいが揉みてぇんです…………」

 俺は床に向かって叫んだ。

「姉ちゃんのおっぱいが揉みてぇ! エロい気持ち一切なし! ただ風呂上がりの姉ちゃんの丸出しおっぱいをひと目見たあの時からすげぇ揉みてぇってずっと思ってたんです! マジでエロなし! 単純に興味なんだよ! 姉ちゃんおっぱい丸出しで仰向けになるとおっぱいが溢れるみたいに垂れるだろ!? それを横から挟んで持ち上げてみてぇんだ下心マジでなし! ドンキに置いてある低反発枕とかつい触りたくなるだろ!? マジであんな感じなんだよだから、あっ!!!!」

 姉ちゃんは俺の頭を思い切り踏みつけた。軽く踏むとかじゃない。アルミ缶を潰すような勢いで踏み潰した。そして俺の頭を蹴り飛ばす。鼻血が床に勢いよく飛び散った。

「おい」

 姉ちゃんは転がった俺に歩み寄り、俺の頭の上に足を置いてぐぐ……と体重をかけた。 「出てけ。次は警察を呼ぶ。その次は命はないものと思え」

「……はい…………………」 

 俺はもそもそと立ち上がって、フラつきながらドアまで歩いた。

「ごめん、姉ちゃん」

「二度と入るんじゃねーぞ」

「うん、でも最後に一つだけ、聞いていいかな」

「何?」

「姉ちゃんのおっぱいってこんにゃくでも再現できると思う?」

 ビィイイイインとドアにハサミが突き刺さる。あと数ミリで俺の首に刺さっていた。

 俺は逃げ出すように自分の部屋へと帰った。

「ダメだった…………」

 ベッドの寝っ転がって天井を眺める。

「何でダメだったんだ…………?」

 俺は姉ちゃんの部屋を隔てる壁を見る。

「どうやったら姉ちゃんのおっぱいが揉めるんだ……?」

 どうしても姉ちゃんのおっぱいが揉みてぇ。

 でも俺だけの知恵じゃ姉ちゃんのおっぱいを揉む作戦は思いつかねぇ。

 誰かに知恵を借りるしかないか……。

 できれば年頃の女の知恵が必要か……。

 でも俺に年頃の女の知り合いなんて……。

 喋ったことある女なんて、保育園の時おなじ組だった近所のみゆちゃんくらい。その時から喋ってねぇから、10年ちょいみゆちゃんと話してないわけか……。

 いや、背に腹は変えられない。

 姉ちゃんのおっぱいが揉みたい。

 姉ちゃんのおっぱいを揉むために、ずっと喋ってねぇ幼なじみにどうやったら姉ちゃんのおっぱいが揉めるか聞いてみるか……。


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