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世界滅亡の因子たち  作者: じゃったん
第1章 霧雨レイン
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第5話 対 地球 契約概要②

 1.契約者



 今回の件の契約相手は地球。


 ・プロフィール

 人類など多くの生命体が生存する天体である。太陽系にある惑星の1つ。太陽から3番目に近く、表面に水、空気中に酸素を大量に蓄え、多様な生物が生存することを特徴とする惑星である。(Wikipedia参照)


 《次ページ》


 2.契約内容


 地球との対話の結果、「世界を滅亡させること」に意見は帰結した。これは、我が社のプロミス規約第10条に則って決定されたものとする。


 ・詳細

 地球の潜在的エネルギーを利用して世界を滅亡させる。ここでいう世界の定義は、我々が今生息している地球のみならず、全宇宙も視野に入れた世界そのものとする。その他エネルギー原理、実験過程については別紙参照。


 《次ページ》


 3.契約達成に伴う準備


 我々プロミス社の科学専門社員の全総力を挙げて、このプロミス社史上最大の契約を果たすことに全うする。別紙の実験過程より、ここでの詳細の記載を省略する。



  書類はここで終わっていた。


 「世界を……滅亡……!?」


  サニは絶句した。いきなりのことで、頭の整理が追いつかない。暫くして、サニは僅かな冷静を取り戻し、口を震わせながらレインに聞く。


 「プロミス社って、こんなこと、してるの……?」


 「……ああ。そうみたいだな」


  レインは依然として、その書類から目を離さない。


 「これ、本当に、……! 事実だったら大問題……!!いやもう、それ所じゃないよ!?」


  サニはまたもや立ち上がってしまった。冷静を取り戻した気でいて、本当はまだ脳は混乱していた。いや、おそらくどれ程時間を置いたとしても、この書類に書かれていることが真実だとすれば、世界が滅亡する瞬間までずっと、パニックに陥っていることだろう。

  レインは指でトントンと机を叩き、サニに椅子に座るように命じた。サニはやや息を切らしながらも、ゆっくりと腰をかけなおす。


 「順を追って話そう」


  レインはやっと、その驚天動地な書類から目を逸らし、サニに事の顛末を教える気になった。


 「まず、俺はこのプロミス社を調べて欲しいという依頼を、クロノス社から受けた。クロノス社は有名な日本の貿易株式会社。だが、何故プロミス社という大手科学会社を気にするのか、最初は分からなかった。不正な物を外国から輸入しているのかとか思ったけど、まあ本当はこの計画の事だったんだよね……。ちなみにこの書類は、本社から盗ってきたものじゃなくてな、下請け会社の社長室辺りを漁ってたら出てきたもんでびっくりさ。おそらく、そこの社長が、何かしらプロミス社の会議に出た時に貰った書類だと思うんだがね」


  レインは、凶悪犯罪者かつ、裏社会に随分注目されていて、どんな仕事もこなすことを信頼して、彼に無茶な依頼をする企業もあるくらいだった。ただ、今回は今までの依頼の比じゃない。


 「……」


  部屋を静寂が包む。重大な事実を知った筈だというのに、本質は見えてこないこのもどかしさが、より彼らの恐怖を掻きたたせる。だが、その恐怖、莫大すぎるゆえに、受け入れることは出来やしない。

  それでも、やっぱりレインは落ち着いていた。口を開いて、今までの出来事を知った上で、流暢に喋り出す。


 「解明すべき謎は四つ。まず、何故クロノス社がこの計画に気づいたのか、…まあこれは本筋が解決したあとに考えるとして、次に、何故プロミス社はこの計画を立てたのか、『地球』との対話手段は何か、……そして……」


  レインは書類をひっくり返して、目次があったページを指さす。


 「4.例外的な契約であることについて、には何が書かれているのか、だ」


  サニはポカンとしていた。その男があまりにも冷静沈着に、状況を整理したことに、またも頭がついていかなかった。サニはかろうじて最後の言葉が耳に入ると、ハッとした様子で書類を見る。


 「確かに、4番のことが書かれたページが無いですね…」


 サニは知らずのうちに敬語になる。


 「だろ?……それと、これから俺らがやる仕事はもう、ただ一つ……

  『世界を救うこと』

 

  だ。分かったな」


  真っ暗な道の先に、レインによって、小さな光が灯された。彼らは、これから起きる最悪な出来事を振り切って、その光を頼りに進むことになる……。


 真実を、掴むため


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