ツシジノ11ドーコ ←
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さて、どうしたものか。
( )と別れて自宅へと帰り、渡された紙を見る。
そこには近々【シニガミコード】が開催される旨が書かれていた。
白の死神はロングスカートの下に何本もの刀を仕込ませていたから、きっと俺達は寄り道だったのだろう。
コード09ばりの完全装備、なぜあんなにも沢山の刀が用意できるのか。
むしろ白の死神がくるりとスカートを拡げただけで下手したら雑魚の奴らは殺されるだろう。
それほどまでにあの女は「漂うもの」から恐れられている。
異能力だけだったらコード01もコード02も平伏せる程の能力だとアルトは言っていた。
しかしはっきりと核心に迫る発言をアルトが言わないのは、言ったら白の死神に殺されるからだろう。
彼女にとって救いたい魂は紅と蒼だけなのだから。
「俺達は救われる価値もない」
「誰かが生き抜いたついでに助かっただけ」
「そうだよな、タケル」
丁度湯を沸かしていたのだ。
ならば、俺達を管理している死神のトップを呼ぶ事は可能だ。
いつも同じ銘柄の煙草を噴かせている紅の死神。
そいつはいつの間にか俺の部屋の一角に立っていた。
だが、珍しく煙草は消している。
これは少々話し込むパターンのやつだ。
「コード11」
「通常と異常の境界線に立つ男」
「お前は、この特殊な地位より上に行く覚悟はあるのか?」
「いや、ねぇけど」
「だって( )みてぇに変な発想もできやしないからな」
「そうか」
「模範回答だ」
コード10より上の数字は選ばれるべくして選ばれた死神。
そんな立場にたかが創造能力だけしか持たない非力な死神がなれるわけがない。
奇想天外であり、奇抜であり、異常な発想なんてできないから、今の俺はここにいる。
ゆっくりと目を閉じた。
俺はあくまで人畜無害だ。
だから俺は武器を持たないし、俺の武器は自分の意思だと断言する。
「武器を持つ事もねぇ」
「日常生活で使う物だけを創造する偽善者か」
コード01はそう言って部屋を見渡した。
先程まであったテレビも米もコンロも消え果てた。
それがコード11であるアトヤの異能力。
自分の意思を具現化する人間では不可能な能力。
アーツオブマインなのだ。