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ウョジウトトッケス

ウョジウトトッケス


「そう」

「ならば助けるのが義理?」

「跳躍するほど驚かせばいい?」


闇夜に唐突に響き渡る声。

俺達はその威圧的な雰囲気に強制的に身体を跳ね上がらせた。

そしてやっと(   )から解放されて、俺の呼吸器が肉厚なそれから解放される。


「コード05」

「コード11」

「乳を捏ね繰り合うのなら、それ相応の時・場所・場合を弁えようか」


白い七分丈の袖のワンピースを着た女は翻す。

スカートが広がり、黒髪が弧を描き、女は仰け反りこちらを見て「TPO」と楽しげに言う。

アルトは白の女に対してずっと唸り続けている。

「漂うもの」のコイツにとって、この死神は脅威どころか死しか残さない存在だ。


「黙れ、私は犬が嫌い」

「その口、裂いてやろうか?」

「最低限だけ残して」


白の女は犬を見下ろしつつ、一度だけ視線を(   )に移した。

しかし何も言わずに目線を外し、問答無用で女は書類を投げつけた。

(   )には会議で使うようなデジタル文字のA4の紙。

俺にはペットショップの宣伝のような可愛らしいフォントで書かれたメッセージカード。


「ユウヤがインクを使うのは、インクは水に溶けるから」


白の死神はそう言い切った。

そして死神らしく嗤う。


「私は自己意思なんて必要ない」

「事故に巻き込まれて死んだ時に消えたから」


白の死神の言う事はいまいちよくわからない。

けれど、彼女の言葉にはいつも任務を遂行するにあたって重要なヒントが隠されている。

だから無碍にもできないし、無意味な物にしたくない。


「私は救い出せたから良かったけれど、不幸になる事で救えるけれど」

「それはきっと私だけが幸福なのかもね」


白の死神・コード03の地位を持つアリサは悲しげに言った。

否、無表情だから本心はどうかはわからない。

けれど俺には悲しそうに見えて、聞こえた。


「余計な事は考えなくてもいい」


白の死神はそう言って持っていた白い鞄から煙管を取り出し、煙に巻かれて姿を消した。

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