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春の雨はあたたかい  作者: 登夢
10/21

中間試験

これは、オッサン目線で書いた前作「春の雨にぬれて」をヒロイン目線でリライトした裏ストーリーになっています。

【5月19日(木)~24日(火)】

5月19日(木)から24日(火)まで4日間、高校の1学期の中間試験があった。

試験は午前中で終わるので、お弁当はいらないけど、圭さんのためにお弁当を作る。試験の範囲が発表されてからは、家事の手を抜いても良いよと言われているけど、家事はきちんとする。授業はしっかり聞いているし、予習復習もしているから、前日にノートを見るだけで十分。試験中は午前中で終わるので時間あるからかえって家事ができる。でも夜は遅くまで試験の準備をした。試験の1週間前くらいからは、夜、圭さんの部屋には行っていない。これも成績を上げて、圭さんの期待に応えたいから。


【5月31日(火)】

月末、圭さんが帰宅すると、成績表を見せて中間試験の結果を報告した。圭さんは別に見せなくても良いよと言っていたけど、見てもらった。各科目、最低でも80点、100点もあったし、ほとんどの科目は90点以上とれたので、クラスで1番、学年でも3番の成績だったから。


「すごいね。僕も高校ではクラスで1番になったことなんかなかったよ」


「学校へ通わせてもらっているから、良い成績をとりたかったけど、なんとか見せられる成績でよかった」


「こんな成績がとれるから、転校も認められたんだね」


「前の学校でもこうだったの」


「大体クラスで1番だった」


「家事を全部して、この成績、いつ勉強していたの」


「大体、授業を聞いているだけで分かるから、特別な勉強はしなくても大体大丈夫」


「頭が良いんだね。両親はどんな仕事をしていたの」


「父親は高校の先生で、母親は小学校の先生」


「両親は授業をしっかり聞いていなさいとだけ言っていたので、授業は小学校から集中しています」


「進学のことだけど、希望があれば大学へ行ったら良い。貯えもあるから大丈夫だ」


「これ以上の迷惑はかけられません。親戚でもない赤の他人の圭さんに」


「でも考えてみて。こんな成績が良いのにもったいない」


「お勉強はしっかりやります。こんな境遇でもできることを見せたいから」


圭さんは私に進学を勧めるけど、それに甘えて良いのか考えてしまう。


大学に4年間行くにしても相当にお金がかかる。国公立ならまだしも私学だとアルバイトしても到底追つかない。できれば行きたいけど、赤の他人の圭さんにこれ以上に負担はかけられない。18歳の誕生日まであと2週間あまり。18歳になったら抱いてもらって、圭さんを喜ばせて上げられればそれでいい。高校を卒業したら就職して、あとはずっとこのままそばに置いてもらえれば、それで十分。でも、そのために私にできることって何?


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