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groria  作者: もやしおとこ
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1人目

プロローグ

2150年の春、世界中のゲーム会社が総力をあげ完成したVR(バーチャルリアリティ)FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)が発売された。そのタイトルをgroria(グロリア)。6対6で対戦するチーム戦だ。ただ1つだけ他のFPSとは違うのは1年に1度行われる[RRT](アールツーティー)と呼ばれる最大級の大会が開催される。そしてその優勝チームには2つの豪華景品が配布される。一つはプレイヤーそれぞれに10億円が与えられ、

残る一つは「死者の蘇生」というものだった__。


第1章 クラン


「ダダダダダダダダダ」仮想空間での戦場に銃声が鳴り響く。ここでは音や視覚はもちろん匂いや歩いている感覚、全ての五感がまるで現実世界の様に体感できる。

「室内の敵は倒した、残りは屋上のスナイパーだ。頼む!」俺は無線から流れる声を聞き、屋上のバリケードを壊し伏せている敵に標準を合わせ頭に弾丸を撃ち込む。

画面にはYOUWINの文字。

「イェーイ!!これで10連勝!!」無線から陽気な声が聞こえてくる。

「少しは静かにできないのかよ、たまたまだろ、たまたま。」

「そうは言ってもよ、兄ちゃん。2人で6人を10回連続で倒してるんだよ?実力だろ、じ、つ、り、ょ、く!」

「そうやって調子に乗るから11試合前は負けたんじゃねーか」

「うっ…それは言わないでくれよ〜」

「ハハハっ、冗談だよ冗談」

たわいもない会話を、しながら仮想世界の街へ戻る。


俺の名前は(ひかり)涼介(りょうすけ)。20歳。ゲーム上のプレイヤーネームはコウスケという名前でプレイしている。

そしてこの陽気な声の持ち主は俺の弟で(ひかり)琢磨(たくま)。18歳。プレイヤーネームはそのままでタクマにしている。


街ではゲーム内通貨を利用して武器や防具を買える装備ショップや、コスチュームを変更できたり飲食店で一息つけるデパートなどがあったり、家を購入できたりもする、とても自由度の高いものとなっている。

そして街の中心にある募集チラシを見てタクマがため息をつく。

「はぁ〜。兄ちゃん〜、クランの入隊希望者まだ1人も来てないじゃん。このままじゃRRTでれないよ。」

「そんなこと言われても希望者がいないんじゃどうしようもないよ」

「もういっそ2人ででればいーじゃん!!」

「お前もわかってると思うけど大会の参加ルールは人数は6人いないと受付できないし、なにより2人で勝てるほどこのゲームは甘くないよ」

タクマが顔を膨らましムスッとした表情になる。

「じゃあどうすんのさー、もう大会まで半年しかないんだよ?受付は残り3カ月しかないんだよ!」

「そうはいってもなぁ…」

渋る俺にタクマが真剣な眼差しで見つめる

「母さんと父さんはどうするさ。」

「優勝景品の死者の蘇生…か。前回の大会の優勝者は賞金目的で死者の蘇生に関しては適当に歴史上の人物とかを答えてたからあれはただのデマだとか運営からの差し金だとか言われてるじゃねーか。」

そう、おれらは一昨年に母と父が死去している。交通事故で、相手の轢き逃げ。そして犯人は逃亡し、未だ見つかっていない。居場所のなくなったおれらを祖父が引き取ってくれている。

「いくらじいちゃんがお金持ちっていってもそれにいい大人が頼っちゃいけないし、もし可能性があるなら母さん達を蘇させるって言ったのは兄ちゃんじゃん」

「わーってるよ。ちゃんと大会にはでるし少しでも可能性があるなら母さん達を蘇生させて犯人をとっつかまえてやるよ!」

少しタクマの口元が歪み笑顔を戻す。


「あのー。お話のところすいません。」

背丈の高いスーツ姿で眼鏡がよく似合う男が声をかけてくる。

「クラン募集されているコウスケ様ですよね?入隊希望者のノブと申します。」

二人の顔に笑みがこぼれる。

「「とりあえずお茶でも!!」」

有無を言わさず近くの喫茶店にノブと名乗る男を連れていく。

「クランの経験は?得意の武器は?第一回RRTに出場とかはしました?レベルは?年は?@☆$%〒^7+…」

よほど入隊希望が嬉しかったのかタクマが感情をあらわにする。

「こら、ノブさんが困ってるだろうが。すいません。こんなやつで」

「いえいえ、気にしていませんよ。質問を返させていただきますと、クランの経験はございません。得意の武器は剣です。このゲームは半年前に始めたのでレベルもあまり高くはないですし大会にもでたことはないですね」

「そうなんですか。FPSなのに剣とは珍しいですね」

「おかしな話、銃よりしっくりくるんですよね、あ、でも最低限ハンドガンぐらいは使えるので迷惑でなければ入隊したいのですが。」

そういってにっこり笑いかけてくる。

「こちらとしても入隊希望者はとても嬉しいので大丈夫ですよ、あと最後に質問なのですが、なぜうちのクランに入ろうと思ったのですか?」

するとさきほどの笑い顔がなくなり

「妻を蘇生するためです。」

その声には嘘偽りなどないとても力強く、また、怒りの混じったよなトーンでもあった。

「すいません、あの、お二人の会話が聞こえてしまって、事情が似ているなとおもってですね…それで、その…」

すると目の前の二人はニッコリと笑い

「「ようこそ我がクランへ!」」

ノブは笑顔を返し

「お願いします!」

テーブルには冷めたお茶だけが残り、外をでると桜の花びらが宙を舞っていた。






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