いつもの失敗
「うわー、小テストやらかした〜」
そう言って柚原 麻里のこと私は講義が終わった瞬間、机に華麗にダイブした。
腰まではないけど、そこそこ長い髪がその勢いでボサボサになったことは気にしない。
「まり〜またやらかしたの?」
背後から声が聞こえて起きると、そこには親友の野坂 楓ちゃんがいた。楓ちゃんとは高校からの親友だ。肩ぐらいまでのふわふわとした髪で、私より身長が低いからお人形さんに見える。雰囲気もゆるふわで可愛い。
「そうなんだよ...やっぱり私、哲学とか向いてない!」
「えー、私達の学科だったら結構必要じゃん」
私が通っている学校は私の家から遠い慧咲大学文学部心理学科に通っている。私達はそこの一回生だ。家の近くには偏差値が高い大学の一校しかなくて、偏差値的によかったこの大学に入学した。特別に何かしたいわけではなかった。まあ、就職の時は頑張るよ!?
「だって、哲学とか意味不明じゃん...考えすぎて頭がパンクしそうだよ...」
「そうかな??私はならないけど?まりちゃん勉強した〜?」
「ぐっ...!今の言葉でHPがゼロに...」
「ならない〜てか、まりちゃんヤバいよ?これ必修だから単位を落としちゃダメだよ?」
「うん...分かっている...」
まあ、いつも楓ちゃんとこんな会話ばかりしてのんびり過ごしている。私は結構気に入ってる。人間のんびりしたいものだ。
「あれ?まりちゃん、見崎くんの小テストの結果聞いた?」
「見崎?あいつは....」
「お前とは違って俺はちゃんと点数取っているし」
私が答えようとしたとき、いつの間にか横に見崎 櫂がいた。こいつは、大学入ってすぐできた友達である。身長は男子の平均より少し高めで、髪は耳に少しかかるかかからない程度。まあ、スポーツやっていてもおかしくない感じ。一部女子にはモテている。なぜだ、性格は散々だよ?あいつ。
「なんで、あんたいるのよ!?いつからいたの?」
「今通りかかっただけだ。誰かさんがこの世の終わりみたいな顔していたから、からかいに来たんだよ」
「うわー、サイテー、さっさと消えて」
私睨みつけながら言ったが、本人は気にすることなく私を見てニヤニヤし始めた。本当なんなのコイツ。こういう性格が残念男子の象徴かな。
「お前50点中何点だったんだよ?」
「おお〜さすが見崎くん。私があえて聞かなかったところ聞いてきた〜」
「楓ちゃん...感心しないでよ...言いたくないし」
「なんだよ、お前この俺に言えないぐらいの点数かよ...ははっ!!ちょっと笑えてくる!」
「はああ!?!?なんで笑っているのよ!?別に言えるし.......15点だし....」
「それヤバいって!俺は40点だし!まあ柚原らしいわ」
そう言って盛大に笑い始めた。コイツに殺意芽生えたぞ。
「まあまあ、今度一緒に頑張ればいいからね?まりちゃん」
「でも、楓ちゃん頭いいじゃん...今回の小テスト満点でしょ?」
「うん〜なんか取れた〜」
「はあ......」
私は盛大なため息をついてまた机にダイブした。
「そういえば柚原、20点未満の者は今週の土曜日11時に学校来いって先生が言っていたぞ」
「ええええ!?!?なんで!!今まで一度もなかったじゃん」
「試験が近いからじゃねーの?まあ、頑張れー」
そう言って見崎はさっさと教室から出て行ってしまった。
「うわ....せっかくの休日が潰れた...グッバイ睡眠時間...」
「まあまあ〜たぶん補習受けて終了だと思うよ」
「補習か...すぐ終わるといいな...」
哲学が今日の最後の講義だったため、机の上に出していたノートなどをしまって憂鬱な気分のまま下校した。