銀髪執事はセバスチャン
一人称は慣れないのでうまく進みません。
1日目 ~アナタダレデスカ~
先ずは状況を整理しよう。
そうだ。まずは聞かねば始まらない。だから俺は目の前の銀髪オールバックの老紳士に聞いてみた。
「アナタダレデスカ…」
…あれ?なんだろう、この違和感。なんか普段と違うような?ちょっと甲高いというか、子供っぽいというか…。それに声が微妙にたどたどしい。これは一体?
俺が自分自身の声と違和感に戸惑っていると、老紳士が深々と一礼した。
「これは失礼しました。私、はデモンシュトリーム家の執事を務めさせていただきます、セバスチャン、と申すものです」
執事! そしてセバスチャン! なんというありきたりな! …いや、もはや突っ込む人間の方が少ないか。
…まて、いや、ちょっと待て! ありえないだろ、やはり。執事ってなんだ、なっなぜそんなものがここに? 我が家はそこまで金持ちじゃないよ!?
「失礼ならが進言したします。ひとまず棺桶の中に入って休まれてはいかがかと」
棺桶に入って休む…つまり死ねと!
「バ、馬鹿ナ! 俺ハアナタノ右腕ダッタハズ!」
「いえ、私はあなた様の右腕ではございません。どうやら相当に混乱しているご様子ですね。どうやらご主人様は今、意識が不鮮明な様子。おそらく儀式が不十分だったためでしょう。」
なんか真面目に解された。ボケが滑ってちょっとへこむ。というか再びちょっと待てオジサン。俺を抱きあげて本気で棺桶に入れようとしてないか!
何故棺桶に! 俺はさっきまで病気で死にかけて心拍数も少なくなって、駄目になりつつあって、もはやこれまでと皆に別れを告げたばかりなんだぞ!その俺がなぜ病室から棺桶に…あれ? よく考えたら特に矛盾はない気がしてきた。
いやいや、やっぱりおかしいだろ!普通はちゃんと息も心臓も止まってから棺桶に…あれれ? 息はしてるのに心臓が止まってる? あ、やっぱだめかも。混乱してるうちになんだか意識が白くなり始めた。これは酸欠の症状か。やっぱり死ぬのか。
「…やはり魔力が欠乏していましたか」
え? 魔力? 欠乏してるのは酸素じゃ…そんなことを思いつつ、俺の意識はさらに薄れてゆく。
「今はお休みください、ツァフハー様。目が覚めたときにすべてお話しましょう」
セバスチャンが語る声がどことなく辛そうだ。
「或いは…目が覚めない方がよいのかもしれません。ヴァンパイアの王族である、あなたは」
ヴァンパイアの…何?




