占星のエレメンティア その2
もう一話書き溜めているので明日には投稿したいなと。そこからはゆっくり行きます。
少年――名前を佐倉紅牙――は冷や汗を掻いていた。
場所はとあるショッピングモールのステージ。今日、ここでは有名なジェネラル(エレメンティアのプレイヤーのことをジェネラルと呼ぶ)を呼んで、ちょっとした対戦会とイベントが開かれていた。
問題は、紅牙がこのステージに立っていて、これからそのジェネラルと勝負することになっていることだ。初めは自分のパートナーとのちょっとした売り言葉と買い言葉だった。クッキーのお代わりが欲しい彼女と、新しいパックが欲しい紅牙は、今回のイベントの最初の一戦の勝者に賭けて勝った方の欲しいものを買うということにしたのだ。
しかし、イベントの最初の勝負のチャレンジャーに上空で飛び回っていた彼女が当てられ、同時に紅牙も引っ張り出されてしまったのだ。
「でも、コーガだって、あの人と戦ってみたいって言ってたじゃん。最初になるか後になるかの違いだよ? そんなことよりも早く私は戦いたい。ハリィ、ハリィ!」
そう言って、紅牙を急かすのは、桜色の妖精の少女だ。紅色の髪をサイドテールに結び、半透明の羽を持つ、桜色の服とセスタスが印象的な少女だ。今は力を開放して人間大の姿になっているが、普段は手のひら大の大きさなのである。
そんな彼女の様子に、紅牙はため息をつきながらも言葉を返す。
「……ったく、相変わらずリューカはバトルジャンキーだな。すみません、花薗さん。うちのリューカが迷惑をかけます」
その言葉に、目の前にいた花薗さんと呼ばれたジェネラルの女性は微笑みながら答えた。
「いえいえ、貴方たちを見ていると何だか微笑ましいわ。私もつい嬉しくなっちゃう。……いい勝負になるといいわね」
「善処します」
「勝つよ、絶対」
そんな正反対に近い言葉を言ったのとほぼ同時に司会の男性が声を張り上げた。
「さあ! 最初のチャレンジャーは佐倉紅牙君だーー! 対するは我らがジェネラル、黄色デッキの使い手、花薗樹プロ! さあ、二人はどんな勝負を繰り広げるのか! みんな、勝負の合図は知っているな? 分からない子は周りの人と一緒に言ってみよう!」
周りから歓声が挙がる。この場所にいる全員がこの勝負を楽しみにしていることは明らかだった。
「さあ行くぞ、エレメントインフルーエンス!」
その合言葉と共に二人のジェネラルは自分のデッキを腰の位置にセットする。そして、観客と共に合言葉の続きを叫んだ。
「「ジェネラルバトル、スタート!」」