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第九章 人工衛星

 ――突然、放電音がピタリと鳴り止んで、敷地が静寂に包まれると、神崎は少しためらいながらゆっくりと目を開いて顔を上げた。

「あれっ?」

「どうしたっすか?」

 田町が身を伏せながら片目を開けて神崎に尋ねる。

「何も無いんだよ」

「あれっ? ほんとだ! 何も無いっすね!」

 みんなが顔を上げて辺りを見回すと、ヘリコプターと人の姿が跡形も無く消えていた。

 敷地は青々としたベントグリーンの芝生に覆われ平然と静まり返っている。

「嘘、冗談でしょう! 何なのこれ?」

「ここは無線発電所なんだよ、だから、ヘリコプターと人はマイクロ波で全部蒸発したんだ」

「えっ、そうなの、じゃあ、この大きなアンテナが例のマイクロ波受電システムなのね」

 相川は振り向いて、敷地の中央にそびえ立つ巨大なマイクロ波受電アンテナを見上げた。

「北堀さんは産業スパイだったんですね」

「ああ、そうみたいやな、北堀が産業スパイやったなんて、夢にも思わんかったわ」

「そうか、彼女はこの敷地が無線発電所である事を知らなかったんだ……だから、この敷地にヘリを誘導して着陸させたのか」

「無線発電はCMD社のトップシークレットやさかいな、発電所の所在と発電日時はCMD社の幹部と一部の技術社員しか知らんかったんや」

「なるほどそう言うことか……彼女は運が悪かったな」

 神崎は右手で髪をかき上げると、北堀に少し同情してうつ向いた。


「あっ、人工衛星!」

 相川が右手を上げて西の空を指差す。

 夕焼けで茜色に染まった山の上空を人工衛星が飛んでいる。

 みんなは西の空を見上げて宵の明星の様に美しく輝く人工衛星を眺めた。


「おーい、みんな! 大丈夫ですか?」

「大丈夫! 村上さん、全員無事ですよ!」

 村上が敷地の入り口からみんなに声を掛けると、神崎は両手を大きく振って彼に答えた。

 電磁シールド壁の外に退避していた三人が敷地の中に入って来る。

「おい、村上! 静電気拡散トンネルを作ってくれ!」

「え~またですか?」

 真田が村上に手を振ると、村上は嫌そうに答えた。

「村上さん、お願いしまーす!」

「はーい、了解しました!」

 続いて、相川が愛想を振り撒きながら村上に手を振ると、彼は顔に満面の笑みを浮かべて相川に手を振り返した。

「なんじゃそれ」

「あはは――」

 真田が呆れ顔でガクッと肩を落とすと、みんなは楽しそうに笑った。


 ――それから三ヶ月後。

 この事件は迷宮入りして、結局、犯人達の事は一切分からなかった。CMD社は拡散製造工法を完成させてブラックウエハの量産に成功すると、電力事業への新規参入をマスコミに発表した。


 輝かしい二十一世紀。

 またひとつ新たな時代の幕が開ける。

 技術者達の飽く無き探求心は永遠に尽きない。


 完

 前作シークレットナイトライドの続作です。

 よろしくお願いします。


 またやってしまいました。投稿してから完成まで半年もかかりました。正直言って小説を書くのはしんどいですね。読む方が楽でいいです。


 読者の皆様ありがとうございました。執筆中にまた何人かの方が読んでくれていましたね。こんなド素人の二作目を読んで頂きありがとうございます。感謝、感謝です。


 本当は半導体の前工程の知識は全く無いので、ちょこっとだけ“よくわかる何とかシリーズ”をペラペラっと見ました。途中でネタが切れてどうしようかと思いましたが何とか完筆出来ました。


 恥ずかしい話ですが、文章の何処で段落、改行していいのかも分からないので小学生の作文みたいな書き方になってます。変に段落改行すると読み難くなるので、少しずつ考えて編集しようかと思います。


 ほとんど、思いつきで下書きせずにダイレクトに書いているので、最後の方で文字カウントがギリギリになってきました。これはやばいなと思って最後だけはさすがにちょっと下書きしました。


 最後の方の展開は映画ダイハードみたいなシーンになりました。私の頭の中では妄想力全開です。


 相川真理はもっと知的な女性に書こうと思ったんですが、書いているうちにだんだん天然ボケ娘になってしまいました。


 田町由香里の言動も思いつきで書いているのですが、この娘がまたいい味を出してくれるんです。小説を書いていると登場人物は物語の中で勝手に動き出すんですよね。おもしろいですね。


 あっ、忘れてました。田町の姉の小百合はどうなったんでしょうか? 神崎とデートさせようと思っていたのに……。


 それでは、また、どこかでお会いしましよう。

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