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悪役令息に転生したオレは、勇者のために死ぬべきか~それは処刑前夜に始まった。世界に殺されるなら、運命に抗い脱獄する――これがオレの物語だ~【完結】  作者: 未玖乃尚
第六章 勇者、悪役と観察者そして……

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68 《主人公:オレ》脱獄物語

「ここでいいのか?」

 グラドールは怪訝そうに尋ねた。


 亀裂を前にして竜はゆっくり翼を動かした。きっとその目には澄んだ青空が映っているだけだろう。

 ノイズであるオレとリュシエルにしか見えない領域だ。


「ここが、オレとリュシエルのゴール地点だ」

 リュシエルが頷く。勇者物語がエミルのものなら、脱獄物語はオレとリュシエルのものだ。


 牢獄から始まったのなら、脱獄で終焉させる。

 青空に生じた裂け目には、永遠の闇ともいえるほどの暗黒があった。オレの体くらいならすっぽりと飲み込めるほどの大きさだ。


 どこまで続いているのかを確認することはできなかい。

 ただ、金色の糸が道を示すかのように揺れ、存在を主張していた。


「入るの?」

 問いかけるリュシエルに目配せをして、俺は真理の剣を引き出した。


 勇者物語が完結しても、ノイズという毒物は残っている。

 修正力が毒を排除する手立てはなくなった。このままでは崩壊を待つだけだ。


 毒が自ら出て行ってやるって言ってるんだ、案内くらいしろ。

 切っ先を亀裂に突っ込んだ。刃が暗闇に消えた。光となって深淵で瞬く。


 風が吹き出す。オレたちを吸い込もうと、体を引きずった。

 ここが、境界だ。


 真理の剣がオレとリュシエルに真実を与える。

 白光が亀裂から溢出した。意識が白光に、融けた。


 オレは剣を手放した。

 真理の剣よ、リリアの元に戻れ。


 リリアの笑顔を思い出し、少しだけ未練を感じた。それでもオレは現実へ還る。オレの居場所はここじゃない。


 そして……

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