53 (幕間) リュシエルの独り言3
ジュリアン・エルミオンの寝顔は、イズルであって、イズルでない。
本当の彼はあまりにも遠いところにいる。
私がイズルと笑い合ったり触れあったりすることは、ない。
任務でありながら、どこか楽しんでいた。そんな関係性は、この世界の括りにだけ存在した。
当初はイズルがジュリアンとして死ぬことを確認する、そんな認識だった。
「まさか、こんなところまで生き残るなんてね」
イズルはレベル1から45まで駆け上った。特に死の谷での経験が、彼を一回り大きく成長させたようだった。
ジュリアン・エルミオンの処刑をきっかけに、勇者は真理の剣を得るはずだった。
イズルが剣を入手したことで、世界は狂った。
竜王に仕える四天王をイズルが撃破し、勇者の本筋をイズルが奪った。残っているのは作中最強格。
修正力がリッチを駒としたことで、死ぬはずのない賢者キュロが命を落とした。
そして。
リッチの風貌は戦士ゴードンを模していたようであった。
だとするとゴードンもきっと……
筋書きの知識がある私でも、この先は見通せない。
でも、何があっても。
「明日はちゃんと見届けるよ」
だからあなたは、ちゃんと勇者物語の歯車として……でないと……




